グランド・キュイジーヌ、フィリップ・ミルの白トリュフ料理とボランジェのマリアージュ
2019年11月09日
レストランの席につき、ボランジェのロゼをアペリティフにしばらく歓談していると、会場から歓声がわきあがった。白トリュフの入った木箱があけられた瞬間、その高貴な香りで店内が満ちたからだ。
38歳にして国家最優秀職人賞(M.O.F.)を受賞したフィリップ・ミルシェフのガラ・ディナーが、レストラン「フィリップ・ミル Tokyo」にて開催された。ボランジェとのマリアージュにより、フィリップ・ミルの創造性高い料理と白トリュフがいっそう芳しく映える貴重な機会に会場は華やいだ。
フランスシャンパーニュ地方、ランスにあるシャンパンメゾン、ポメリーの令嬢、ルイーズ・ポメリーの白亜の館がシャトーホテル、「ドメーヌ・レ・クレイエール」として蘇り、「ル・パルク」とブラッスリー「ル・ジャルダン」の二つのレストランの総料理長としてフィリップ・ミルが就任した。2017年には六本木ミッドタウンのガレリア ガーデンテラスにレストラン、「フィリップ・ミル 東京」をオープン。シャンパンの地からやってきたこのレストランでは、シャンパンとシェフのスペシャリテとの数々のマリアージュが生まれている。
フランス・ルマン出身のフィリップ・ミルは、料理好きの母親を手伝って3歳から台所に立っていたという。14歳で地元の調理師学校で学び、19歳にベルサイユ郊外の名店「オーベルガード」にてジャン・ボルディエのもとで研鑽を積み、その後はパリの「ドルゥーアン」ルイ・グロンダール、「プレ・カトラン」フレデリック・アントン、「ラセール」ミッシェル・ロット、「ル・ムーリス」ではヤニック・アレノのもとでスーシェフ、といずれもMOF国家最優秀職人章の偉大なシェフのもとで修行。その後、「ドメーヌ レ・クレイエール」を総料理長として2つ星に導いた。
それぞれ個性的なMOFシェフたちのもとで学び、フランス料理の伝統的なセオリーを習得したフィリップ・ミルは、オリジナリティあふれるモダンな要素を取り入れ、絵画のように美しいプレゼンテーションで独自の味を創出している。
食材の組み合わせやソースとのバランスは、すべてシャンパンとの相性を計算し尽くしたもの。東京店で100銘柄、本店では、1000銘柄もの多種多様なシャンパンを取り揃えているという。
フィリップ・ミルの料理の根幹にあるのは、生産者を探すところから始まり、素材選びにこだわり、旬の食材の力を最大限に引きだすこと。「食材はその土地の宝石」という考えを持ち、日本の食材に対して愛情をもつ。来日するたびに毎回日本の生産者と会うことを楽しみにしているという。
今回のガラ・ディナーでもその哲学を存分に発揮。日本各地から集めた素材を変幻自在に操る。そのひと皿ひと皿には白トリュフがたっぷりのせられている。
●セップ香る半熟卵 石川県高農園のバターナッツ南瓜 ほうれん草とパンプキンシードのアクセント。
ボランジェ ロゼ
●アーティチョークのアーニョロティー エミュルシオンパルメザンとシャンピニオンのブイヨン
︎ボランジェ スペシャルキュヴェ マグナム
●ナッツのクルートをのせた帆立貝のポワレ ポレンタのムースリーヌとジロールのフリカッセ シャンパンソースの泡とともに
︎ボランジェ キュヴェ 2011年
●フォアグラのソースをまとった山口県産長州黒かしわ地鶏 色鮮やかなパレット 白トリュフを散りばめて
︎ボランジェ ラ・グランダネ
●フランス産シャティーニュと洋梨を使ったムース 洋梨のソルベとラム酒のアイス キャラメルのアクセント
なかでも会場が沸いたのは、シークレットキュヴェとして食事前に発表された、日本初リリースとなる2011年 ボランジェ 007 スペクター リミテッド エディション。ボランジェは映画007シリーズに登場するシャンパンとして知られるが、25作目“No Time To Die”の公開を記念した限定品。1829年の創立時から拠点とするアイ村のブドウのみを使ったシャンパーニュを生産するのは、今回が始めてだという。
2011年の複雑で力強く、調和のとれたピノ・ノワールが、偉大なキャラクターを持つボランジェとともに白トリュフの余韻の残る贅沢な時間が過ぎていく。
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