再訪したくなる美食空間 東京ファイル⑧「フィリップ・ミル」シャンパンと優雅なマリアージュ

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年12月22日

世界のグルメ・シーンを長年取材してきたグルメ&トラベラーが、取材で食べ歩いて見つけた「思わずリピートしたくなる美味な店」をご紹介する連載、「グルメ&トラベラー 再訪したくなる美食空間 東京ファイル」8回目は、フランス・シャンパーニュ地方の実力派シェフの日本初出店「六本木テラス フィリップ・ミル」にご登場いただきます

 

 

六本木テラス フィリップ・ミル
Roppongi Terrace by Philippe Mille

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フランスシャンパーニュ地方、ランスにある歴史を誇るシャンパンメゾン、ポメリー家の令嬢、ルイーズ・ポメリーの白亜の館を、美食と宿泊を兼ね備えた極上空間に仕立てたエレガントなシャトーホテル、「ドメーヌ・レ・クレイエール」。
38歳にして国家最優秀職人賞(M.O.F.)を受賞し、その「レ・クレイエール」の二つ星レストラン「ル・パルク」とブラッスリー「ル・ジャルダン」の総料理長として活躍する実力派シェフ、フィリップ・ミルが六本木ミッドタウンのガレリア「六本木テラス 」に自身の名を冠した、日本初のレストランを2017年3月にオープンした。
シェフ就任からわずか2年でミシュランの二つ星を獲得、2008年のボキューズ・ドール国際料理コンクールで3位入賞を果たすなど、現在フランスで三つ星にもっとも近いシェフといわれている。

 

 

 

 

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本場のシャトーホテルを踏襲した「優雅なシャンパーニュサロン」をコンセプトに、大手有名メゾンはもちろん、こだわりの小規模な作り手も網羅、上質なシャンパンを豊富に揃える。本店同様、コース料理ひと皿ひと皿とのマリアージュをシャンパーニュで織りなすデュギュスタシオンコース(3種で4500円から)や、グラスでもプレステージ・シャンパンを含めた数種類のメゾンから常時セレクションすることができる。陽の光が降り注ぐ開放的な店内は全面ガラスに高層ビル群を見渡す都会の眺望と隣接する檜町公園の緑溢れる広々としたガーデンテラスを備えた贅沢なスペース。眺めのよいゆったりとした個室も心地よい。

 

 

 

 

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フィリップ・ミル・シェフは、「ラ・セール」、「ホテル・ムーリス」などパリの名門レストランでの修業を経て、「レ・クレイエール」総料理長に就任。フランス料理の王道をいく確固たる技術や哲学を探求しながらも、アーティストのような目にも美しいモダンスタイルのプレゼンテーションで独自の世界観を表現する。
日本でのオープンに際しては、爽やかな酸味を加えるため柑橘類を使うなど日本人の好みの味を研究してきた。

日本の厨房を託されたのは、1977年、新潟生まれの藤田博和シェフ。「料理の鉄人」やグルメ番組が全盛の頃、料理の盛り付けの美しさなどに憧れ、気づいたときにはフランス料理への道を進むことしか考えていなかった。
専門学校卒業後、ボキューズ・ドール国際料理大会で日本代表となり、日本人史上初の6位入賞を果たした、当時の「サンス・エ・サヴール」の長谷川幸太郎シェフのもとで熱心な指導を受ける。「オーベルジュ・ド・リル」、「ボタニカ」などで研鑽を積み、フランスでもジュラ地方で修業した。

