古民家をスタイリッシュにリノベーションした赤湯の老舗温泉「山形座 瀧波」

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年12月30日

山形座 瀧波

東京駅から山形新幹線で赤湯温泉まで2時間20分。12時発の列車に乗り、2時20分に赤湯駅に到着すると、滞在する宿、「山形座 瀧波」の迎えの車が待っていてくれる。

「赤湯温泉」は、山形県南陽市にある小さな温泉町。町の中に14軒の温泉旅館と4つの公衆浴場が点在する。山形県の開湯から約900年の歴史を持ち、米沢藩の湯治場としても親しまれてきた。「赤湯」の由来は、900年ほど前、八幡太郎義家の弟義綱が発見した温泉に、戦いで傷ついた家来を入れるとたちまち傷は癒え、傷から出た血で温泉が赤く染まったことだという。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物温泉。源泉は63度で、きり傷、やけど、皮膚病などに効く。

周辺の置賜盆地では葡萄の栽培も盛んであり、個性あるワイナリーが点在する。赤湯には4軒のワイナリーがあり、試飲も可能。4つのワイナリーを巡ってお気に入りのワインを見つけるのも楽しい。
「日本の桜名所100選」にも選ばれた烏帽子山公園には、千本桜があり、桜が咲く頃、赤湯温泉が一番賑わうのだという。

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そんな町の景色を眺めながら、10分弱で「山形座 瀧波」に到着。アクセスが抜群によい。大正4年に創業し、2016年、100周年を迎えた老舗。上杉家ゆかりの庄屋を移築し、改装したという趣きある古民家に、純和風の客室、湯量豊富な温泉、地の食材を活かした料理で多くの旅人を迎えてきた。
 
そんな瀧波は、2017年10月、全館リノベーションし、リニューアル・オープンしたばかり。移築した茅葺の重厚な大手門をくぐれば町の喧騒から解き放たれ、非日常の静けさに心和む。古民家の扉を開くと、昔のままの欄間を残した広い畳が広がる。その和の佇まいとは対照的に無垢素材のウッドフロアのロビーラウンジに配置されているのは、ヤコブセンのスワンチェア、イームズ、トム・ロッサウのフロアライトなどのデザイナーズ家具。古民家にナチュラルモダンな設いが粋なインテリアだ。

IMG_8327北欧のデザイナー、ヤコブセンのスワンチェアに座ってチェックインすると、ウエルカムドリンクには山形産の秘伝豆のずんだあんにバニラアイスを溶かした「ずんだスムージー」。濃厚、豆の甘味がぎっしりのシェイクが新鮮だ。

 

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延べ床面積約3000平米という広大なスペースに客室はわずか19室。木の蔵・土の蔵を改装したKURA、移築した木造小学校を利用したSAKURA、山形の家具や工芸品をあしらったYAMAGATAの3タイプ。ひと部屋ひと部屋デザインが異なり、ファミリーからおひとりさままで、さまざまなシチュエーションに対応してくれそうだ。

たとえばKURA01は115平米もあるスイート仕様。メゾネットタイプもあり、上階は琉球畳敷のベッドルーム、下がリビングと露天風呂。全室天井が高く、真っ白な壁に太い梁と北欧風インテリアが不思議とマッチしている。部屋はただただシンプルに、白いリネンのベッドと和風に施された庭が見渡せる大きな窓に向けたソファのみが置かれている。

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すべての部屋にかけ流しの温泉付き。1階部分にある部屋には専用の巨石風呂、2階には、檜風呂。注がれるのは、一切混じりけのない源泉。もちろん、大浴場も源泉かけ流しで、良質で知られる赤湯の湯を心ゆくまで堪能できる。
 

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玄関庭の飲泉所では、温泉を飲むことができる。ほんのり塩味、出汁のごとく奥行きのある味わいには、二日酔いなど不調を和らげる効果もあるという。

