エクサンプロヴァンスを拠点に「村から村へ」路線バスの旅

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2026年09月03日

 

人には「トラベル依存症?」といわれている。 トラベルならお任せ下さい。
とはいえ、昨今の物価高と円安で、まるで大正時代のようにヨーロッパは遠くなった。「フランスへ行きたしと思えども、フランスはあまりに遠し」と言った萩原朔太郎の心境です。それでも何とか資金を調達し、南仏エクサンプロヴァンスへ。

 

 

目的はオペラやコンサートが毎日行われる「エクサンプロヴァンス音楽祭」だが、昼間は路線バスに乗り、近郊の村々を巡り歩いた。

プロヴァンスといえば、一面に広がるラベンダー畑や中世の美しい村々で人気の南仏のエリア。街の中心にある観光案内所では「村から村へ」というパンフレットを作成し、路線バスの旅を推奨している。 もちろんレンタカーで行くのが最高だし、バスツアーも出ている。でも予約なしに一人でもふらりと気軽に行けるのが路線バス旅だ。

 

起点となるおしゃれな街 エクサンプロヴァンス

 

 

エクサンプロヴァンス音楽祭の歴史は古く、今年で78回目を数える。その昔から、パリなどフランス中から、リゾート地での優雅な音楽祭を楽しみながら、バカンスに訪れる人が多い。

 

 

街の中心は、プラタナスの大木が両側に並ぶミラボー通り。その起点となるのが巨大な噴水、ロトンドだ。木曜日と土曜日にはこの大通りいっぱいに、衣類や帽子、アクセサリーなどの露店が並び、観光客で賑わう。夕方からは、アイスクリームや絵画などの夕市が11時すぎまで並ぶのも楽しい。

 

 

 

街の見どころは、セザンヌの絵画を所有するグラネ美術館やタピスリー美術館など。一番のおすすめは、音楽祭の会場アルシェヴェシェの敷地内にあるサン・ソヴール大聖堂。時間が限られるが、花の咲き乱れる中庭の美しい回廊を見ることができる(ガイドとともに)。

 

 

エクサンプロヴァンスで最も有名な画家といえば、この街に生まれたセザンヌ。彼が住んだアトリエも公開されており、彼の絵で有名なサント・ヴィクトワール山(写真上)の近くまで、「セザンヌの道」と呼ばれる散策路が続いている。旧市街の真ん中に建つ市庁舎の周辺にはレストランが立ち並び、広場では毎日、花や野菜やチーズなどの朝市が開かれている。

 

可愛い雑貨屋が並ぶ ルールマラン 

 

 

エクサンプロヴァンスのバス・ターミナルからは、周辺の村々へ路線バスが通じている。その一つ、女性たちに最も人気があるのがルールマランだ。LとRが入るルールマランは発音が難しくなかなか通じないけれど、まるで絵のように美しい小さな村だ。バスに乗って1時間ほどで、ルールマランに到着する。 街のシンボルはルールマラン城(写真上)で、丘の上に位置する村の中央からは壮大な山のパノラマとお城を見渡すことができる。

 

村の一番の見どころは、雑貨店やレストラン、食料品店が立ち並ぶ細い路地。どの店もレイアウトが素敵で、雑貨はすべて欲しくなるほど可愛い。疲れたら、レストランや気軽なカフェで一休み。金曜日には街の広場でマルシェが開かれ、野菜や果物、ジェラート、チーズ、ハムから雑貨まで多くの店が並ぶ。
おすすめは、路地の中ほどにあるアジアン雑貨のお店。店主は中国に長年住んでいて、布地を集めてアクセサリーや雑貨を手作りしている。センスが良く、エキゾチックなアクセサリーは他では見たことがないほど。

そして、もしも文学好きなら、街はずれのお墓がおすすめ。ここにはフランスを代表する文学者、アルベール・カミュのお墓がある。
バスは1日に数本しかないので、帰りのバスをチェックしてからゆっくり散策を。

 

シルヴァカンヌ修道院から、ラ・ロック・ダンテロンへ

 

 

