旬のスイーツリレー⑥スペシャリテのムースがマニアを唸らす、京都「パティスリーS」

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年07月25日

 連載「旬のスイーツリレー」6回めは、「リベルターブル」の森田一頼シェフ推薦、夫妻のコラボで創作する口溶けの良い絶品ムースがスペシャリテ、京都の人気店「 パティスリーS」の中元修平(なかもとしゅうへい)シェフです。

 

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烏丸通りから一本細い道、静かな高辻通りのマンションの一階にひっそりと佇み、うっかり通り越してしまいそうなこぢんまりとした店構えながら、11時開店と同時に平日のイートインの席が埋まっていく。マニアックなファンも多く、現在、京都でもっとも評価の高いパティスリーが、「パティスリーS」だ。

 

 

 

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細長い店内は、手前にテイクアウト、奥がイートイン。白レンガの壁にアンティーク調のインテリアがフランスらしい雰囲気を演出している。

神戸から東京・京橋に店を移した洋菓子界の巨匠のもとで修業を積んだ中元修平シェフが、師匠と自らの名前の頭文字を取り、店名を「パティスリーS」と名付けた。師匠に薫陶を受けた、一瞬にしてとろける繊細な口溶けのムースがマニアを唸らすスペシャリテ。

 

 

 

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生菓子のほか、マカロンや焼菓子、ジャムなどの種類も豊富。上の写真のクグロフ型で焼いたラムレーズンのパウンドケーキは、ラム酒、コニャックなどが3種のお酒が効いて口溶けのまろやかさが絶品。コンフィチュールは、時期により約20種類、「フレーズ・トマト」など料理にも使えるものから、パン、ヨーグルト、チーズ用とバラエティ豊かな品揃えだ。

 

 

 

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ケーキの構成を考えるのは、奥様の中元薫さん。ひとつひとつのケーキにストーリーを感じる起承転結がある。最初に香り、次に味わい、そして食感、最後に香りの余韻が流れる。
レシピのコンセプトは料理からイメージを膨らませることが多い。仕出し屋の家で育ち、幼い頃から味覚が鍛えられたこともあり、自分なりの独特の組み合わせを頭に思い浮かべることができる。そのアイデアをシェフは技術を駆使して具現化する。 

 

 

 

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中元シェフがお菓子に目覚めたきっかけは、小学生の時、友人宅で出されたりんごのコンポート。くだものとしてそのまま食べることが当たり前だったりんごがワイン煮になっていたことに衝撃を受けた。姉が作るケーキにも興味をもち、高校生のときに始めたドーナツ店でのアルバイトを皮切りにさまざまなジャンルの飲食に関わり、大学では栄養学を学んだ。
甘いもの好きだったこともあり、興味はデザートに向かった。どの国の料理でも必ず最後はお菓子で締めるからだ。おりしもフュージョン料理ブーム。新しい組み合わせの創作を世の中がこぞって競っていた。そのころから、「パティシエ」という職業が注目され出す。本を読んでは情報を仕入れていたが、なかでも感銘を受けた「素材より素材らしく」で師匠の門をたたく。

京都なら自分のお菓子が作れるのではと思い、店をオープンして9年。今はムースに特化しているが、デセールやパンも視野に入れて、日々創作の進化を続けている。

 

 

エス(580円)

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店名を冠するシグネチャーケーキ。その口当たりはとても滑らかで、クリームのような溶け具合。主張が控えめなフロマージュブランに対し、濃厚なルージュ・コンフィチュールがセンターに隠れ、両者のバランスが絶妙な逸品。緑の部分には、酸味のあるハーブ、1番下のレモンマートルの上にグループフレープをコンフィーにした酸味のある赤い果実。フロマージュブランの先に香るレモンマートル、フロマージュブランのチーズの味わいを楽しみ、ほろ苦くグレープフルーツの酸味で終わるというストーリーで着想。

 

 

シェリー  (580円)

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ビジュアルの愛らしさから、「可愛い」という意味のフランス語で名付けられた桃とシャンパンのムース。シャンパンのジュレにピンクのムースがのせられ、さまざまなテイストが層になっており、口のなかで混ざり合うとなんとも言えない一体感を生む。写真は芦屋のティーショップ、Uf-fuから取り寄せたダージリン。コーヒー、紅茶ほか、ケーキに合わせたこだわりのドリンク類を取り揃えている。

 

 

 

リュクス(630円)

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「高貴な」という意味をこめたばらのムース。有機栽培で無農薬の「さ姫」という名の、品種改良して食用のバラを作ったレシピを考案。白いライチのムースのなかに赤すぐりのジュレ。赤いソースの間に、バラの花びらをミルでくだいたフロマージュブランを混ぜている。バラが果肉のように混ざり、ほのかなバラの着香が芳しい。

 

 

 

ノアピスタチオ(580円)

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ピスタチオと伊予柑の組み合わせが浮かび、ピスタチオにくるみのバタークリームを。バタークリームが好きで、ムースの口どけを目指して考えられた特別のレシピは、舌の上ですぐに溶ける。バタークリームは第二のスペシャリテ。クリスマスには、ムースとバタークリームの二つの新作バージョンを毎年生み出している。

 

text Miki Yamashita

 

旬のスイーツリレー⑯タント・マリー
旬のスイーツリレー⑮ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
旬のスイーツリレー⑭オクシタニエル
旬のスイーツリレー⑬エクラデジュール
旬のスイーツリレー⑫アンヴデット
旬のスイーツリレー⑪アングラン
旬のスイーツリレー⑩リョウラ
旬のスイーツリレー⑨アシッドラシーヌ
旬のスイーツリレー⑧タンドレス
旬のスイーツリレー⑦デセールル コントワール
旬のスイーツリレー⑥パティスリーS
旬のスイーツリレー⑤リベルターブル
旬のスイーツリレー④グリーン ビーントゥ バー
旬のスイーツリレー③ エスキス サンク 
旬のスイーツリレー② ピエール・エルメ パリ 青山
旬のスイーツリレー① トシ・ヨロイヅカ 東京

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