名料理人のスペシャリテ 美食リレー⑰洗練されたスペイン料理を大人の隠れ家で「アルドアック」

カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2018年07月09日

人気シェフの自慢のスペシャリテをご紹介、次の料理人を推薦していただきリレー形式でつないでいく連載17回目は、モナリザ出身、正統派フランス料理の「ラ・クレリエール」の柴田秀之シェフの紹介で、コース仕立てのスペイン料理店「アルドアック」の酒井涼シェフにご登場いただきます。

 

アルドアック(Ardoak)

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代々木八幡駅南口を出て右に進み、山手通りの下をくぐって左折、そのまま道なりに進む。富ヶ谷図書館の斜め前、それを目指せばまちがいない。左手に縦長のスタイリッシュなコンクリート打ちっ放しの建物が見える。このマンションの2階が「Ardoak(アルドアック)」。矢印が示す重そうなドアをあけると、奥に続く8席のカウンターが目の前に飛び込んでくる。まさに隠れ家という言葉がぴったりの、知る人ぞ知るスペイン料理店だ。

 

 

 

 

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オーナーシェフの酒井涼シェフは、渋谷のスペイン料理店「サン・イシドロ」にて約8年間シェフを務めた。アパレル業界で1年ほど働いたあと、雑誌のスペイン料理特集に触発され、その本に掲載されていた「サン・イシドロ」の門をたたいた。仕事をやめてヨーロッパをまわったとき、スペインの印象が心に深く刻まれていたこともあった。

母親が料理上手でおいしい家庭料理に慣れていた酒井シェフは、食べることが好きで、もともと料理人への憧れをもっていた。最初に選んだ道は、アパレル業界。しかし、すぐに進路変更し、料理人をめざす。はじめに違う道に進んだ時点ですでに遅れをとっている、と考え、フランス料理より競争の少ないスペイン料理に興味をもった。
スペイン料理といえば、エル・ブリの洗練された先端の料理からサン・セバスチャンのバル文化などトレンディなイメージがあるが、「サン・イシドロ」で仕事をしていた頃は、スペイン料理が今以上に認知されていなかった。メニューといえば、パエリヤ、アヒージョ、スパニッシュオムレツなど定番料理。当時はスペインの郷土料理のレストランが都内に20店舗ほどあるだけで、エスニック料理店の位置づけだった。

スペインは地方によって特色がある。スペイン人は自分の故郷贔屓で、ほかの地方の料理は興味がないことも多いというが、「サン・イシドロ」のオーナーは、スペイン人以上にスペインを研究して各地の郷土料理にも精通していた。そんな環境のもと、酒井シェフは、スペイン料理全般を習い、ときには現地に飛び、学んだ料理をひとつひとつ確認してきた。

 

 

 

 

 

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サン・イシドロをやめたあとは、牛込神楽坂「バルマコ」の立ち上げを経験。「サン・イシドロ」はクローズドキッチン、「バルマコ」はバルの形態。カウンター業務を学び、“バル”と“レストラン”には違いがあることを悟った。独立を考えていた当初はバルをめざしていたが、バルは1品1杯で帰るような居酒屋スタイルだ。バルの活気を味わうことはできたが、スペイン料理を知ってもらうことは難しい。そこで、スペイン料理を堪能してもらうコースだけに限定をして「Ardoak(アルドアック)」をスタートさせた。おりしもバル全盛時代、コースというと予約の電話も切られ、当初は苦労がたえなかったという。

現在「Ardoak」で提供しているディナーメニューのコースは2種類。3か月ごとに入れ替わるスペインの17の地方から選んだ郷土料理、「Tradicional」。7月から9月は、カナリア諸島の料理が用意されている。そして、郷土料理をベースに日本の食材も加えながらオリジナルのアレンジをほどこしたコース「Drgustacion」。コストパフォーマンスにもすぐれ、これほど美しく洗練されたコース仕立てのスペイン料理は稀有な存在だ。
Ardoakとは、バスク語でワインのこと。ヴィジュアルも麗しいガストロミックなスペイン料理を、常時300種ほども備えられたワインとともに楽しみたい。

 

 

 

 


デグスタシオンコースから
アメリカンチェリーとトマトのガスパチョ

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IMG_9575フルーツガスパチョは、取材時、アメリカンチェリー、その前はいちご、次は桃となる予定。合わせて具材も変え、今回は、いわしの酢漬け、トマト、ヨーグルト。コクがあり、フルーツの優しい甘みがトマトの酸味とマッチする。ガスパチョはスペイン料理としては市民権を得てきたので、季節のスターターとして出している。スペイン料理ではイワシがよく使われるため、冬はイワシを使ったピンチョスなどが多い。

 

 

 

 

 

 

 

いかのパスタ仕立て  いか墨のソース
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白いかをそうめん状にして、生ハムの骨でをとっただしを煮詰めて温め、余熱で火を入れて、下ににいか墨のソースをしき、上にいちじくを削ってかける。すべて混ぜてざくっといただく。いか墨のソースもいかの香りだけを強く感じることなく、野菜の甘みがしっかり味わえる。やわらく火を入れたいかに、いちじくの香りが爽やか。
スペイン料理は、にんにくのイメージがあるが、たまねぎが重要な要素。たまねぎでしっかりうまみをだすことを重視している。いか墨のソースのとろみは、ほぼたまねぎから。いか墨はそれ自体にはいかの香りがそれほどないので、なにか旨みを加えることで、相乗効果がでるという。大量のたまねぎと少しのトマト、いか墨だけを加えたソースでさっぱりと。スペインのトマトは酸味と青くささが特徴。噛むとじわじわ旨みを感じる。対して日本のトマトは甘い方向へどんどん進んでいるので、郷里の春日部の知り合いの農家に頼んで、固くていいからと、ごつく作ってもらっている。

 

 

 

 

 

マッシュルームとピキージョピーマンの詰め物

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コースで通年、定番のお皿。グランマッシュルームの軸を抜いたなかに生ハムと椎茸をペーストにして詰め、上にラルドをのせたものと、ピキージョというスペインの赤ピーマンにたらとえびのペーストを詰めたもの。ソースは同じ赤ピーマンと少しのトマト、クリームで伸ばす。ほかにバルサミコを使ったにんにくソースとパプリカパウダーを使ったソースでバリエーションが楽しめる。

 

 

 

 

 

 

白にんじんとホタテの米料理 アリオリソース添え

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豚や鳥、野菜を合わせてとっただしで炊いた米に白にんじんとホタテをのせる。スペインはこのように海の幸と山の幸を合わせる料理が多い。季節などにより魚介、いか墨の米料理もある。使用したのはバレンシアの米。肉のダシに炊いた米とホタテを合わせる。スペイン料理というとパエリャをイメージする人が多いので、スペイン料理の醍醐味を感じてもらいたい一品。

 

 

 

 

 

 

 

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アルドアック(Ardoak)
東京都渋谷区上原1-1-20JPビル2F
小田急線「代々木八幡駅」南口から徒歩3分
千代田線「代々木公園駅」1番出口から徒歩3分
「渋谷駅」から京王バス61・63・64・66系統
03-3465-1620
ランチ(土日)12:00-13:00 3600円+税
ディナー18:00-21:30
デグスタシオン コース  7,500円+税
郷土料理コース 5,000円+税
水曜日休み
http://ardoak.biz/

 

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