石戸谷結子の世界オペラ散歩⑰ウィーン国立歌劇場で「こうもり」を観るニューイヤー

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2019年02月23日

クラシック音楽、なかでもオペラを専門に、多数の評論を執筆。難しく思われがちなクラシック音楽をわかりやすく解説し、多くのファンを持つ音楽ジャーナリスト、石戸谷結子さんが、世界の劇場を巡りオペラの楽しみ方を教えてくれる連載、「石戸谷結子の世界オペラ散歩」第17回は、新年のウィーン国立歌劇場「こうもり」、フォルクスオーパーの「ドン・ジョバンニ」のレポートです。

 

 

 

お正月はウィーンで、ゴージャス気分。
リーズナブル・トラヴェラー実践編

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「家族そろって、ウィーンでお正月!」というと、さては大富豪か、と思われるけど、じつは違う。気分はゴージャスだけど、リーズナブルに旅する秘訣がある。2018年から19年にかけての年末年始、家族4人でウィーンに行って来た。今回は、オペラの旅というよりは、「リーズナブル・トラヴェラー」の実践編です。

「お正月はウィーンに行く」と決めたのは2018年の5月頃。まだ年末年始の休みが決まる前なので、12月28日から1月3日までと日程を勝手に決めてこの時点で、飛行機のチケット、オペラのチケット、アパートの予約を入れる。通常、お正月の飛行機代やツアー料金は2-3倍するのだが、半年前に自分で企画するとかなり割安。またアパートも選び放題。5泊で3回アパートを変えたが、2ベッドルーム、2バスルーム、100平米以上の広さで1泊の値段は平均37000円ほど。1人1万円以下だ。冷蔵庫、食洗器、洗濯機などがつき、家族4人には十分な広さだ。アパートは広いし気楽だが、マイナス面もある。ホテルなら必ずある荷物預かりやタクシー予約のサービスがなく、自分で何とかしなくてはならない。また鍵の受け渡しは事前にオーナーとメールでうち合わせる、という手間はかかるのだが。 

 

 

 

 

 

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「お正月のウィーン」といえば、必ず行きたいのが、「ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート」。しかし、いまやチケットは超高値の花。いろいろ調べた結果、行くのは諦めた。でももし来年行きたいという人には、「チケット入手方法」お教えします。
2020年の指揮者は、いまやちょっと熊さんのような風貌になったアンドレス・ネルソンス。昔はスマートでハンサムだったが。
公式にはウィーン・フィルのホームページから申し込むことが出来る。2020年のお正月なら、今年の2月1日から28日まで申し込み。しかし、宝くじなみの倍率なので、当選はかなり難しい。つぎにエージェントを通す方法もあり、これは早めに申し込み、お金さえあればかなりの確率で大丈夫。ちなみに、私のようにお金のない人は、諦めて下さい。ニユーイヤー・コンサート元旦の最高席は、昨年で一人75万円!。家族4人なら、なんと300万円になる。もちろん、ツアーは数社が企画しており、入場料込みで5つ星ホテルなら、5泊7日のエコノミークラスでも一人150万円は覚悟しないといけない。コンサートは1月1日のほか、12月30日、31日にもあり、チケットは少し割安になる。

 

 

 

 

 

 

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で、リーズナブル旅行者は1月1日、ウィーン国立歌劇場のオペレッタ、「こうもり」を観ることにした。半年前に申し込むと、1階席ではないが17000円ほどでそれなりの席をゲットできる。ちなみに子供のいる家族なら、14歳までならどの席でも15ユーロで買える。中学生までは優遇されるのだ。というわけで、リーズナブルに旅行するなら、半年以上前に計画し、飛行機やオペラ・チケットを予約してしまう。アパートはブッキング・コムなど、ホテル予約サイトから可能だ。
 ウィーン・フィル アドレス
https://www.wienerphilharmoniker.at/jp/new-years-concert/ticket-information
日本語あり

 ウィーン国立歌劇場  アドレス
https://www.wiener-staatsoper.at/en/your-visit/ticket-sales/

 

 

 

 

ウィーンのお正月と、元旦の「こうもり」
ヨナス・カウフマンはドレスデンで「こうもり」のアイゼンシュタインを歌った!

