『ローズメイカー 奇跡のバラ』美しい花園で待っていた希望の光
2021年05月24日
『ローズメイカー 奇跡のバラ』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか 2021年5月28日(金)公開
フランスではやっとロックダウンが終わり、長く閉まったままだった映画館がオープン。400本もの映画が公開を待っているという。そのなかの一本であろう、『ローズメイカー 奇跡のバラ』が、日本で先に公開される。
映画全編にわたり、華やかなバラに彩られたスクリーンに癒され、人生のどん底にいた社会のはみ出し者たちが偶然辿り着いた美しき花園で、新しい自分を発見し未来を切り開いていく過程に心温まる。
フランスのアカデミー賞に匹敵するセザール賞ノミネートの常連であり、『偉大なるマルグリット』では主演女優賞、『家族の気分』(1996年)で助演女優賞を受賞、『大統領の料理人』の出演でも知られるフランスを代表する女優、カトリーヌ・フロが本作で挑むのは、天才バラ育種家。
冒頭、パリのバラが咲き乱れるバガテル公園にて行われるコンクールに意気揚々と新種のバラを携えて現れるエヴ。これまで数々の賞に輝いてきたエヴだったが、今年も巨大企業のラマルゼル社に賞を奪われた。父が愛してやまなかったバラ園を継いだもののいまや倒産寸前。なんとか立て直そうと職業訓練所紹介の格安労働者たちを雇うが、前科者のフレッド、定職に就けないサミール、異様に内気なナデージュと全員いわくつき。一晩で200株のバラをダメにしてしまうド素人たちに激怒するエヴだったが、エヴに新種のアイディアがひらめいた。しかし、交配に必要なバラは、ライバル、ラマルゼル社のバラ園にしかないと知り、なんとか秘策を考える。エヴのバラ愛に感銘を受け、3人はそれぞれ自分の得意分野を見つけ、エヴを助けるようになる。資金集めには一軒一軒の家をまわり、バラの鉢を売り歩く。パリの新品種コンクールまで1年、一丸となって爆進するも、資金繰りがうまくいかず、とうとうライバル社にバラ園を売却することになったエヴにある奇跡が起こる。
美しいフランスのなだらかな緑の丘に並ぶ樹木の並び方さえ芸術的。そこにはバラが咲き誇る。
見る人一人ひとりにも明るい明日が待っていることを象徴するようなシーンが満載。パンデミック禍のなか、荒んだ気持ちが和やかになり、終息後の希望を見出せる、この映画を今観ると、そんな感情が湧いてくる。
監督
ピエール・ピノー
脚本
ファデット・ドゥルアール
フィリップ・ル・ゲイ
出演者
カトリーヌ・フロ
メラン・オメルタ
マリー・プショー
オリヴィア・コート
ファッシャ・ブヤメッド
THE ROSE MAKER (C) 2020 ESTRELLA PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINEMA – AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA
「『ワン・モア・ライフ!』天国からもどったパウロの94分」