岩合光昭写真展憧れの地で撮った多彩な動物たち、迫力のドキュメント - Gourmet&Traveller グルメ&トラベラー

岩合光昭写真展　憧れの地で撮った多彩な動物たち、迫力のドキュメント

カテゴリー／ CULTURE ｜投稿者／ Gouret&Traveller
2022年06月03日

岩合光昭写真展「PANTANAL パンタナール　清流がつむぐ動物たちの大湿原」

東京写真美術館にて2022年6月4日(土)〜2022年7月10日(日)開催

動物写真家岩合光昭さんが長年訪れたいと願っていたパンタナール。ようやく撮影が実現したのは2015年。3年半の間、5回にわたり訪れ、大自然に育まれた多種多様な生物たちをフレームに収めた。世界屈指の生命の宝庫とも呼ばれるパンタナールに生きる生き物たちの生態を撮影した100点にも及ぶ野生動物ドキュメンタリーである。会期中には岩合さんによるスペシャルトークイベントも開催され、憧れの地で出会った動物たちの撮影秘話も聞くことができる。

動物写真家であった父、岩合徳光さんの助手として19歳のとき訪れたガラパゴス諸島の自然の驚異に感動し、動物写真家の道を歩み始めた岩合さん。地球上のあらゆる地域をフィールドに、大自然と野生動物を撮影し続けている。

「ナショナルジオグラフィック」誌編集部から直接写真を見たいとワシントンDCに呼ばれ、たちまち20数ページも特集が組まれるなど高い評価を受けた。日本人としては初めて同誌の表紙を2 度も飾っている。

『アサヒグラフ』連載の『海からの手紙』で第5 回（1979 年度）木村伊兵衛写真賞を受賞。タンザニアのセレンゲティ国立公園に1年半もの間滞在して撮影した写真集『おきて』は、世界的なベストセラーとなった。

一方、岩合さんならではの視線で追いかけるネコ写真のファンも多い。半世紀以上撮り続けているライフワーク、ネコをテーマにした写真展は毎回動員記録が出るほどの人気ぶりだ。

2012年からは、NHK BS プレミアムで放映中の「岩合光昭の世界ネコ歩き」で世界を巡り、岩合さんでしか撮れないネコのさまざまな表情をとらえ続けている。また、2019年に「ねことじいちゃん」、2021年、「劇場版岩合光昭の世界ネコ歩き　あるがままに、水と大地のネコ家族」では映画監督も務めている。動物写真をテーマにした著書も、『どうぶつ家族』『ネコライオン』『かぴばら』『ふるさとのねこ』『こねこ』『パンタナール』『虎』など多数ある。

今回の撮影地、パンタナールは、大部分がブラジルに広がり、一部がボリビアとパラグアイにまたがる世界最大級の熱帯湿地。本州の広さに匹敵するほどの広大な湿地の大半が「パンタナール保全地域」として世界遺産に登録されている。10月頃からは雨季が始まり、川の氾濫により半年もの間8割が水没してしまうが、5月になると乾季となり草原が出現、世界でも希有な大湿原には多彩な野生動物が息づく。

ジャガー、カピバラ、バク、パラグアイカイマン、フサオマキザルなど、カメラを向けられているとは思えない野生の姿が写し出される。壮大な自然を背景にもっとも旬の表情をレンズに向ける、時に愛らしく、時に荒々しい動物たち。2メートルを超える作品から伝わるのは活き活きとした大自然の営み、その逞しさには圧倒されずいられない。