フランス人に愛されるパリの日本人シェフ ⑨ 「レストラン エチュード」山岸啓介シェフ

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2019年05月30日

「レストラン・エチュード」

(Restaurant Etude)

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エッフェル塔をのぞむシャイヨ宮のあるトロカデロ広場からほど近い高級住宅地にある静かな佇まいの「エチュード」。ショパンのピアノ練習曲「エチュード」から店名を名付けた。毎日「エチュード」(練習)を重ねて、前進していくという意味が込められている。周囲の住宅に溶け込み、強い主張のない店構えの扉を開けるとグレーで統一された穏やかな空間が広がる。一番奥のキッチンで黙々と最後の仕上げをするのが山岸啓介シェフだ。

 

 

 

 

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山岸シェフが料理人になろうと思ったのは、親孝行したかったからだという。高校で進路を決めるときに、食べることが好きな家族においしい食事を食べてもらいたいと思った。
はじめは、日本料理専門に学ぶ。素材を生かすこと、下ごしらえ大切さを知ったことは現在も役立っている。東京・白金の名店、今はなき「OZAWA」で約8年修行。その後、ワーキングホリデーでフランスへ。知り合いのつてでブルゴーニュに半年、パリの人気店「アガペ」で半年、仕事をする機会を得た。しかし、あっというまの一年、ようやくフランスに慣れたところで帰るのはもったいない。そう思い、フランスに残る決心をし、和食店オープンの折に職を得る。日本で独立しようと思っていたので、日本の食材を使いながらさまざまな技術を経験できたことが勉強になった。
そのとき、フランスはやはり素材のクオリティがすばらしい、とあらためて気づいた。頭の中で勝手に決めていた固定観念が崩れ、意外な組み合わせを発見したりもする。3年ほどするとパリで独立を考え始めるようになる。店は、ゲストに「わざわざ来てもらえる」ようなロケーションにこだわり、2013年、「エチュード」をオープン。

 

 

 

 

 

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基本はクラシックなフランス料理、ときには、モダンな要素も取り入れている。あくまで素材重視。ゲストに食べてもらいたい旬の食材に、必要があればほかの食材をプラスする。
サプライズも重要な要素だ。日本の懐石のような考え方で、メニュー構成を変えている。前菜、魚、肉ではなく、最初に肉がでてきても良いのではないかと考える。その時の旬の素材が一番。その食材をメインにもっていく。
そしてこだわりは、乳製品を使わないでひと皿を作ること。2年前からヴィーガンメニューを始めた。その関連で、味がはっきりしたフランスの素材にコクを出すためのもの、牛乳、生クリーム、バターなどは不要、と気づきレシピから乳製品を外した。フランス料理の風味を第一に伝える料理を目指す。ベルトラン・グレボーのもと、「アガペ」で従来の組み合わせを崩すことを経験した。食材の特性の知識の上に自分の感性をいかしたい。素材の風味を第一に伝える料理を目指す。

そんなオリジナリティあふれる個性的な料理に星もついてきた。野菜をいかにガストロノミックに仕立てるか、一歩踏み込む気概と才能に長けた料理の進化が楽しみだ。

 

 

 

 

前菜
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白アスパラガスとイチゴ、ココアのクランブル。デザートのようなプレゼンテーションでサプライズ感を出す。ランド産の白アスパラの皮からとったブイヨンの中に入れて少し火を入れ、低温でゆでる。旬が重なっていてフレッシュな組み合わせ。酸味を使いたくてイチゴと合わせた。ココアのクランブルが白とピンクに映える。

 

 

 

 

 

メイン
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ピレネー産の乳飲み子の羊。春先にしか出てこない食材。特別常連など子羊好きな人のみに出している。子羊がない時期にはシャラン鴨と地鶏やハト、牛肉などを代用。グリンピースとモリーユ、バニュルスのソースで。季節感と色合いを表現した。子羊もモリーユも山のもの。低温で火入れオーブンで少し中まで温めて表面を色付けている。
年で産地が変わるが、今年はジュラのモリーユ。バニュルスソースは、ピレネー山脈の近くにバニュルスを作っているところがある。近くで味わいが合う。子羊に酸味を合わせた。

 

 

 

 

 

デザート
IMG_2780エキゾチックなフルーツで旬を味わう。パッションフルーツ、グレープフルーツ、オレンジ、ココナッツのムースのトロピカルな層が新鮮。

 

 

 

 

 

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「レストラン・エチュード」
(Restaurant Etude)
14 rue du Bouquet de Longchamp75116 Paris
+ 33(0)1 45 05 11 41
昼 12:30 ~ 14:00 /夜 20:00 ~21:30
土曜日(昼)、日曜日、月曜日休み

夜80ユーロ 火・水・木
130ユーロ(9品) 火〜土
ベジタリアンメニュー
昼45ユーロ
夜80ユーロ 火・水・木
130ユーロ 金・土
https://restaurant-etude.fr/

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