IMG_3770ウィーンのお正月は世界各国からやって来た旅行者であふれかえる。大晦日のカウントダウンが大人気なのだ。夜中の12時が近づくと、人々(ほとんどが外国人)は国立歌劇場からシュテファン寺院までのケルントナー通りに集まってくる。10時ころからシュテファン寺院前にステージが作られ、カウントダウンのイベントが行われる。ウィンナ・ワルツが演奏され、踊る人もいるが、若い人はディスコ風ダンス。カウントダウンが始まると花火が打ち上げられて、大騒ぎ。新年が明けると誰でもキスをしていい、と聞いていたのだが、外国人がほとんどなのでキスする人は見かけない。ウィーンの伝統も薄れているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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朝が明けていたって静かな元旦を迎えた。休日なので、お店はお休みだが、レストランは開いている。夜はウィーン国立歌劇場で「こうもり」を観る。ヨハン・シュトラウスのこのオペレッタは、ウィーンの裕福な銀行家の夫妻が、大晦日の夜から元旦の朝にかけて開かれるパーティーに出席するという設定。ウィーンでは12月31日と1月1日(今年は3日と5日にも)に公演が行われる。かつては、パーティーの場面に豪華なゲストが登場するなど話題を呼んだものだが、最近はもっぱら観光客向けのイベントになったような気がする。チケットも通常より高いので、地元のウィーンの観客は少ないのではないだろうか。指揮はいま人気のサッシャ・ゲッツェルだが、演奏は比較的フツウだった。舞台は100年経ったかと思えるほど古めかしいオットー・シェンクの演出。アイゼンシュタインは懐かしいヘルベルト・リッペルト(この人、まだ舞台に立っていたんだ!)、ロザリンデはウクライナ出身のオルガ・ベツメルトゥナ、アルフレードはもうかなりのおじさん、最も期待できるのはアデーレ役のダニエラ・フェリーだけという顔ぶれ。お馴染みの演出、お馴染みの歌手たちが揃う、これはまさに恒例の年末年始の大イベントなのだ。それに、いまウィーン国立歌劇場は日本語の字幕が座席に付いている。大きい字でとても見やすい。スポンサーのトヨタに感謝したい。

 

 

 

 

 

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ちなみに、2018年12月29日と30日、ドレスデンのゼンパー・オーパーで行われたジルベスター・コンサートの演目は「こうもり」。演奏会形式で、聴きどころの楽曲を並べたハイライト形式だが、この顔ぶれが凄い。指揮はフランツ・ウェルザー・メスト、アイゼンシュタインはなんと、まさかのヨナス・カウフマン、ロザリンデは今年9月のロイヤル・オペラの来日公演で、ソニア・ヨンチェヴァの代わりにマルガレーテを歌う、ラシェル・ウィリス・ソレンセン。アルフレードも、まさかのアンドレアス・シャーガー、オルロフスキーは今年も東京・春・音楽祭に出演するエリザベート・クールマンという超豪華顔ぶれ。これを映像で見たのだが、楽しくエキサイティングな素晴らしい公演だった。それはともかくウィーンの会場はドレスアップした人たちで華やか。新年はやはり「こうもり」で、陽気に迎えたい。

 

 

 

 

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翌日の1月2日はウィーン・フォルクス・オーパーで「ドン・ジョヴァンニ」を観た。チケットは国立歌劇場に比べて3分の1くらい。でもオペレッタはこの劇場の専門だが、この日のオペラ公演は、演出も歌手も感心しなかった。この劇場ではすべてがドイツ語での上演。「ドン・ジョヴァンニ」の演出は操り人形のパペットに仕立ててある。皆が白塗りで、衣装はパペット風で動きは人形ぶりでぎこちない。アリアはその動きに合わせて歌うので、ちょっとぎこちない。おそらく、国立劇場とまったく異なった新しい演出での上演を目指していると思うが、この「ドン・ジョヴァンニ」に関しては、難しいと思った。

 

石戸谷結子

Yuiko Ishitoya, Music Journalist
青森県生まれ。早稲田大学卒業。音楽之友社に入社、「音楽の友」誌の編集を経て、1985年から音楽ジャーナリスト。現在、多数の音楽評論を執筆。NHK文化センター、西武コミュニティ・カレッジ他で、オペラ講座を持つ。著書に「石戸谷結子のおしゃべりオペラ」「マエストロに乾杯」「オペラ入門」「ひとりでも行けるオペラ極楽ツアー」など多数。

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