「ジュリーと恋と靴工場」赤い靴が自由へ導く フレンチ・コメディ・ミュージカル

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年09月09日

「ジュリーと恋と靴工場」

9/23(土)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開

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「どの足(すなわち靴になぞらえる)で踊ったらよいのか?」という原題の問いに、ヒロイン、ジュリー(ポーリーヌ・エチエンヌ)が選んだのはどんな靴なのか?

さまざまなメタファーとなる「靴」というオブジェを主人公に物語は進む。
雇用問題、リストラ、男女差別など社会問題を散りばめながら、ジュリーが自立していく姿を淡い恋愛模様を絡め描く。ハードになりがちなテーマをおとぎ話のようなキュートなフランス・ミュージカルに仕立てたのは、2017年のアメリカのパームスプリングス国際映画祭で新人監督賞にノミネートされ話題となったポール・カロリとコスティア・テスチュ新鋭コンビ。「シェルブールの雨傘」の監督、ジャック・ドゥミのミュージカルを彷彿とさせる歌やダンスシーンは蠱惑的でどこか懐かしい。

 

 

 

 

 

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舞台はフランス、リヨンの南、シャルル・ジョルダンやロベール・クレジュリーなどブランドシューズの生産地として知られるロマン市。失業中のジュリーは正社員の職を求めて奔走する。挫折を重ねたあとようやく採用されたのは、50年の歴史をもつ老舗ブランド「ジャック・クチュール」の靴工場。しかし、そこは近代化の煽りを受けて閉鎖の危機に追い込まれていた。靴職人の女性たちは、リストラ一歩手前の窮地に陥り、抗議のストを行なっている最中だったのだ。

 

 

 

 

 

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ジュリーは、さっそくこの戦いに巻き込まれる。心惹かれる配送係のサミー(オリヴィエ・シャントロー)に誘われ、パリの本社に向かう抗議デモのバスに乗ってしまうのだ。到着した本社では、新作コレクションショーの真っ最中。会長グザヴィエ・ローラン(ロイック・コルベリー)は、工場を中国に移すことを計画していた。工場に立てこもり、抗議ストを続ける誇り高き職人魂に突き動かされ、ともに戦うことを決意したジュリー。

 

 

 

 

 

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権力との激突のために「ジャック・クチュール」のヴィンテージ・コレクションのなかから女性たちが選んだのは、真っ赤なエナメルのフラットシューズだった。カラフルなアトリエでファッショナブルな靴を背景に、ミュージカルナンバー「女性労働者たちの反乱」を歌い踊る女性靴職人たちの足元にはおそろいの赤いエナメルのダービーシューズ。戦う女たちがピックアップしたのは、男性のファンタスムにとらえられるピンヒールではない。男女平等を示唆するフラットシューズなのだ。

 

 

 

 

 

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ジュリーを待ち受けていたのは、仕事か恋かの選択。その先に幸せが待っているかどうかわからない。しかし、一歩踏み出す勇気を与えてくれたのは、この靴だった。
自分ならどんな靴を履いて踊るだろう?  ラストシーンのジュリーの赤い靴の軽やかな足取りを見て、自ら選ぶ次の靴に思いをはせずにはいられない。

 

 

 

文*山下美樹子

 

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9/23(土)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開

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