巨匠ケン・ローチ監督の引退作『オークウッド』。メッセージは、一緒に歩もうとする「連帯」を!
2026年04月13日
『オールド・オーク』
2026年4 月24 (金)より全国公開
巨匠ケン・ローチ監督が、「引退作」として手掛けた、社会派ドラマの集大成。一貫して労働者階級の現実や社会問題を鋭く、かつ温かい眼差しで描き続けてきた監督。自らが宣言する「最後の作品」のテーマは、現在、世界中に蔓延る「分断」だ。

舞台は、かつて炭鉱で栄えたイギリス北東部の村。活気溢れる時代から30年の時を経て、現在は寂れてしまった。唯一のコミュニティの場であるパブ「オールド・オーク」の店主TJ・バランタインは、家族もいない孤独な身だが、まわりの住人たちと支え合って日々の暮らしを続けていた。先の見えない不安は常につきまとう。老いていく自分と活気を失っていく町。グレイッシュなスクリーンがTJ・バランタインの心模様を描く。

そんなころ、町がシリア難民を受け入れ始め、新たな移住者たちとの軋轢が生まれる。戦火で家族や家を奪われたシリア人に心を寄せながらも、難民のための支援があることで不公平感をを持つ住民がいる。人種や価値観の違いで町は分断されていく。
厳しい生活をしている町の人々の苛立ちも、難民として戦場から逃れてきた人々の不安も十分すぎるほど共感できるだけに、お互いを理解し、リスペクトしながら生きていくことの難しさにやるせない思いを抱く。

そんな頃、TJ・バランタインは、町に逃れてきたシリア難民の女性ヤラと知り合う。2人の交流を通して、人と人が差異を超えてどうしたら共に生きられるか、いかにして分断を超えることができるのか、ケン・ローチ監督は、正面から問い続ける。
フィクションでありながらドキュメンタリーのようなリアリズムで物語は進む。シビアな現実を描きつつも、最終的に見える希望の光は人の根底に流れる慈悲の心だ。
ケン・ローチ監督が伝えたいメッセージは、「かわいそうだから助けてあげる「慈善 (Charity)」ではなく、あなたの痛みは私の痛みでもあるから、一緒に歩もうとする「連帯(Solidarity)」である。
貧困、移民問題、人種差別といった重いテーマのシビアな現実を描きつつ、最終的には人間が本来持つ優しさを信じることができる。ケンローチ監督からの最後の希望のメッセージに涙する。
『オールドオーク』

監督 ケン・ローチ
出演 デイブ・ターナー/エブラ・マリ/クレア・ロジャーソンほか
©Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
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