杉本博司の大規模個展「杉本博司 絶滅写真」東京国立近代美術館で開催

カテゴリー/ CULTURE |投稿者/ Gouret&Traveller
2026年06月23日

現代美術作家・杉本博司の大規模個展「杉本博司 絶滅写真」が、竹橋の東京国立近代美術館で開催されている。

 


写真、建築、舞台芸術の演出など、ジャンルを越えて活動を続ける現代美術作家、杉本博司。
70年に渡米、74年よりニューヨーと日本の二拠点で、制作を続けている。

 

 

本展では、杉本の活動初期(1970年代後半)から現在に至る銀塩写真約60点が一堂に会する。
これまで多数の美術館個展を国内外で行っているが、写真作品のみの日本での美術館個展としては、2005年の森美術館「杉本博司:時間の終わり」以来、21年ぶりとなる。

展覧会の見どころとして挙げられるのは、まず、3章構成で、初期から近作まで全13のシリーズを俯瞰できることだろう。
初期代表シリーズ〈ジオラマ〉〈劇場〉〈海景〉から、近年までの銀塩写真約60点。世界初公開作品も多数展示される。
また、制作の秘密を明かす「スギモトノート」と東京国立近代美術館所蔵の杉本作品全点を、所蔵品ギャラリー3階にてサテライト展示される。
「スギモトノート」とは、写真作品制作における、撮影時および暗室での作業工程の覚書を記したもの。1970年代半ばより始まる記録の全貌を見ることができる。

本展のタイトル、”絶滅写真”には、デジタル化によって、杉本の芸術の原点である、銀塩写真が急速に姿を消しつつあるいま、急速に失われつつある銀塩写真というメディアの終焉と、作家自身の人生の終焉という2つの意味が込められているという。

 

 

第1章「時間・光・記憶」は、1970年代半ばから80年代にかけて発表され、以後ライフワークとなる3つのシリーズ、「ジオラマ」、「劇場」、「海景」など、杉本の創作の始まりをたどる。

1本の映画を写真でとらえることができるか? 第2章では、映画を始まりから終わりまで長時間露光で撮影することを試みた「劇場」シリーズ。劇場が神秘的な映像に還元される。白いスクリーンのコントラストとして、映画の繁栄を物語る豪華な装飾が浮かび上がる。

 

「海景」シリーズでは、水平線を境に、下半分は海、上半分は空のみの風景が切り取られ、原始から現代まで、人間は同じ景色として捉えられるのか、時間の経過とともに人間の意識が変化するのか、という問いを表現する。

 

第2章「観念の形」は、ボケを活かした建築の写真、1997年に始まった「建築」シリーズ。カメラの焦点距離を「無限の倍」に設定し撮影。優れた建築はボケることで、なおさら存在感が強調される。

「観念の形」は、数学に象徴される、世界を合理的にとらえようとする近代的知性のありようを写した、建築、衣服、数式など数理模型を撮影。モダニズムという時代そのものを検証していく。

 

 

 

ロンドンのマダム・タッソー蝋人形館で撮影された「肖像」シリーズでは、この世にはいない、ダイアナ妃、昭和天皇、ナポレオンとヘンリー八世が現れる。

 

 

暗室作業を欠かせない銀塩写真ならではの負の現象を、暗室で人工的に放電を起こし、その雷のような光跡をカメラもレンズも使わずに撮影された作品。

 

 

 

カラー写真群は、17世紀にアイザック・ニュートンが行ったプリズムによる分光実験を再現、撮影にポラロイドフィルムを用い、デジタル処理で画面のノイズを除いたうえで大判のカラー印画紙にプリントした。杉本作品には珍しいカラー写真で杉本いわく、まだ生存中にもかかわらず「回顧展」と謳われた3章は、締めくくられる。

©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

 

 

杉本博司 絶滅写真
2026年6月16日(火)–9月13日(日)
東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
https://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00–17:00(金・土は10:00–20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、7/20は開館)、7/21
展覧会URL:https://art.nikkei.com/sugimoto/

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