再訪したくなる美食空間 京都ファイル⑤ ホスピタリティあふれる独創的イタリアン「チェンチ 」

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年05月07日

 

Chenci(チェンチ)

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平安神宮や京都市美術館を擁し、琵琶湖疏水の流れる「岡崎」の一角に店をかまえる「Chenci(チェンチ)」は、京都の先鋭イタリアン、イル・ギオットーネから独立した坂本健さんがオーナーシェフを務める人気イタリア料理店。古い町家を大胆に改装した店内に足を踏み入れると、左に手にカウンター、階段を数段降りて半地下にはテーブル席、さらに向かい側にも階段があり中2階になったその奥は個室。ほの暗い明かりのなか、その空間はヨーロッパの小さな町の路地に迷い込んだような錯覚すら覚える。「Cenci」とはイタリア、フィレンツェの方言で「古びたもの、素朴なもの」という意味。その名の通り、使い古され味わいを感じさせる石畳の階段や赤レンガの壁などを配し、上品で優雅さを感じるシャビーシックな インテリアだ。

 

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レンガは、店の改装時に掘った土と信楽の土を混ぜて、南禅寺にある「ねじりまんぽ」という明治時代の隧道を模してスタッフ自ら焼いたという。半地下にはオープンキッチンが広がり、その隣には、京都ならではの坪庭が、レンガも合わせて和モダンにデザインされ、どの席からも見渡せるようになっている。

 

 

 

 

IMG_5375ワインはイタリアを中心に、ペアリングもあるが、お酒があまり飲めない人のためには量を少なくするなどの心配りも。自家製のジンジャーエールや柑橘酵素ジュースなどオリジナリティあふれるノンアルコールタイプの飲み物も用意されている。なかでもメニューで目をひくのが、京都宇治、和束町のお茶農家「林さん」が自然農法で生産している、その名も「林くんの煎茶」「林くんのほうじ茶」。上の写真のように日本茶もイタリアン仕様でサーブされる。6時間かけてていねいに抽出されるほんのり優しい味わいで、意外にもイタリアンによく合う。

 

 

 

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「お客様に直接お会いすることで、距離が近くなることをめざしている」という坂本シェフは、初めて訪れるゲストの席にも笑顔であいさつにきてくれる。フレンドリーで温かいホスピタリティにあふれ、サービスはテキパキ端正。組み合わせの妙や意外な調理法に珍しい素材の使い方、ひと皿ひと皿の説明がていねいで食欲をそそる。「生産者の熱い思いがお客さまに伝わるように野菜や魚だけでなく、生ハムやチーズも新鮮な国内産のクオリティ高い食材を厳選、極力自家製で作りたてこだわっている」と坂本シェフ。
坂本シェフは1975年、京都生まれ。大学在学中に訪れたイタリアで料理に魅せられ、料理人をめざす。「イル・パッパラルド」「イル・ギオットーネ」を経て、「イル・ギオットーネ 丸の内」の立ち上げから料理長を務め、2014年に独立、「チェンチ」をオープンした。

 

 

ペルシュウと練りたてのモッツァレラ

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日本唯一のパルマハム生産者、岐阜県「ボン・ダボン」でつくられる国産の希少な生ハムと香川県「藤川牧場」から届くミルクでつくるモッツァレラ。産地で味わったできたての食感を極力再現したい、と注文を取ってから練り始めるので、できたてのモッツァレラはこのうえなく新鮮でクリーミー。 

 

 

空豆、トマト、飯蛸

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明石の蛸は足と頭を別の調理法で。フルーツトマト、トマトのジュレは2種類の食感でトマトの味そのもの。ふっくらそら豆を散らして彩りも美しく。

 

 

山菜、ます、松の実

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石川産マスを低温で火入れ、炭で炙った皮が香ばしい。山菜は摘んできたばかり、という表現がぴったりの新鮮な味わい。松の実の食感がアクセント。

 

 

 ホワイトアスパラガス、マッシュルーム、チーズ

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ボルドーの存在感たっぷりのホワイトアスパラガスに吉田牧場のミルクとカマンベールのソース。バーナーで焦がした表面を破るとなかのチーズが溶け合い甘くとろける。レンズ豆がチーズのソースに隠れ、なめらかな舌触りに豆の存在感が新鮮だ。十勝産のマッシュルームに散らしたカンボジアの生胡椒の塩漬けが甘めのチーズのソースにピリッと香る。

 

 

京都塚原産の筍  クレソン

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じゃがいもと良質な筍を巻いて食べる。シャキッと焼いた筍にとろっと寄り添うじゃがいもが味なコンビネーション。シンプルな料理を独創的なアイデアで楽しむ。

 

 

ニュージーランドの子羊 新玉葱、キヌア

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ロースの部分ははずして脂身を真上にくるっと巻きつけて焼く。野菜は玉葱を約160度で40分ロースト、上にきのこソース。火入れが絶妙な羊は、噛むほどに豊潤でジューシー。添えられた新玉葱はどっしりと食べ応え満点の半分のかたまり。キヌアがのせられ、食感の妙を感じることができる。

 

 

ニラと白菜とホタルイカのパスタ

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白菜をパスタに?  思わず浮かぶ疑問。シェフのお父上が生産者という白菜をさまざまな部分で試したあげく見つけた葉の奥に潜む美味なパーツ。坂本シェフのみが知る発想力豊かなパスタ。

 

 

無花果、ピスタチオ 蕎麦 レモン

IMG_5403アイスケーキのなかにはイチジク、ピスタチオ、そば粉で作ったブランマンジェ。レモン味を使ったソースにバニラ風味のチーズケーキ。レモンをベースに何層にも香りと味と食感が折り重なる。

 

 

 

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Cenci (チェンチ)
075-708-5307
京都市左京区聖護院円頓美町44-7
京阪本線 神宮丸太町駅 徒歩12分
京都市営地下鉄東西線 東山駅 徒歩15分
 営業時間
【火~日・祝・祝前】
ランチ 12:00~15:30 (L.O.13:30)   5000円
【火~日・祝・祝前】
ディナー 18:00~23:00 (L.O.20:00)    10000円
定休日   月曜日

 

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