ディディエ・ドゥポン社長、シャンパンラバー憧れの「サロン」の魅力を語る
2019年10月09日
シャンパン・サロンのガラディナーが「レストランひらまつ広尾」で開かれた。会場には「サロン」「ドゥラモット」代表取締役社長・最高醸造責任者のディディエ・ドゥポン氏も出席。華やかな雰囲気に包まれた。
2012年からは、グランシェフ平松宏之氏の跡を継いだ平松大樹シェフが料理を任されているが、この日は両シェフにより、最高の食材を用いてその魅力を最大限に引き出した見事な料理が披露された。ドゥポン氏と平松宏之、大樹シェフがディスカッションを重ねて、格別のマリアージュが実現した。
この日、用意されたのは、
⚫︎ドゥラモット ブラン・ド ・ブラン マグナム
⚫︎ドゥラモット ブラン・ド ・ブラン2012
⚫︎ドゥラモット コレクション ブラン ・ド ・ブラン 1999
⚫︎サロン 2007
⚫︎サロン 1997-エディション2018
⚫︎サロン1996
シャンパンラバーにとって憧れのサロンだが、今年は、そんなサロンファンにとってすばらしい大きなプロジェクトがあるとドゥポン氏が教えてくれた。2006年、2007年、2008年のビンテージの木箱入りセットが世界800ケースのみ市場に出る。2008年はマグナムだ。
サロンは、コート・デ・ブラン地区にあるグラン・クリュの一つ、 由緒あるメニル・シュール・オジェ村のシャルドネから造られたブラン・ド・ブラン。1911年、毛皮商だったエメ・サロンが、自分の望みの全てに応えてくれるシャンパンを造り出すべく、ヴィンテージの年だけに、最上のシャルドネの1番絞り果汁のみを使用して、ただ1種類のシャンパンを造る。飲み頃に至るまで長期の熟成期間が必要になるため、年間の生産量は5万本程度。1905年の初ヴィンテージ以来、一世紀の間に誕生したサロンは37である。その希少価値から幻のシャンパンと呼ばれている。
姉妹メゾンのドラモットは、1760年創業。サロンとはシェフ・ド・カーヴ、ぶどう畑、営業チームが全て共通の哲学のもと造り出されている。ドゥラモットは「ひらまつ」が直輸入しており、ブラン・ド・ブラン2012は日本に到着したばかりで、ガラディナーにてお披露目された。
ドゥポン氏は、1964年フランス・ロワール地方トゥール生まれ。祖父がワイン造りをしていたことからワインに興味をもち、「サロン」「ドゥラモット」には、97年からかかわる。大の親日家でもあり、今回が53回目の来日となった。滞在は10日間だが、趣味の一つがラグビーで、わずかのプライベートな時間には、ワールドカップW杯中のフランスチームを応援に行くのが楽しみだという。
アペリティフにはフレッシュさが際立つドゥラモット ブラン・ド・ブラン2012。グラン・クリュの6つの村のブドウを混ぜたとデゥポン氏は解説する。
ドゥラモット・コレクション・ブラン・ド・ブラン1999は、リリース後の熟成が長いので、ノワゼットやブリオッシュのような芳醇な風味がある。リドヴォーとエクルヴィスのナンチュア、キャロット・ヴィッシーとの相性もぴったりだ。
のどぐろのグリエ、菱蟹のキャベツ包み、そのコンソメにはサロン2007。のどぐろのうまみを引き出す2007とは極上のマリアージュだ。
サロン1997は、オマール・ブルーとほうれん草のファルシー、カルディナルソースとともに。1997は、ドゥポン社長がサロンに来て初めて造られたミレジメ。個人的に大好きなビンテージであるという。デゴルジュマン(澱抜き)するまで21年もカーヴで熟成しているため、フレッシュさと熟成からの深みのあるうまみの余韻が圧巻だ。
雉のショーフロワ、小蕪、セップ茸に出されたのは1996。デゥポン氏曰く、デゴルジュマンをしてから10年経つのにデリケートでインテリジェンスを感じる深みのある極上のシャンパン。この50年間のうちのベスト3に入ると語る。
今年の収穫時期は好天に恵まれ完璧だったと語るドゥポン氏は、2019年はすばらしいビンテージになりそうだと満面に笑みを浮かべる。至高のシャンパーニュは、デゴルジュマンの時期やその後の熟成によって、さらに芸術性を深めていく。あらためてドゥポン氏により教えられた一夜だ。
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