「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」 自ら造り上げた空間のなかで展示

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2019年02月18日

「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」
国立西洋美術館
2019年2月19日(火)〜5月19日(日)

13「ヴォワザン計画」図面の前のル・コルビュジエ「ヴォワザン計画」図面の前のル・コルビュジエと《多数のオブジェのある静物》(部分)1926年 ©FLC

20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエ。アメリカのフランク・ロイド・ライト、ドイツ出身のミース・ファン・デル・ローエと並び、「近代建築の三大巨匠」のひとりに数えられる。
スイスの高級時計の生産地ラ・ショー=ド=フォン生まれ。本名シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ。少年時代からデッサンや水彩画が好きで、当地の美術学校で学んだ後、ウィーン、パリ、ベルリンなどで建築と美術の新しい動向に触れた。1917年、パリを拠点に定め、1918年から画家のオザンファンの勧めに従って油絵を本格的に描き始める。
1920年からは「ル・コルビュジエ」の名で著述を行い、『建築をめざして』(1923年)をはじめとする数々の著作を発表。建築家としても活動を始め、近代建築の第一人者として国際的に注目されるようになった。
建築家として有名になってからも、午前中は絵を書き、午後に建築の仕事をしていた。また、結婚したときの職業欄には、「画家」と書くほど絵が好きだったという。

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ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館本館は、日本で唯一のル・コルビュジエ建築であり、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録された。本展は開館60周年を記念して開催されている。ル・コルビュジエ彼と同時代に活躍した作家たちの美術作品約100点に、建築模型、出版物、映像など、多数の資料を加えて構成されている。

 

 

 

12「サヴォワ邸」ル・コルビュジエ 「サヴォワ邸」1928年-31 ©FLC

「近代建築の5原則」や「モデュロール」など独自の理論によるル・コルビュジエの代表的な建築作品のうち、「ラ・ロシュ=ジャンヌレ邸」(1923-25年、フランス パリ)、「サヴォワ邸」(1928-31年、フランス ポワシー)、「国立西洋美術館」(1955-59年、日本 東京)など7か国17資産からなる「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献」が、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されている。

 

 

ピュリスムの画家ジャンヌレ

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無名の青年シャルル=エドゥアール・ジャンヌレは、芸術の中心地パリで近代精神を表現する新しい芸術、単純化した美しさを追求する「ピュリスム(純粋主義)」を提言。画家オザンファンとともに「エスプリ・ヌーヴォー(新精神)」という雑誌を編集・発行し、自らもたくさんの文章を書いた。その中で初めてル・コルビジエというペンネームを使って新しい建築について連載を始める。ここから建築家として知られるようになった。比例と幾何学により明確な構成を作るピュリスム絵画の展開をたどり、ル・コルビュジエの造形思考の発展過程を振り返る。上写真の右から2番目は、ル・コルビュジエが初めて描いた絵である。

 

 

 

キュビスムとピュリスム 1920年代パリの美術界

4《エスプリ・ヌーヴォー館の静物》シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)《エスプリ・ヌーヴォー館の静物》1924年   油彩、カンヴァス 81×100cm パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

20世紀美術に革新をもたらしたキュビスム(立体派)を、ル・コルビュジエはピュリスムの先駆と位置づけ、自身の絵画や建築への原動力とした。本展ではパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、フェルナン・レジェ、フアン・グリスの絵画と、ジャック・リプシッツ、アンリ・ローランスの彫刻により、ル・コルビュジエが刺激を受けた1920年代のパリの前衛美術環境を再現している。

 

 

 

絵画から建築へ ル・コルビュジエの多彩な活動

10「アメデ・オザンファンの住宅兼アトリエ」ル・コルビュジエ「アメデ・オザンファンの住宅兼アトリエ」(1922-23年) Photo Charles Gérard ©FLC

ピュリスムの後期の絵画のアイディアは、10年後に設計された「サヴォワ邸」「アメデ・オザンファンの住宅兼アトリエ」ほか多数の建築にも生かされている。

ル・コルビュジエの創造は多岐にわたり発展し、絵画から建築、都市計画、インテリア・デザインまで「新しい精神」に沿って広い領域にわたり実現した。1920年代の建築、家具をはじめ広範な業績を、ル・コルビュジエ自身の作品である国立西洋美術館の空間の中で紹介している。

 

 

 

 

 

1 パリ・ジャコブ通りの自宅におけるル・コルビュジエ    パリ、ジャコブ通りの自宅におけるル・コルビュジエと《多数のオブジェのある静物》(部分)1923年  パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代
2019年2月19日(火) ~ 5月19日(日)
国立西洋美術館 本館 
東京都台東区上野公園7-7
午前9時30分~午後5時30分(毎週金曜日・土曜日は午後8時まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
お問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600
展覧会公式HP:https://www.lecorbusier2019.jp

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