「エル ELLE」イザベル・ユペール主演、ポール・ヴァンホーヴェン監督 常識を超えた才能が集結した問題作

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年08月18日

『エル ELLE』

8月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ他公開

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フランス語で「彼女」を意味する原題は、ヒロイン、ミシェルを演じるイザベル・ユペールを指す。観る者をこれほど裏切る「彼女」がこれまでにいただろうか。この映画のテーマは、強烈な「彼女」なのだ。この恐るべき演技でイザベル・ユペールは、アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされ、カンヌで上映された際には、10分間にもわたるスタンディングオベーションが巻き起こったという。世界中の映画賞で125ノミネート、64受賞という快作である。
今作の監督、ポール・ヴァーホーヴェンは、エロティック・サスペンスの金字塔となった『氷の微笑』(1992) を手がけ、原作者はエキセントリックな究極の愛を描いた『ベティ・ブルー / 愛と激情の日々』(2012) の フィリップ・ディジャンの小説『Oh…』。
常識を捨て去る準備はすべて整っていた。

 

 

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映画の冒頭から衝撃的だ。ゲーム会社の社長、ミシェルの邸宅に、ある夜、スキーマスクを被った男が侵入し、事件は起こった。目を覆いたくなる壮絶なレイプシーンが繰り広げられる。しかし、男が去ったあと、まるで何事もなかったかのように、淡々とミシェルの日常が流れていく。被害者意識を感じさせることもなく、犯人が自分の近くにいる気配を感じながらも、起こった事件と距離をおいて、若い恋人を追いかける母親に辟易し、エキセントリックな息子の嫁との確執に苛立ち、若い女と付き合い始めた前夫との不毛なやり取りのなか時は過ぎる。

 

 

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いたって現代的なフランスを象徴する破壊された人間関係に翻弄されながら、ワンマン社長として、また、友人の夫との不倫で忙しく日々を送るミシェル。
実はミシェルの父親は連続殺人犯で服役中、執拗な報道がトラウマになり、警察とはかかわらず、自ら犯人探しをしようとしていたのだ。

 

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ある夜、唐突に、犯人を知る機会が訪れる。ミシェルの自宅にマスク男がふたたび侵入してきたのだ。

ミシェルと犯人とはいかなる関係なのか?
極めてエロティックかつ倒錯的、背徳の結末にむけて事態はエスカレートしていく。

多くのハリウッド女優が断ったという作品に自ら手を上げて体当たりしたイザベル・ユペール。その緻密な表現力の計算はもはや演技者というより職人技ともいえる芝居で、女のセクシャルな革命を描き、男の脆弱さを炙り出す。稀有な才能の集結により完結した、アブノーマルにして気品とエレガンスを醸し出す空絶前後のこの問題作を見逃すことはできない。

 

文*山下 美樹子

 

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8月25日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
© 2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP
<公式サイト>http://gaga.ne.jp/elle/ 

 

 

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