「英雄は嘘がお好き」令嬢と大尉の嘘つき合戦が生んだラブコメディ
2019年10月06日
「英雄は嘘がお好き」
2019年10月11日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、丸の内 TOEI 他公開
1809年、フランスのブルゴーニュ。デコルテも美しいドレスに身を包んだ裕福なボーグラン家の姉妹。優雅なたたずまいに、これから始まるロマンチックなストーリーを予想をさせる。きっと小粋なラブコメディだ。
しかし、予想は裏切られる。少しずつ思わぬ方向に転換していくのだ。ロマンチックなラブストーリーどころか、ブラックである。軽快な掛け合いで話はポンポンと進行していく。
婚約を申し込みにきたまさにその時に戦地へ召喚状が届く、ポリーヌの婚約者ヌヴィル大尉。手紙を毎日書くよ、と言って戦地に向かったヌヴィルだったが、ポリーヌの元に一通も手紙は届かない。寝込むほど悲しむポリーヌを心配した姉のエリザベットは、差出人をヌヴィルとして、勝手に代筆した書いた手紙を妹に届け続ける。
ついには、ヌヴィル大尉を、第一線で大活躍の末に戦死したことにしてしまう。非業の死を遂げた英雄を讃えて町にはヌヴィルの銅像まで建てられていた。
そして、3年が経ったある日。エリザベットは偶然、貧相な出で立ちのヌヴィルに遭遇。慌てたエリザベットは、町を出ていくようにと金を渡すが……。
エリザベットは家族を騙したことを隠したい、ポリーヌは婚約者の再登場にときめく、町の人々は英雄の帰還に沸く。心中穏やかでないエリザベットの心配をよそに、ヌヴィルはこの偉大なる「嘘」を利用して一儲けしようと目論む。
偽の英雄と良家の令嬢が繰り出す嘘合戦。どちらに軍配があがるのか?
主演は、フランス人初のアカデミー賞受賞俳優であるジャン・デュジャルダン。高い演技力で、嘘つきなヌヴィル大尉をユーモアたっぷりに演じる。徹底したおとぼけぶりが抱腹絶倒。もう、存在自体が笑えるほどだ。さすがの芝居巧者である。
ボーグラン家の長女・エリザベットには「イングロリアス・バスターズ」「オーケストラ!」のメラニー・ロラン。本作がコメディ初挑戦となったが、次のコメディ作品依頼が待ちきれないという。上質なコメディには中毒性がある。
監督は、ローラン・ティラール。「おとなの恋の測り方」以来、ジャン・デュジャルダンと再びタッグを組む。
様式と洗練、厳格な社会の決まりに縛られた人々。対してろくでもない悪党キャラが強烈なフランスのアドベンチャーコメディーの世界。この2つの世界を織り混ぜることで、カルチャーショックを見いだせると思ったという。
様式美のなかにも、ハチャメチャ感が満載の摩訶不思議なティラール監督の世界観。一筋縄ではいかない笑いで満ちている。
「英雄は嘘がお好き」
監督:ローラン・ティラール
出演:ジャン・デュジャルダン、メラニー・ロラン、ノエミ・メルラン
(c)JD PROD – LES FILMS SUR MESURE – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA – GV PROD
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