石戸谷結子のオペラ散歩 ミュンヘン・オペラ・フェスティバル グルメ&スパ案内

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2018年09月26日

クラシック音楽、なかでもオペラを専門に、多数の評論を執筆。難しく思われがちなクラシック音楽をわかりやすく解説し、多くのファンを持つ音楽ジャーナリスト、石戸谷結子さんが、世界の劇場を巡り、オペラの楽しみ方を教えてくれる連載、「石戸谷結子の世界オペラ散歩」第12回目は、ドイツ・バイエルン国立歌劇場」で開催されるミュンヘン・オペラ・フェスティバルでのオフの過ごし方を紹介していただきます。

ミュンヘン・オペラ・フェスティバル②  アフター・オペラに行きたいレストラン

 

IMG_1130プリンツレゲンテン劇場の内部 バイロイト祝祭劇場を真似て建造

ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場は3つの劇場があり、そのうちの1つ、「プリンツレゲンテン劇場」で上演したハイドンの「オルランド・パラディーノ」を観た。この演目はめったに上演されないもので、今夏のミュンヘン・オペラ・フェスティバルの目玉の一つで新演出上演(プレミエ)だ。これは素晴らしく面白かったのだが、その前に「グルメ」の話を聞いて下さい。

 

 

IMG_1224レストラン「ケーファー」のランチ

プリンツレゲンテン劇場はイザール川を渡り、平和の天使像のある公園を過ぎて真っすぐ進んだ、プリンツレゲンテン通りにある。劇場へ行く前に立ち寄りたいのが、高級食材店「ケーファー」のレストラン。日本の三越にも店を出す超高級店で、ワインやチーズ、ハム類がぎっしり。レストランもとても美味しい。2階のレストランと1階のビストロがあるが、道路わきにあるビストロがお薦め。また、オペラ終了後は劇場の向かいにあるインド料理店「SWAGAT」がお薦め。友人に連れていってもらったのだが、バラエティあるメニューの上、夜遅くまでやっているので、劇場帰りの人で満員の盛況だ。

 

 

 

ハイドン「オルランド・パラディーノ」が秀逸 

IMG_1291オルランド・パラディーノ

ところでプリンツレゲンテン劇場はバイロイト祝祭劇場をモデルに建てられており、劇場そばの公園にはワーグナーの坐像もある。内部は優雅なユーゲントシュテール様式で装飾され、おしゃれな劇場だ。今回は「ニーベルングの指環」全曲の他、ディアナ・ダムラウ主演、チャールズ・カストロノ―ヴォのアルフレードで「椿姫」、アーウィン・シュロットが出演した「シチリア島の夕べの祈り」を見たが、「指環」を除けば最も面白かったのが、「オルランド・パラディーノ」だった。演出家はアクセル・ラニッシュという若い人で、映画「シネマ・パラダイス」のパロディみたいで、全体を喜劇に仕立ててある。もともとは荒唐無稽な騎士伝説で、そのまま上演したのでは面白くない。そこで舞台を1950年ころ?のつぶれかけた映画館に設定し、映画で老人たちが古い騎士物語を見るという演出。そのうち映画から登場人物が実際に現れ、虚構と現実がごっちゃになり、抱腹絶倒のドタバタ喜劇になる。

 

 

 

IMG_1292オルランド・パラディーノ

演奏はアイヴォール・ボルトン指揮で、歌手は若手中心で演技も巧い。魔女役にはタラ・エロート、アンジェリカ役はアデラ・ザハリア、脇役だがパスクワーレ役のデヴィッド・ポルティロの軽やかな高音が印象的。他のキャストもいずれも上り坂の若手実力派ばかりで、ミュンヘン・オペラの〝先見の明〝に感心する。ハイドンのこのオペラは長いので通常の上演ではカットが多くあるが、今回のプログラムにはそのカット箇所も明記しており、実は真摯な演出家の姿勢が読み取れる。

 

 

★ミュンヘンからのトラべル
「オペラ疲れを癒す、スパ温泉」

 

