「食文化と伝統を未来に継承していく」ルレ・エ・シャトーのミッションを伝える饗宴

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年07月04日

ふす 

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ルレ・エ・シャトーという優美な響きの栄誉ある扉は、ハイクオリティであり、志の高い施設だけのために固く閉ざされている。

世界的権威を誇るホテルとレストランの会員組織ルレ・エ・シャトー。1954年にフランスで誕生して以来、Courtesy (心のこもったおもてなし)、Charm (洗練された魅力あるスペース)、Character (特色や個性あるスタイル)、Calm (落ち着きやリラックスできる場所)、Cuisine(質の高い料理)の5項目の頭文字、「5C」で表される基準による厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみが加盟を認められてきた。この5要素がすべて満たされていなければ、メンバーにはなれず、その判定は加盟メンバーが組織するコミッションによる厳しい審査による。さらに、それぞれの加盟メンバーへは、3年に一度調査員を派遣し、最高レベルの水準が維持され、かつその水準を高める努力がなされているかどうか綿密な調査が行われる。基準にみたなければ、加盟メンバーを退かなければならない。

 

今では、世界60カ国以上、約550のホテルとレストランが加盟を許されており、加盟メンバーは、選りすぐりの個性あふれるホテルとレストランで構成され、加盟メンバーには、一度は訪れたいみたいと世界中の旅好きや美食家が憧れる宿泊施設やレストランが名を連ねている。

 

2014年11月には、ルレ・エ・シャトーのヴィジョン、「その土地の伝統や環境を守りつづける」がユネスコにて宣言され、個人や家族経営の少数精鋭のメンバーだからこそできる、歴史や伝統の小さなエピソードを丹念に積み上げ、その土地の豊かな自然を守る術を模索する。地球上のあらゆる魅惑的な場に横たわるルレ・エ・シャトーの真髄は、地域とテロワールが奏でる心のこもったおもてなしと美食を通して訪れる人々の心に忘れられない記憶を刻み続ける。

 

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ルレ・エ・シャトーの物語が紡がれていくきっかけを作ったのは、1954年フランス中央部のローヌ川右岸に邸宅を有していたマルセル、ネリー・ティロワ夫妻。パリから南仏コートダジュールに向かう旅人たちに、7人のホテル経営者たちと、最高の美食と心地よい旅の軌跡を未来にわたって記憶にとどめてもらうための道程 。この旅路を「ルート・デュ・ボヌール(幸福の道)」と名づけ、旅人のために夢のような道筋を創造したことに始まる。そのひとつのホテル、オーベルジュ・デ・タンプリエ(写真上)のみが現存している。

 

今日では世界各国に、オリジナリティあふれるホテルや五感を刺激する食を堪能できるレストラン、550メゾンが誕生している。ルレ・エ・シャトーの各メゾンオーナーたちは、豊穣な自然を慈しみ、 優美な作法でそれを維持し、「地域とテロワールに根ざした心からのおもてなし」で誇り高くゲストを迎えている。

食文化の多様性と豊かさを守るため、 ルレ・エシャトーの料理人たちは高い目的意識を持って理念の実現に邁進している。
メンバーには世界でも名だたるシェフたちが名を連ねており、彼らは料理界の頂点に立つだけでなく伝統に忠実でありながら現代的な要素を取り入れることで料理をアートの域をに高め、縦横無尽にその可能性を模索している。

 

生産者とともに歩む美食への道のりー料理人と生産者の未来への挑戦

 

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「食文化と伝統を未来に継承していく」というミッションの一端を知ることのできる饗宴がRestaurant Hôtel de Mikuni(オテル・ド・ミク二)で開催された。

 

オトワレストランの音羽和紀シェフ、北野ホテル山口浩シェフ、オテル・ド・ミクニの三國清三シェフ、明神館田邉真宏シェフの華麗なるコラボレーションである。それぞれのシェフが生産者に対す畏敬の念と生産物の継承に対する精神を自らの料理に反映させ、渾身のひと皿ひと皿を創り上げた。

 

ルレ・エ・シャトーのヴィジョンのもとに、次の世代へ継承してくべき「食とおもてなし」。世界の全メンバーが共有する行動指針、「20のヴィジョン」でそ二つの重要な課題を表現する。たとえば、地域を守る 持続可能な発展、地域との共生、地産地消、土地の生産者を大切にすること、土地の旬の食材を使うこと、環境に配慮した経営、過剰生産や資源の枯渇を避けること、生物多様性を保護することなど、将来にわたって地球が美しくあるために、そして、未来の人々がその美をいつまでも享受できるように、尽力を続ける料理人たちの決意を知ることになる。

 

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ヤシオマスのショーフロワ 栃木の初夏(音羽シェフ)

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オマール・ブルーとキャベツのニョッキ”味覚のパレット仕立て 兵庫の食材とフランスのリスペクト(山口シェフ)

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東京シャモのブレゼ 江戸東京野菜(小松菜、独活、長葱、芯取菜、寺島茄子)添え あきる野・木桶仕込みの蔵作り醤油の薫り(三國シェフ)

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ヴァシュランと乳酸菌のエスプーマ ジャスミンとアカシアの蜂蜜のアイス マンゴーのムースと蜂蜜のソース(田邊シェフ)

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料理人に課せられた、知られざる日本の伝統食材の発掘や持続させる努力

