「界 草津」 2泊3日 森と湯と絹に包まれる時間
酷暑が続く東京を抜け出して、向かったのは標高が高く涼しい風が心地よい草津温泉。 2026年6月にオープンしたばかりの「界 草津」で、2泊3日の“ととのう時間”を過ごしました。
星野リゾートの「界」は、全国にある温泉旅館ブランドです。 コンセプトは「王道なのに、あたらしい」。その地域の伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽」や、地域の文化に触れる客室「ご当地部屋」などを通じて、その地の「温泉文化」が楽しめる極上のリトリートです。



2026年は、「界 草津」「界 宮島」(写真 上)「界 松本」(写真 中央 ワインバー)「界 蔵王」(写真下 外観イメージ)の4施設が一気にオープン。その後も続々と新たな施設が開業し、2030年までに約 30 か所を展開予定とのこと。草津の湯の心地よさを思い出しながら、次はどの街の温泉文化に触れようか、新しい旅の扉を開けたくなります。
トンネルがつなぐ木立の湯宿と温泉街

「界 草津」は、敷地面積約11万1800㎡と、「界」最大規模 。広大な森の中の高台に宿泊施設があり、「トンネルがつなぐ木立の湯宿と温泉街」という魅力的なコンセプトに惹かれて訪れました。
高台に佇む静謐な湯宿から森を抜けて伸びる宿泊者専用トンネルは、草津の「静」と「動」を繋ぐ秘密の回廊のようでした。一歩足を踏み入れれば、湯畑周辺の活気溢れる温泉街へと、驚くほど軽やかに迎えられます。賑やかな湯めぐりや街歩きを楽しんだあとは、再びあの1本のトンネルをくぐり、高台の静寂のなかへ。この宿に連泊し、2つの情景を自由に行き来する。それこそが、草津の多様な魅力を余すことなく味わい尽くす、唯一無二の贅沢な過ごし方です。
群馬の絹文化を表現した「シルクアートの間」



案内された客室は、ご当地部屋「シルクアートの間」 。群馬の絹文化を表現した壁面アートが見事な広々としたスペースでのんびり。テラスに出れば広大な森、その奥に連なる山々。露天風呂が備えられており、自然に包まれて湯船につかる時間はまさに至福の時間。とくに日の出を眺めながらの湯浴みは、この上ない非日常の時間が過ごせます。
源泉掛け流しと、美肌の湯


心地よい休息のあとは、優美な趣の「温泉棟」へ。ふたつの源泉を心ゆくまで堪能できる大浴場が待っています。草津温泉の総自然湧出量は、毎分32,000リットル。万代鉱源泉は、その中でもっとも多い割合を占める約6,000リットルの湧出量を誇ります。すべての浴槽に満たされた酸性泉は、贅沢な源泉掛け流し。古来より「恋の病以外に効かぬ病はない」と讃えられる名湯に身を委ねれば、肌は驚くほど滑らかにととのい、日々の冷えも旅の疲れも、やわらかな湯のなかに優しく溶けていきます。

湯上がりは「湯小屋」に寄り添う「暖炉ラウンジ」へと歩みを進め、ハーブティーの香りに癒やされながら静かに本のページをめくります。
心地よい余韻に浸ったあとは、「温泉文化いろは」のひとときへ。スタッフが飛び出す絵本を広げて語る草津温泉の物語は、知的好奇心をくすぐる新鮮な感動に満ちていました。
2パターンで上州を味わう夕食


夕食は、上州の風土が育んだ美食を慈しむ「上州豊伝会席」へ。土地の恵みが織りなす極上の会席コースです。厳選された地酒やクラフトビール、ナチュラルワインも取り揃え、3種の日本酒飲み比べでは杯ごとに異なる繊細な個性を味わうことができます。