今回のオープンにあたっては、現地「レ・クレイエール」でフィリップ・シェフのもと研修をした。藤田シェフいわく、これまで味わったフランス料理のなかでも1番クオリティが高いと思ったというフィリップ・シェフの料理。素材を活かした創造性豊かな味わいに目にも鮮やかなビジュアルでゲストのサプライズを大切にする。産地は問わず、おいしい素材を発掘するため生産者には頻繁に足を運んでいるという。愛らしいサイズの野菜を好み、プレゼンテーションにも細かいところまで手をかける。スケッチをしていたり、お皿の前で盛り付けをしばらく考えていたりする姿を藤田シェフはよく見かけるという。パティシエはレ・クレイエールでフィリップ・シェフのもとで4年仕事をともにし信頼関係を築いてきた石田佳奈子さん。
毎日フィリップ・シェフと電話でやりとりして、日仏異なる部分は藤田シェフが調節しながら本場の味を追求する。写真を撮ってイメージを送り、盛り付けに関しても細部に至るまで確認している。
季節ごとにフィリップ・シェフが日本を訪れ、メニューを監修。トリュフなどフランスから輸入もするが、8~9割は日本の食材を使っており、日本ならではのテロワールを感じて欲しいという。
シャンパンは海の幸にも肉にも合い、さまざまなマリアージュが可能だ。本場からシャンパンと料理の幅広い楽しみ方やシャンパンの真の魅力を発信していく。

 

 

 

 

 

 

前菜 卵と赤ワインでポシェした半熟卵 じゃがいものニョッキ、キャビアのせ  7,500円

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フィリップ・シェフのスペシャリテ。56度で暖めた半熟卵に赤ワインで味付けする。5リットルの赤ワインを10分の1になるまでベーコンと赤いビーツを加えて煮出していく。煮詰まったものに生クリームやバター、コーンスターチで濃度をつけて卵にまとわせる。温度管理した冷蔵庫で10日間保管、卵白のプロテインを壊すと火を入れた時につるっとむける。下にはシャンピニオンのデュクセル、キャビアの下はニョッキ、ヴァンジョーヌでソースをからめる。ニョッキのもちもちした食感、サクッとしたシャンピニオンにカリカリとしたチュイルなどのさまざまな食感をとろりと卵がすくいあげ、キャビアの塩気がアクセントに。

 

 

 

 

 

メイン シャンパンに地方の赤ワインをまとった小さなファルシ 6,000円

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こちらもフィリップシェフのスペシャリテ。クレイエールで使っている鳩と同じものを使う。ファルスの中身はフォアグラ、マッシュルームのソテー、鳩のささみ、鶏のムースでつないで、ビジュアルのイメージは胸肉。袋状になるように観音開きにして中に詰め、また同じ形に閉じてもどす。ソースをまとわせるため外側には薄皮を巻く。ベースは牛テールの赤ワイン煮、鳩の手羽とネックの骨を香りづけしたもの。豚の血を入れてコニャックとシェリービネガーで味を整える。根セロリのソースをゼブラ状にまとわせ、根セロリのピューレで枠を作り、ソースはシンプルに鳩のジュのみ。
つけあわせはココットで蒸したミニチュアの野菜。フランスと同様の小さなサイズの野菜を探すのに苦労したという。滋味豊かな異なる肉の味わいと、根セロリの爽やかな香りとのバランスが絶妙。

 

 

 

 

 

デザート 六本木テラスに訪れる冬 1,800円

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下からゆずとバニラアイスをのせたものをカカオバターで固め、さらにホワイトチョコレート、その上にゆずと和栗のマーマレード、さらにフロマージュブランと和栗のムース。その上にオパリーヌ、バニラとゆずのアイスクリーム。最後に雪の結晶の飾りをのせる。コンクールに出たときにフィリップ・シェフと石田さんが一緒に考えた思い入れのあるデザート。いくつもの層を一度に口に入れるとバラエティに富んだ食感と味わいが広がる。

 

 

 

 

 

 

 

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六本木テラス フィリップ・ミル
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス 4階
東京メトロ日比谷線、都営地下鉄大江戸線 六本木駅直結
TEL:03-5413-3282
ランチ11時~15時30分(LO14時)、ディナー17時30分~23時(LO21時)
ランチ3500円、5500円、7500円、10000円、ディナー8000円、1万2000円、1万4000円、18000円(サービス料10%別)
定休日:なし

photo&text Miki Yamashita

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