IMG_1222バード・ヴェリスホーヘンの公園「クーアパーク」

ミュンヘン郊外の旅といえば、ノイシュヴァンシュタイン城などルードヴィッヒ二世のお城めぐりやロマンチック街道めぐりが定番だが、二度目のミュンヘンなら趣向を変えて温泉巡りはいかがですか?
 ミュンヘン郊外にはたくさんの温泉がある。そのうちの一つ、「バ―ド・ヴェリスホーフェン」は日本でも有名な入浴剤クナイプの本拠地。セバスチャン・クナイプという神父さんが治療を目的に,塩の温泉に入浴する治療やハーブによる自然療法を研究して、多くの悩める人々を治療した。いまはその小さな町にたくさんのスパ・ホテルがあり、通常は1週間ほど滞在する。

 

 

 

 

 

IMG_1300ヴェリスホーフェン温泉

町中に花が植えてあり、バラの花などが咲き乱れる公園がある。わたしの場合は一人で一晩だけ、オペラ疲れをいやすために滞在した。駅近くのホテルにはゆったりしたスパがあり、屋内屋外のプールもある。2食付きなので、夜にレストランに行くと、なんと各国から集まった一人暮らしのおばあさんだけ5人が集められたテーブルに座らされた。最高齢は95歳! 1週間滞在しているという。他は南アフリカからやってきた60代の女性とドイツの70代80代の女性たち。みなさん英語で世間話に花が咲いた。どこへ行ってもおばあさんは元気だ。
 街を歩いて見つけたのがカウフマンのポスター。なんと町の公会堂でリサイタルを行うという。小さな町のフェスティバルだが、こんな町にまで、大スターは降臨するのだ。日本には来ないけど。町はファッションのお店や宝石店などが多く、のんびりウインド―ショッピングするのも楽しい。ホテルによっては治療コースもあり、スパの他カウンセリングやマッサージなど、カラダとココロを癒してくれる。もしもオペラに疲れたら、あるいは心を癒したいかたは、ぜひこのヴェリスホーフェン温泉を訪ねてみて下さい。

 

 

 

IMG_1220 

IMG_1221シュタルンベルグ湖(上) ルードヴィヒ二世の魂を祭った小さな礼拝堂(下)

もう1か所、オペラの合間を縫って訪ねたのが、ルードヴィヒ二世が謎の死を遂げた、シュタルンベルグ湖。ミュンヘンから電車なら20分ほどでシュタルンベルクの町に着く。そこから遊覧船で1つ目のベルクという村で降り、徒歩20分ほど森の中を歩くと、ルードヴィヒ二世の魂を祭った小さな礼拝堂がある。その崖の下が、ルードヴィヒ二世の遺体が発見された場所で、そこには十字架が建てられている。岸からは数十センチ離れた浅瀬で、ここで泳ぎの達者だった王が溺死したのだという。ベルクでは王が滞在したベルク城も見ることができる。ミュンヘン郊外はココロと魂を癒してくれる場所がある。

 

 

 

石戸谷結子(音楽評論家)
Yuiko Ishitoya, Music Journalist
青森県生まれ。早稲田大学卒業。音楽之友社に入社、「音楽の友」誌の編集を経て、1985年から音楽ジャーナリスト。現在、多数の音楽評論を執筆。NHK文化センター、西武コミュニティ・カレッジ他で、オペラ講座を持つ。著書に「石戸谷結子のおしゃべりオペラ」「マエストロに乾杯」「オペラ入門」「ひとりでも行けるオペラ極楽ツアー」など多数。

観光局、宿泊施設などとの協賛企画、広告、スポンサーを随時募集しております。
雑誌、書籍などグルメと旅の企画執筆、旅程、宿、レストランなどのコンサルティングもお気軽にお問合せください。
問い合わせ先:agenceparis@groumet-traveller.com

Copyright © 2018 groumet-traveller,all Rights Reserved.
記事・写真などの無断転載は禁じられています。

Top