2日目の夕食は、静寂と洗練に満ちた「蕎麦会席 SAI」にて、風雅な蕎麦の香りと技が織りなす至福のひとときへと誘われます。
上州には、山あいの豊かな自然と水が生み出す、風味が高くコシの強いそば、日本三大うどんの一角をなす「水沢うどん」、驚くほど幅の広い「ひもかわうどん」、そしてパスタの街として知られる高崎で愛され続ける「高崎パスタ」など、味わい深い麺文化の歴史が息づいています。
また、生産量日本一を誇るこんにゃくは、みずみずしい刺身こんにゃくから多彩な加工品まで、旅の余韻を持ち帰るお土産にも最適です。
温泉三昧の草津街歩き


翌朝は、森に満ちた清らかな空気の中、名高い「草津白根山体操」の伸びやかな目覚めから始まります。木漏れ日の差す森の中でスタッフとともに心地よく体をほぐしたあとは、至福の朝食の時間へ。名産のこんにゃくなどをしつらえた和洋選べる御膳は、旅の贅沢を極めた格別な味わいです。


上質な寛ぎの時間ののち、深い緑に抱かれた坂道をゆっくりと下り、街の賑わいへと歩みを進めます。木漏れ日あふれる森の中にはドッグランが備えられ、散歩中の愛らしい「まるちゃん」との出会いも。大切な愛犬との特別なご滞在を叶える、ペット同伴可能な宿泊施設です。




木立の合間を抜けて、隠れ家のようなトンネルをくぐり抜ければ、まるで時空を超えたかのような、古き良き風情を残す温泉街が目の前に現れます。両脇に昔ながらのお土産処が並ぶ小径を進み、街の中心へ出ると広がる圧倒的な存在感を放つ草津の象徴「湯畑」。


毎分4,000リットルもの豊かな源泉がこんこんと湧き出る湯畑からは、もうもうと純白の湯けむりが立ち上り、訪れる者の心を捉えて離しません。夜のとばりが降りる頃には、柔らかな明かりにライトアップされ、昼間とは異なる幻想的で麗しい雰囲気に包まれます。
滞在中、ぜひ、体験したいのが、伝統の「湯もみ」。水を入れて効能が薄まるのを防ぎ、高温の源泉を適温にするための江戸時代からの知恵です。「熱乃湯」では、江戸時代から続く伝統の「湯もみと踊り」を、迫力ある演出とともに間近で見学。開催時間が限られているため、事前のスケジュール確認がおすすめです。


また、町の至る所にある無料の足湯や手湯でも気軽に温泉を楽しめます。草津の温泉を代表する共同浴場「草津三湯(大滝乃湯、御座之湯、西の河原露天風呂)」巡りもはずせないポイント。
「界 草津」スタッフおすすめの「界 草津まちめぐりセット」(3,500円)を宿のショップで入手しておきましょう。可愛い風呂敷バッグの中には、無料で3カ所の温泉施設を使える「外湯3湯めぐり手形」や「おすすめルートマップ」が入っており、さらにディープな街巡りが楽しめます。



温泉三昧をしたあとは、宿にもどり、富岡製糸場を想起させる「ご当地楽棟」で、江戸時代から続く群馬の伝統技法「シルクを紡ぐ上州座繰り」を体験。部屋には、地元のアーティストによる数々の布アートが美しく飾られています。スタッフの指導で木製の座繰り機を使って繭から糸を挽いてオリジナルのタッセルを作り、旅の思い出に持ち帰ることができる人気のプログラムです。

木漏れ日が揺れる森の空気と視界の開けた美しい景観、とろりとした良質な湯、そしてノスタルジックな温泉街のそぞろ歩き。心身が深く満たされる、贅沢な2泊3日でした。
暑さで疲れた体も心も、草津の湯と「界 草津」のもてなしがふっと軽くしてくれます。四季いつ来ても違う顔を見せてくれるはず。次は紅葉、次は雪見。そう思わせる、旅心をくすぐる宿です。



