名料理人のスペシャリテ 美食リレー⑦ 「アルモニコ」豊後水道の魚介とイタリアンのハーモニー

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年06月13日

人気シェフの自慢のスペシャリテをご紹介、次の料理人を推薦していただきリレー形式でつないでいく連載7回目は、細部にまで美学を貫く鮨店「伊佐野」の大将、佐野拳利さんが信頼をおくイタリアン「アルモニコ」の佐々木泰広シェフです。

 

 

Armonico (アルモニコ)

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恵比寿駅西口ロータリーを出て坂道を恵比寿神社に向かって進み、隠れ家的な雰囲気に包まれたマンションを迷いながら見つけると、その4階に看板も掲げずひっそり佇む「アルモニコ」。 この店で供されるのは、イタリア、モデナのミシュラン三つ星レストランで経験を積んだ佐々木泰広シェフの創作料理。ガストロノミックなイタリアンだが、あまりフォーマルにはしたくなかったという、本場イタリアの明るい太陽をイメージさせるオレンジを基調としたシンプルなインテリアで、肩肘張らずに食事が楽しめる心地よさを感じる。

 

 

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メニューは、故郷の大分豊後水道の魚介を中心とした、おまかせスタイルのコース料理。毎日、大分の同級生から直送された魚介をおろして状態を把握してから構成を決める。ゆえに提供される料理は毎日のように変わり、当日のサプライズとなる。ハーモニーという意味の店名「アルモニコ」は、大分の素材をイタリアンと調和させて表現したい、という思いから名付けた。

産地直送ゆえのコスパが実現した2つのコースは7皿コース6300円、もしくは前日までの予約で8400円のコース。9時以降は、アラカルトも楽しめる。

 

 

 

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佐々木シェフは、1977年大分生まれ。地元でホテルに就職し、サービススタッフとして仕事をしていたが、先輩に都会で幅広い経験するようにとアドバイスを受け、21歳で神戸のレストランへ就職。イタリア好きが高じて、イタリアへ行きたいがために料理人の道を志した。24歳で渡伊。イタリア各地で修行し、最後は「The World’s 50 Best Restaurants」で世界一にも選ばれたこともあるモデナのミシュラン三つ星「オステリア フランチェスカーナ」で3年経験を積む。帰国後、麻布十番の「エノテカ キオラ」の料理長を経て、2013年独立。「アルモニコ」をオープンした。イタリア郷土料理をベースに、生まれ育った土地の食材を独創的な料理に仕立てる。イタリアと日本のハーモニー、ゲストと料理人の調和を大切に、素材に向き合う。

 

 

前菜
いさきのソテー シェリービネガーソース イタリアンタンポポのピューレ添え

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その日に獲れた魚の写真がLINEで届くので確認する。OKを出した魚介が朝、到着するとすぐおろして料理を考える。脂がのったいさきは、身はジューシーに皮はパリパリに食感にアクセントを。今年は、骨切り包丁も新調して、もうすぐ届くハモの料理を楽しみにしているという。
添えるのは、長ネギのピューレ。甘さ、苦味、酸味と異なる味のハーモニーに白ワインが進む。添えられた野菜、ソースとの相性が秀逸。

 

 

カプレーゼ

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佐々木シェフのスペシャリテ。使っている素材はトラディショナルだが、「オステリア フランチェスカーナ」で学んだ料理法をアレンジして生み出した一品。トマトを完熟させてコンポート仕立てにし、砂糖、塩、イタリアンパセリ、バジル、コリアンダーとともに、ローマ風にミントを使い、オレンジジュースを加える。毎日1時間マリネし、加熱したら裏ごし器で漉す。ゼラチンで冷やし固めたモッツアレラはムース状で通常のモッツァレラにはないとろけるようななめらかな口当たり。「オステリア フランチェスカーナ」のマッシモ・ポットゥーラ・シェフの食材の扱いを見ていてクリエイティブ心がくすぐられ、イノベーティブな料理を作りたいと思いが膨らんだ。メニュー開発を楽しみながら、新作を創造していく。

 

 

パスタ  車海老のキタッラ
IMG_6178イタリア中部のアブルッツォとラツィオの手打ち麺を使って、濃厚な車海老のソースを合わせたパスタ。イタリア修行を終えて12年ほど前帰国した際、あまりまだ日本でみかけなかった道具をたくさん持ち帰ってきた。そのなかのひとつ、ギターの弦のようなパスタが作れる道具で打ったギターを意味する「キタッラ」という名の細めのパスタ。

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パスタは手打ちをベースにし、本場イタリアの食感、中身が詰まったもちもち感にこだわる。
車海老のだしを20分程度とり、頭部をトマトと炊いて、裏ごしする。できあがるのは、旨味がぎっしり凝縮したインパクトのある車海老のソース。手打ち麺によくからみ、添えられたズッキーニがソースを吸って海老の持ち味を魅力的に増幅。

 

アンガス牛のロースト マルサラ酒のソースとミントのサルサ ベルデ添え 

IMG_6179ショールームでひとめ惚れしたサバイバルナイフのメーカーのテーブルナイフがまず登場。さまざまな模様の持ち手はカバの木でデザインされ、好みの模様を選んで肉を食べるというお楽しみを料理の合間に演出する。

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さしの入っていない赤みの牛を使うのは、魚介をフィーチャーしたコースのなかでは重くなるため肉質にこだわりたいという理由から。肉料理は、その日に入手可能な羊、鴨、牛、豚からセレクトし、赤みを使う。
サルサヴェルデはイタリアンパセリかルッコラで作るが、ローマ風にミントと粒マスタードを使うのが佐々木流。

 

 

デザート 3種のオレンジのバリエーション

IMG_6181ブラドオレンジのジェラート、アメリカンネーブルのムース、エスプーマを使ったなめらかなデザート。いよかんのジュレ、ジャムなど柑橘の豊かなバリエーションが楽しめる。

 

 

Armonico(アルモニコ)

電話  03-6416-0963
                                                                                                                                        
東京都渋谷区恵比寿西1-14-1 サンライズビル4F    
 JR 恵比寿駅 西口 徒歩2分
地下鉄日比谷線 恵比寿駅 徒歩2分
営業時間  18:00~翌3:00(L.O.24:00)
定休日  日曜日と不定休

 

 

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