パリコレ・モデルから写真家へ 安珠の集大成写真展『ビューティフル トゥモロウ』

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2018年07月11日

 

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「この世に永遠はない」と知ったのは、死に直面した10歳の頃。初めてのモデルの仕事で、写真が自分の命よりも長く生きると気づき、「一瞬の永遠」を残そうと思った。
それが、安珠さんが写真家になろうとしたきっかけだ。「過去に囚われず、今日を純粋に生きれば、明日の世界はより美しい」と感じる安珠さんが『ビューティ フル トゥモロウ』というタイトルに託した思いは、大人が忘れた少年少女にしか持ち得ない心情。
デビュー以来「少年少女の世界」を撮り続けてきた。『サーカスの少年』『少女の行方『『hoshi no hito』 『星をめぐる少年』『眠らない夢』を集めたこの写真展は、その集大成。1990年~1996年の作品約120点をデジタル化し新たにプリントした。さらに新作約15点と、それぞれの ムービー作品を合わせて展示。それぞれのムービーに合わせて、細野晴臣氏の音楽が会場を包む。

 

 

 

 

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会場デザインを担当したおおうちおさむさんは、「ピンク色の幼年耽美の象徴である壁を抜けて、レトロスペクティブへ誘われたのち、ビューティフル トゥモロウへ昇華する」空間を造り上げた。ピンク色の壁に開けられた4つのゲートは、これまでの作品の4シリーズ。どこからでも自分の感性に任せて入ってよい。人それぞれ見る順序が異なり、その人なりの編集が成立する会場構成になっている。

 

 

 

 

 

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入り口には、岡本太郎作『痛ましき腕』へのオマージュ作品として『Ribbon』が、そして出口は、最新のキャノン5Dsで撮影した巨大ユニコーンが掲げられた。その森を模した空間には、一点で完結するコ ンセプチュアルな新作、7歳と70歳のポートレートの『ジュネーの法 則』。また『distance』では、幻想的な少年世界を創造したフランスの写真家ベルナール・フォコンが蒐集した少年のマネキンを被写体に、少女からの視点で撮影し少年と少女の距離を表現。フォコンが蒐集したマネキンも、コレクション以外での展示は今回初めてという特別展示がなされており、エントランスでは会場にゲストを招き入れてくれる役割を果たしている。さらに前ボケ部分を和紙にプリントした、思い入れの深い二重構造の作品も登場。蝶が和紙に包まれて蛹のようだ。

 

 

 

 

 

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「好きな世界を自由に作ってほしい」と依頼者から託されて少年少女の夢夢しい世界を創ってきた安珠さん。『不思議の国のアリス』や『星の王子様』を写した少年少女は、儚くも鋼のような強さを放っている。それは作家そのものを写したものでもある。
我々より、少年少女の1日は遥 かに長く、未来は永遠である。老人にとっても、その頃の記憶は昨日よりも鮮明であり続ける。だからこそ、美しい世界に気づく今日でいたい。そんな写真家の思いを体感できるアート空間にどっぷり身を沈めたい。

 

 

 

 

 

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概要 ○開催日程:2018年7月11日(水)~2018年8月28日(火) ○開館時間:10時~17時30分 ○休 館 日:日曜日・祝日 ○開催会場:キヤノンギャラリー S(住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー1階) ○交通案内:JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分 ○入 場 料:無料 ○会場音楽: 細野晴臣

■写真展にまつわるトークイベントを開催。
1)講演会開催の案内 
・日時:2018年7月14日(土)14時30分~16時
・ゲスト:作詞家 松本隆氏、音楽家 細野晴臣氏
・会場:キヤノン Sタワー3階 キヤノンホールS
・定員:先着300名
・申込み:canon.jp/gallery
・参加費:無料
◎『サーカスの少年』で小説を書いた松本隆氏、会場音楽で参加する細野晴臣氏の「少年少女時代、写真と創作」についてトーク。ゲスト二人 がトークショーに登場するのは初めて。
2)ギャラリートークショーの案内
・日時:2018年8月 3日(金)18時00分~18時40分 ・日時:2018年8月23日(木)18時00分~18時40分 ・ゲスト:スペシャルゲスト(近日サイトにて発表)
・会場:キヤノン ギャラリーS
・定員: 50名予定
・申込み:canon.jp/gallery
・参加費:無料
◎トークショー、ギャラリートークショーの当日、会場で書籍、ハガキなどの物販あり。
               

 

 

IMG_9620安珠(あんじゅ)   東京生まれ。デザイナーのジバンシーにモデルとしてスカウトされ渡仏。パリを拠点にパリコレ や世界各国のvogueを飾り、国際的に活躍。帰国後、写真家に転身。1990年にデビュー作『サーカスの少年』を出版。 以来、文章を織り交ぜた物語のある独自の写真世界を表現。広告や雑誌 連載、文筆や講演、審査や映像監督まで幅広く活躍。主な作品集に、『サーカスの少年』『少女の行方』『星をめぐる少年』『恋文の森』『眠らない夢』『ANBIENT-M』『少女日記』『小さ な太陽』など多数。2013年、全国のキヤノンサロンで巡回した世界自然遺産・張家界『仙人の 千年、蜻蛉の一時』は中国でも評価が高く、長期に渡り撮影中。 2014年、77人の子どもの夢を 取材をした『Dream Linking☆つなぐ夢、千年忘れない』刊行。プロジェクトを立ち上げて現在 まで多くの写真展と講演を行う。2017年、「平安京」に焦点を当てた『Invisible Kyoto-目に見え ない平安京-』は、2019年に大規模な写真展を開催予定。HP=https://www.anjujp.com 

 

文*山下美樹子

 

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