温泉の新鮮さを保つ設計にもこだわりがある。湯船の下から源泉を注ぎ込み、空気にふれないように考案された。硫黄の香りが漂い、湯船に入ると肌に吸い付くようなお湯は、血行促進して巡りが良くなる。塩の成分が肌をコーティングして、湯上り後も暖かくしっとり感が続く。
厚手のパイル地のバスローブはふかふか、部屋着はオリジナルデザインのスエット上下。靴下も用意されており、全館無垢素材のフローリングにスリッパは不要。バスアメニティも友人のサロンと開発したオリジナルを備える。

 

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ロビーラウンジで用意されているコーヒーを飲みながら静けさに身を任せて休んでいると、夕方、宿のスタッフによる山形伝統の花笠踊りのパフォーマンスが始まる。全員山形出身のスタッフが踊る輪のなかにゲストも参加して盛り上がる。
続いて、キッチンカウンターでそば打ちの実演を見学。ゲストとともに会話をはずませながら夕食にふるまわれる10割そばができあがっていく。

 

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IMG_8339IMG_8340IMG_8343IMG_8344IMG_8345IMG_8347夕食はそば打ちを見学したオープンキッチンをコの字型に囲むカウンタースタイルのダイニングで。大前拓哉料理長が山形の食を語りながら料理を仕上げていく。食材のこだわりや料理のストーリーを聴きながら、ゲストとともににぎやかに食事を楽しむことができる。ゆっくりしたいときやひとり旅、カップルはプライベートを満喫できる個室もある。山形は吟醸酒に銘酒が多く味の幅も広いが、山形産の本格派銘柄を常時30種以上そろえている。
赤湯のある置賜盆地は土地が肥沃で、有機野菜や果物を作る農家も多い。山形野菜、庄内の魚介、米沢牛など地の素材を使い、調味料はすべて天然醸造。旬の食材が毎日変わるという意味からダイニングの「1/365」と名付けられた。
まずは、上杉家の伝承、冷汁から始まり、森の幸、山の幸、海の幸が続き、ハイライトは米沢牛。さまざまなハーブを香りづけし絶妙の火入れで供される。そして、シメのご飯はもう一つのメインディッシュ。日本有数の米どころ置賜盆地でつくられる金賞受賞の有機無農薬のコシヒカリやツヤヒメなどを厳選し、良質な飯豊山の湧水で炊き上げる。打ち立てのそばが最後のお楽しみだ。

 

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IMG_8354IMG_8355一夜明けて目が覚めると、ベッドの目の高さから大きな窓にまるで絵画のような美しい庭が見渡せる。この風景のなかで温泉にあたたまるのは贅沢な朝の始まりだ。
昨夜とは異なる品種のこだわりご飯に地元の野菜中心の朝食はヘルシー。デザートの名物ずんだ餅を食べれば、お土産にお餅を持ち帰りたくなる。新幹線の時間に合わせて駅までの送迎してもらい宿をあとにする。

 

 

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3代目の若旦那、須藤宏介さんは、子供のころから自然と実家の宿の仕事を手伝っていたが、高校卒業後はアメリカの大学に留学、コミュニケーション学を専攻した。人に携わる仕事がしたいと思い、旅館を継ぐことを決めた。そのために、広島や北海道の旅館に修行に出た。赤湯にもどってきて、旅館を再生に尽力することになる。純和風の旅館を古民家を活かしたスタイリッシュな快適空間に大胆リモデルさせた。そのなかに山形の魅力を凝縮。部屋の温泉に自由に入り、ソファに座って庭を眺めているだけでリラックスでき心休まる。そして、なによりも地元出身のスタッフのチームワークが良く、温かいホスピタリティが大きな魅力だ。

 

山形座  瀧波

〒999-2211 山形県南陽市赤湯3005
TEL0238-43-6111
MAILinfo@takinami.co.jp

http://takinami.co.jp/

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