「円山応挙から近代京都画壇へ」円山・四条派の系譜をたどる東京初の大規模展

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2019年08月03日

 

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12円山応挙「牡丹孔雀図」

重要文化財「牡丹孔雀図」 円山応挙、明和8年(1771)、京都・相国寺蔵、京都展のみ・後期展示

8月3日(土)東京藝術大学大学美術館(東京・上野公園)で、「円山応挙から近代京都画壇へ」が開幕した。
前期(〜9月1日〈日〉)と後期(9 月3日〈火〉〜)で大幅な展示替えを行い、9月29日(日)まで開催される。
円山応挙、呉春を起点として、竹内栖鳳(せいほう)、上村松園(しょうえん)まで、江戸中期から昭和初期までの円山・四条派が勢揃いし、近世から近代へと引き継がれた画家たちの系譜をたどる、これまでにない大規模な展覧会。

本展の見どころは、重要文化財8件、重要美術品2件を含む約100 件の名品で、近世から近代へと引き継がれた円山・四条派の画家たちの系譜が一挙紹介される。

江戸時代、京都では、伝統的な流派である京狩野、土佐派をはじめとして、池大雅や与謝蕪村などの文人画、近年一大ブームを巻き起こした伊藤若冲や曽我蕭白、岸駒を祖とする岸派や原在中の原派、大坂でも活躍した森派など、様々な画家や流派が群雄割拠のごとく特色のある画風を確立した。しかし、明治維新以降、京都画壇の主流派となったのは円山・四条派だった。

18世紀、様々な流派が百花繚乱のごとく咲き乱れる京都で、円山応挙は写生画で一世を風靡し円山派を確立した。与謝野蕪村に学び応挙にも師事した呉春によって四条派が興り、写生画に瀟洒な情緒を加味して新たな一派が誕生した。この二派は丸山・四条派としてその後の京都の主流となり近代に至るまで京都画壇に大きな影響を及ぼした。

 

 

 

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テーマは4章に分かれる。まず、オープニングにしてハイライト。応挙その一門による大乗寺障壁画を中心に、丸山・四条派のオールスターを近代まで一挙に紹介する。

写生画の名手・円山応挙最晩年の最高傑作「松に孔雀図」をはじめとした大乗寺襖絵の立体展示を実現。応挙、呉春、山本守礼、亀岡規礼の襖絵32 面が、大乗寺客殿の雰囲気さながら展示される様は、大迫力である。
大乗寺は兵庫県の日本海側、香美町にあり、「高野山真言宗亀居山大乗寺」が正式名称。745年に開かれた高野山真言宗の寺だ。円山応挙や一門の画家たちの襖絵などがたくさんあるので「応挙寺」とも呼ばれている。

IMG_8451円山応挙は天明7 年(1 7 8 7)に同寺と障壁画制作の契約を交わすと、一門を率いてその制作にあたる。応挙自身が大乗寺を訪れたという記録はなく、京都の画室で制作したものを弟子たちに委ねたも
のと考えられている。東京では約1 0年ぶりとなる大乗寺襖絵の展示。応挙の「松に孔雀図」を中心に立体展示し、円山・四条派の系譜を合わせて展示される。

新発見作品「魚介尽くし」も見逃せない。円山・四条派がそのほとんどを占める総勢28 名の画家が、一つの画面に描いた合作。ほとんど一人の画家に描かれたような統一感がすばらしい。

 

 

 

 

 

 

07-01円山応挙「保津川図」(右隻)

16竹内栖鳳「春暖」

09円山応挙「江口君図」山、川、滝などの自然を写す展示が次の章。円山・四条派の醍醐味はなんといっても風景表現にある。保津川、嵐山、近江八景など名所の数々を写生したその画風が、いち早く近代を予言させた。

さらに、美人、仙人など円山・四条派に描かれた人物たち。穏やかで品格がある画風だ。意外に知られてはいないが、応挙は上村松園が大成した近代美術美人画の源流を生み出していた。

最後の章は、昔、虎、犬など動物たちをリアルに描いて18世紀の京都に革命をもたらせた。門下では虎の岸派、猿の森派などが活躍し、近代では竹内 栖鳳らがその伝統を引き継いだ。

東京展のみの出品となる応挙の「江口君図」(重要美術品、前期展示)も傑作とされている。髪の毛一本一本の描写がたいへんリアルで応挙らしい。

東京展、京都展ともに前期後期で大幅な展示替えあり。大乗寺襖絵は通期展示。

(上から重要文化財「保津川図」(右隻)円山応挙、寛政7年(1795)、株式会社 千總蔵、東京展:後期展示、京都展:後期展示/「春暖」 竹内栖鳳、昭和5年(1930)、愛知県美術館蔵(木村定三コレクション)、東京展:前期展示、京都展:後期展示/重要美術品「江口君図」 円山応挙、寛政6年(1794)、静嘉堂文庫美術館蔵、東京展のみ・前期展示)

 

 

 

 

 

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東京展 東京藝術大学大学美術館
前期:2019年8月3日(土)〜9月1日(日)
後期:2019年9月3日(火)〜9月29日(日)
京都展 京都国立近代美術館
11月2日(土)〜11月24日(日) 後期:11月26日(火)~12月15

前期・後期で大幅な展示替えあり(大乗寺の襖絵は通期展示)

午前10時 – 午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日
※ ただし、月曜日が祝日または振替休日の場合は開館、翌日休館

東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4

一般1,500円(1,200円) 高校・大学生1,000円(700円) (中学生以下は無料)
※ ( )は20名以上の団体料金
※ 団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
※ 障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料

https://okyokindai2019.exhibit.jp/

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