「プーシキン美術館展―旅するフランス風景画」で初来日、モネ「草上の昼食」

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2018年04月14日

「プーシキン美術館展を―旅するフランス風景画」開幕

東京都美術館4月14日から7月8日まで

 

01.クロード・モネ/草上の昼食クロード・モネ 《草上の昼食》 1866年 

モスクワにある国立美術館、プーシキン美術館は、古代エジプトから近代までの絵画、版画、彫刻など幅広く収蔵する。1912年にモスクワ大学の附属美術館として開館し、文豪アレクサンドル・プーシキンの没後100年の際に 現在の名前に改称した。フランス文化の影響を強く受けたロシアには、多くのフランス絵画が残されているが、印象派を中心とするフランス近代絵画コレクション所蔵としては世界屈指のプーシキン美術館。そのうち、17世紀から20世紀にかけてのフランス近代風景画に絞り、65点が来日する。神話から始まり、パリの都市景観、近郊の眺め、南フランスの豊かな自然、想像の世界の旅へと視点を向けていったフランス風景画の4世紀にわたる歩みをたどる。西洋美術史上最もきらびやかな個性あふれる画家たちが誕生した印象派からフォービズムまでの変遷を見ることができる貴重な機会だ。

 

 

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プーシキン美術館のマリーナ・ノシャック館長は、「日本でフランス絵画コレクションを紹介するのは3回目ですが、風景画というジャンルで区切った展覧会は初めて。時に叙情的であったり時にドラマチックであったり、優れた作品に心揺さぶられるでしょう。絵画で美しいフランスの風景を巡る旅を楽しんでください」とオープニングに際して挨拶した。

 

今回初来日となるモネの《草上の昼食》は、海外に出すことはほとんどない、といわれており、この作品を鑑賞することができるのは幸運だ。
作品の舞台となったのは、パリの南東60キロメートルほどにあるフォンテーヌブローの森のはずれ。現在のバルビゾンの北に位置する。鉄道網が整備され、パリから1時間余りで行くことができるようになり、フォンテーヌブローの森を訪れる人々が増加した1850年代。かつて貴族の狩場であった広大な森は、流行のファッションに身を包んだ若者や芸術家たちが集まる新しいトレンドを発信する舞台となった。
本作はモネが26歳頃に描いたとされ、当時の恋人カミーユ・ドンシューも登場し、モネの青春真っ只中の作品。よく見ると右手の木の幹にハートのマークとPの文字が彫られている。それが何を指すのかはまだ謎だ。芸術家の真意をロマンチックに想像するのも楽しい見方だ。

 

 

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今回の展覧会は、絵画の描かれた時代と場所を軸にしながら、フランスの近代風景画の流れを紹介する。1階部分の第1部は「風景画」の成り立ちとその展開を作品で追っていく。

東洋文化が風景をテーマに絵画を描いてきたのと対照的に、西洋文化では、風景は神話や聖書の物語の背景とされてきた。「風景画」というジャンルは、16世紀ごろにネーデルランド(オランダやベルギー)。で始まったといわれている。やがてフランスの画家たちも自然に目を向け始め、神話の物語の中でも風景をメインにした作品を描くようになっていった。長く美術ヒエラルキーの中で宗教画や歴史画より格下とみられていた風景画の価値がフランスで認められるようになったのは、18世紀のフランス革命期だという。

 

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理想化された表現から、身近な自然を表現するようになったのが、19世紀のバルビゾン派だった。パリ郊外のフォンテーヌブローの森に近い小さな村、バルビゾンに移り住んだ風景画家のグループを指し、コローやミレーをはじめとする100人以上の画家がいた。自然主義的な風景画や農民の姿を描いて新しいスタイルを確立した。

ナポレオン3世の構想に沿ってセーヌ県知事オスマンの大改造でパリは大変身した。2階の第2部は「風景の場所」に注目して大都市パリを追った展示となる。

改造は非衛生的なパリに光と風を入れることを主目的とした。光を捉えようとする印象派の画家たちは、近代都市として生まれ変わったパリの街を歩いてセーヌ河沿いやブーローニュの森など身近な風景画を描いた。

産業革命が起こるとモチーフも一変した。発展する都市とその生活がテーマとなる。ビジネスに成功し画家たちのスポンサーとなったブルジョワ階級からは、歴史画よりも自分たちに身近な題材を依頼された。今回初来日するモネの「草上の昼食」はそんなブルジョワ階級のイメージを描いている。憧れていたマネの同名の絵画に触発された印象派の序章となる作品だ。


 

 

 

 

09.ポール・セザンヌ/サント・ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺めポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》 1905-06年

1841年に発明されたチューブ絵の具が普及すると印象派の画家が戸外で使うようになった。さらに、パリからの鉄道網が発達すると、画家たちも鉄道を使って郊外に出かけ、さらに南フランスまで旅するようになる。

ポール・セザンヌがアトリエを構えたのは、フランス南東部のプロヴァンス、サント=ヴィクトワール山を臨む場所。《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》は、このアトリエからの眺めを描いたもの。今回の美術展では、セザンヌはこの作品より20年以上前に描いた《サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め》も出品される。2作品を比べてみたい。

 

 

 

 

12. アンリ・ルソー/馬を襲うジャガー 3351(色補正済み)_Sアンリ・ルソー 《馬を襲うジャガー》 1910年

19世紀のパリでは、万国博覧会でさまざまな異国の文化が展示され、エキゾチシズムが流行し、ゴーギャンのように南太平洋のタヒチへ向い現地で制作する画家もいた。一方、ルソーはフランスを出ることなく、パリの植物園や動物園に通い、熱帯のジャングルを描くイマジネーションの世界に浸る旅人だった。

西洋美術史上最もきらびやかな個性あふれる画家たちが誕生した印象派からフォービズムまでの変遷を見ることができるこの貴重な機会は見逃せない。ゆったりとした展示室でさまざまに移り変わるフランスの風景にタイムトリップしたい。

 

2018年4月14日~7月8日。月曜休室(4月30日は開室)。
午前9時30分~午後5時30分(金曜は午後8時まで)。
一般1600円、大学生・専門学校生1300円、高校生800円、65歳以上千円。中学生以下無料。
http://pushkin2018.jp/

文*山下美樹子

『プーシキン展開幕スペシャル 水谷豊の絶品名画探訪』
4月21日(前10:30~11:00)にテルビ朝日で放映予定。イヤホンガイドの音声も担当するオフィシャルサポーター、水谷豊さんからの依頼で、フレンチの巨匠、吉野建シェフが「プーシキン美術館展」に出展されている名画のエッセンスを込めた「フランス風景画のフルコース」を考案。モネの「草上の昼食」から創作したメインディッシュなどが披露される。

(C) The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

 

 

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