プロヴァンスの三姉妹修道院の一つ、12世紀ころに建てられたシルヴァカンヌ修道院は、森の中にひっそり佇む静かなシトー会修道院。いまは廃墟となっていて、夏にはここで音楽祭のコンサートも開かれる。ロマネスク様式(一部はゴシック様式)で建てられ、いっさいの装飾なし。セミの合唱はうるさいけれど、内部は静寂に包まれている。

 

 

 

 

エクサンプロヴァンスからラ・ロック・ダンテロン行きのバスに乗り、40分ほどで到着。そのままバスに乗り、終点まで行くとそこがラ・ロック・ダンテロンの村。
ここでは7月中旬から8月まで、国際ピアノ音楽祭が開かれている。会場は森の中の仮設野外劇場で、セミや鳥が鳴く自然の中でのコンサート。2026年は7月16日から8月16日まで、ブルース・リウやエリック・ルー、アレクサンドル・タロー、イゴール・レヴィット、角野隼斗など人気ピアニストが勢ぞろいする。
付近にコンビニもレストランもお店もないので、飲み物やサンドイッチ持参で。夏の花や野草が咲き乱れる中での、優雅な音楽祭だ。

 

知られざる小さな村 ジュクとメラルグ

 

 

 

エクサンプロヴァンスには(写真上 シルヴァカーヌ修道院)、かれこれ10回以上は通っているので、リュベロンの村々をめぐるミニバス・ツアーも10回以上は参加している。
まんまるの赤肉メロン、カヴァイヨン・メロンで有名なカヴァイヨン、メネルブ(『南仏プロヴァンスの12か月』の作者が住んだ村)、サド侯爵の荒れた城があるラコステ、ハリウッド・スターが別荘を構えるボニュー、コンフィで有名なアプト、山の上まで住宅が建てこむゴルド、赤い土のオークルで有名なルシヨン、渓谷で有名なフォンテーヌ・ド・ヴォークリューズ、泉と川で有名なリル・シュル・ラ・ソルグ、コート・デュ・ローヌの赤ワインで有名なシャトーヌフ・デュ・パプ、ラヴェンダー畑で有名なセナンク修道院……と、エクサンプロヴァンスからは美しく個性的な村々を訪ね歩くことができる

 

今年は、まだ行ったことのないどこかおすすめの珍しい村は? と観光案内所の女性に聞いてみた。彼女が一番好きな村が、ジュク (Jouques )という人口4,500人ほどの村だという。近郊のメラルグ (Meyrargues) もプロヴァンスらしいのんびりした村だから、と教えてくれたので、路線バスに乗って行ってみた。

 

 

エクサンプロヴァンスのバス・ターミナルからジュク行きバスに乗って1時間ほどで終点に到着。そこはのんびりした静かな村で、山の上の教会まで、何段か細い路地が折れ曲がって続いている。可愛い家々が並び、歩いていると出会う人がみんな「ボンジュール!」と挨拶してくれる、優しい人たちが住む村だ。丘のてっぺんにある小さな教会からは周辺の山々がパノラマのように見渡せる。 レストランとカフェも数件あり、村人たちが次々と訪れる、おいしいパン屋さんもある。

メラルグはジュクと同じくらいの小さな村で、山の上には廃墟となったお城が建っている。このお城からは、周辺の山々が見渡せ、ハイキングコースとなっている。ジージーと鳴くセミと真っすぐに立つ糸杉、ごつごつとした奇岩がころがる、ワイルドな村だ。こちらは30分に1本ほどのバスがあるので、気軽に散策することができるので、プロヴァンス地方を訪れる機会があればおすすめだ。

文・写真  石戸谷結子(オペラ評論家)

 

観光局、宿泊施設などとの協賛企画、広告、スポンサーを随時募集しております。
雑誌、書籍などグルメと旅の企画執筆、旅程、宿、レストランなどのコンサルティングもお気軽にお問合せください。
問い合わせ先:agenceparis@groumet-traveller.com

Copyright © 2026 groumet-traveller,all Rights Reserved.
記事・写真などの無断転載は禁じられています。

Top