再訪したくなる美食空間 東京ファイル⑤「リューズ」巨匠ロブションの薫陶を受けた王道フレンチ

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年09月05日

世界のグルメ・シーンを長年取材してきたグルメ&トラベラーが、取材で食べ歩いて見つけた「思わずリピートしたくなる美味な店」をご紹介する連載、「グルメ&トラベラー 再訪したくなる美食空間 東京ファイル」5回目は、日本の料理界にも大きな影響を与えたフランスの重鎮、ジョエル・ロブションの薫陶を受け、緻密でクラシックなフランス料理をシックでクオリティの高いサービスのもと楽しめる2つ星のグラン・メゾン「リューズ」にご登場いただきます。

 

 

 

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六本木交差点から一本細い道に入るとにわかに喧騒も静まり、半地下に降りる階段の先の植え込みの竹の青さが映えるアプローチの左手に「レストラン リューズ」は佇む。ゲストにとってレストランは、心満たされる「時間」を過ごすスペースでありたい、と人と時を結ぶ腕時計の重要なパーツ、「リューズ」と名付けた。

入ってすぐのオープンキッチンがライブ感を生み出す一方、その奥に広がる高い天井のメインダイニングは、灯りを落としたなかに浮かび上がるシックで落ち着いたインテリア。フランス産を中心に約600本100種類を揃える圧巻のワインセラー横にカウンター席、中央にテーブル席、半個室とさまざまなシーンに対応する空間になっている。緻密でクラシックなフランス料理とエレガントな設え、フォーマルなサービスがグラン・メゾンの風格を感じさせる。

 

 

 

 

 

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伝統を大切にしながら、メイド・イン・ジャパンの素材で世界に勝負を、という料理哲学を持ち、食材の生まれる瞬間にまで気を配る。故郷新潟の食材に光を当て、ときに産地に足を運び、素材を直接手にし、柔軟な発想で生み出される飯塚隆太シェフの料理。ジョエル・ロブションというフランス料理の重鎮の薫陶を受け、レストラン文化の王道を歩んできた。

 

 

 

 

 

 

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実家が呉服屋で両親が忙しく、子供の頃から自ら食事を作ってきた。料理はもともと好きだったが、ある時、手に職を持つことを勧められ料理人を志す。大阪の専門学校から第一ホテル東京ベイ、ホテルザ・マンハッタンなどを経て、1994年、ジョエル・ロブションプロデュースの日本初のレストラン「シャトーレストラン タイユヴァン・ロブション」で部門シェフを務める。のちに渡仏し、トロワグロ、ジャン・ポール・ジュネなど二つ星、三つ星レストランで修業。帰国後、名門料亭「青柳」の小山裕久さんが起こした料理学校で講師として3年ほど教えていたが、2005年に「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブションのシェフに就任。5年務め、2011年2月 レストランリューズをオープンした。

 

 

 

 

 

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テーブルウェアのほとんどはオリジナルの有田焼作品、カトラリーはすべてエルキューイの銀器、壁は最上級のベルベットなど、見る人が見ればわかる上質のみが配された店内。それは料理にも通じる考え方だ。食材ひとつひとつに最大限の敬意を払い、細かい仕事を経て、ていねいに仕上げられた料理の過程は、本物を知る人のみにしか理解されない。レストラン文化の粋が集結する非日常の世界。しかし、そのストイックな空間には、ゲストの緊張感をといて居心地よく迎えてくれる細かい気配りと、温かみに満ちた極上のサービスの心があふれている。

 

 

 

 

 

 

 

新潟魚沼産 八色椎茸をタルト仕立てに ラルドの薄いベールで覆って

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香り高く、極薄のタルト生地と歯応えのある八色椎茸の食感が絶妙。セップ茸にも劣らない芳醇な香りと豊かな食感をもつ肉厚な椎茸の下にパイ生地にのせたマッシュルーム、エシャロット、パンチェッタを細かく刻んでソテーしたものを敷く。薄くスライスしてあるイタリア・コロンナート産のラルドとハーブ、セルバチコを散らし、干し椎茸ととくるみオイルのビネグレットをアクセントに。1年中栽培している南魚沼八色の椎茸を使ったこのひと皿はロブション時代からのスペシャリテ。ただ塩をするのではなく、パンチェッタやラルドの豚の旨味が浸み込み、鮑を彷彿とさせるビジュアル、食感と味わい。

 

 

 

 

 


フランス産仔羊もも肉のソテー 季節の野菜添え

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今年から解禁されたフランス産仔羊のロティ。焼き色をつけてココットかオーブンで40分火入れ。日本人は温度に敏感なので熱々にして出すため、運ぶ直前に再度熱を当てるというこだわり。季節の野菜とキノコを添え、シンプルに子羊のジュで。秋にはセップや白トリュフも添えられる。フィンガーボールが用意されているので、手に取って食べたい背脂が絶品だ。

 

 

 

 

 

滑らかなクリームとパッション、マンゴー ライム風味

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クリームチーズで作ったブリュレの上にフレッシュのマンゴー、ベルベーヌのジュレ、ライムのエスプーマにパッションフルーツのソース。ベルベーヌのアイス添え。甘味に酸味が絡み、ときおりキャラメリゼの食感や苦味も感じるバリエーションが楽しい。

 

 

 

 

 

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Ryuzu(リューズ)
東京都港区六本木4-2-35
アーバンスタイル六本木B1F
地下鉄 日比谷線/大江戸線 六本木駅徒歩5分
03 – 5770 – 4236
Lunch : 12:00-15:00(13:30 L.O.)
Dinner : 18:00-23:30(21:00 L.O.)
ランチ 3600円、5600円、8300円
ディナー 8000円、13000円、19000円〜

写真・文 山下美樹子

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