 

江戸東京野菜

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江戸東京野菜を積極的に取り入れて東京産の野菜の認知と普及に尽力している三國シェフ。京野菜のように江戸東京野菜というブランドでデパートでも販売したところ注目され、生産者もクローズアップされた。実は東京には山の野菜から亜熱帯の野菜までバラエティーに富んだ食材がある。江戸から続いてきた東京の野菜を継承していくうえで、とくにこだわっているのは、「固定種」だ。実は、いま食べている野菜のほどんどが種が取れない交配種。種屋さんが作った野菜だ。種を蒔き、成長したものを食べ、その種がまた翌年もという固定種はできた種を通して永遠に命がある。江戸からこんにちまで伝わってきた野菜は、現在45品目。江戸の野菜はひとつひとつ物語がある。たとえば、小松菜。吉宗が行脚中、青菜を食べたところ気に入り、その一帯が「こまつな」という地名だったことで、「小松菜」と命名。交配種ができ、いまでは一年中採れるようになった小松菜だが、実はチンゲン菜との掛け合わせである。昔の小松菜は、「伝統小松菜」と呼ばれている。生産者は延べ231人おり、昔からの栽培法などを伝承をしていくことが野菜作りのモチベーションとなっている。こうした食文化のレガシーを次世代につないでいく。

 

 

 

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100年前にエスコフィエがはじめて叙勲したレジオンドゥヌールを三國シェフが昨年叙勲。生産者はとともに勝ち取った勲章であると三國シェフは強調する。アラン・シャペルは次のように表現していた。「食材は先生で、料理人は弟子である」。三國シェフによれば、生産者は、料理人よりはるかに位が高いのである。すばらしい食材があって料理人たちの想像力をかきたてる。素晴らしい食材がなかれば、料理人も腕のふるいようがないのだ。料理は、満場一致で無形物文化財にも指定され、ようやく文化として認められるに至った。

 

 

 

 

IMG_6325ミッシェル・ゲラン、アラン・シャペルで修行した経験持つ音羽シェフ。息子二人と娘がシェフとなり、ルエ・エ・シャトーの理念である家族経営を実践している。栃木県で品種改良されたニジマスの一種、ヤシオマスを使ったメニューを2007年から開発。次世代に継承する生産物として、栃木が開発したヤシオマスを使い、地元のレストランで勉強会を行っている。イワナ、マスというと、川魚のよさはあるものの、臭みがあり、ガストロミックな料理にはふさわしいとはいえない。ナマでも安心し食べることができるマスを育ていることは、栃木の重要な課題としてあり、地元再建の大切な食材として認知させたいと意欲的だ。

 

 

 

 

IMG_6350地域の発展に山口シェフ自らかかわる。日本にあるものはすべて兵庫県にあると言われている豊かな土壌だが、継承していくなかでなにより大切なことは、生産者を守ること。仲介役として、料理人を束ねていくいこと。自分たちが作ったものが、どんなふう消費者まで届き、どのように調理し、どのようにゲストが喜んでいるのか。生産者はその過程を知らずに悶々としている。生産者にも末端の消費者のニーズを知ってもらい、モノづくりのモチベーションを高めていきたい。兵庫県でつくられた食材がきちんと流通し、消費者に喜んでもらえていることを生産者に知らせることも料理人のミッションである。

 

 

 

 

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扉温泉明神館 ルレ・エ・シャトーの支部長として統括する田邉真宏シェフ。270軒の農家から質の高い野菜を扱い、自社でも東京ドーム一つ分の自家菜園を持つ。質の高い野菜を作っているほか、松本の城下町で貴重なはちみつを作っている。セイヨウミツバチを会社のビルの屋上で飼育。長野県は日本一の養蜂の産地でもあるが、春の花を集めた百花蜜や、ニセアカシアの採れる6月が最盛期。グループである扉温泉 明神館で飼育し、国定公園に位置する豊かな自然を生かして、自家製蜂蜜天然の味わいを楽しんでもらえるよう尽力していく。フレンチの朝食にも自家製蜂蜜が出せるようになり、夢が広がっている。

 

 

 

 

世界に誇る日本の美食とおもてなしこそ、ルレ・エ・シャトーの理念を体現する
ジャン・フランソワ・フェレ CEO

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ルレ・エ・シャトーのセールスポイントは、地域に根ざしたおもてなし、人と人とののつながり、そして最も大切なのが、シェフ、生産者との連携。互いに尊敬の念をもちながら、価値観を共有し、次世代へ継承する2つの伝統がある。それが料理とおもてなしだ。60カ国、世界に550のルレシャトーメンバーが獲得しているミシュランの星は350。この数字は、大きな意味を持っている。

ルレ・エ・シャトーの一員であるということは、世界のおもてなしや料理における長い歴史文化の継承者である。各地の料理を守り継承することへののミッションに誇りを持ち、実直に仕事をこなし、その結果、すばらしい地域環境や心のこもったおもてなしが加わることで生まれる感動的な料理。
日本での栄えあるルレ・エ・シャトーの一員となっているのは、宿泊施設10軒、レストラン10軒。2016年11月には世界大会を東京で開いて世界から評価を受けた。20メンバーをこの数年でもっと増やしていきたいと思っている。おそらく2018年には、新規メンバーを発表できるのではないかと期待を寄せている。

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