『わたしは最悪。』カンヌ国際映画祭女優賞受賞、オスロを舞台に洒落た映像で「自分探し」を追う

カテゴリー/ CULTURE |投稿者/ Gouret&Traveller
2022年06月24日

『わたしは最悪。』

71日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開

 

2022年のカンヌ映画祭で話題を呼んだノルウェーの〈異色作〉『わたしは最悪。』。タイトルがすでにセンセーショナル、どんな方向性にも解釈される「最悪」の意味合い、まずは、どう最悪な人間なのか、興味を惹かれる。

各映画祭では、「痛烈」「破壊的」「スリリング」と熱いレビューが巻き起こり、一大ムーヴメントを巻き起こしたという、その「最悪な」ユリアを演じたのは、33歳にして映画初主演を果たしたレナーテ・レインスヴェ。「かつてないタイプのスター到来」と評判を呼び、第74回カンヌ国際映画祭で女優賞に輝いた。さらに、第94回アカデミー賞では、国際長編映画賞と脚本賞にもノミネート、シネフィルには見逃せない作品であるといえる。

『母の残像』『テルマ』で注目されたヨアキム・トリアーは、北欧を代表する新鋭監督として活躍中だが、絵になる街オスロを舞台に、洒落た映像美とキャッチーなBGMで、ユリヤが「最悪」と自分を嫌悪する人生のターニングポイント-これが彼女には何度も訪れる-を追いかける。大人数のエキストラを使い、自分以外の時間が止まる演出などユリアが感情を奔放に表現していく演出も新鮮だ。

 

 

 

 

幕開きは、医学部の実習風景。「成績優秀だから」と自動的に決められたコースを進んで医大に進学したものの、医者になりたいわけじゃないし、と違和感を抱えながら毎日を過ごしていたユリア。ある日、心理学が学びたかったんだ、と大胆にも医学部から心理学部に進路変更するかと思えば、突然、カメラマンになりたい、と写真の勉強を始めたり。髪型もファッションも変え、自分の心に正直に人生を選択していく。

 

恋愛にしても同様に煮え切らない。グラフィックノベル作家として成功した年上の恋人アクセルと暮らし始めたが、自分の人生の可能性を出産や育児のために失うのはいや、と妻や母のポジションを拒絶し、アクセルとの歯車が合わない。そんな矢先、招待されたわけでもないパーティーに忍び込んだユリアに運命の出会いが訪れる。今度こそは安定した人生を選ぶかと思いきや

 

 

 

「もっと自分らしく生きられるはず」と衝動的に 180度生きる道を転換していくユリア。そのたびに自己嫌悪に陥りながらも自分に正直に人生を選択していく。

人間はひとりでは生きられない。自分に正直に生きればまわりを振り回す結果が必ず待っている。周囲を振り切って突き進む迷惑なユリアだが、不思議と観る人は彼女に共感する。

自分の可能性は無限にあり、それを追求していくべきなのだ、そんな思いは誰の心の底にも潜んでいる。好きなように生きてみなさいよ、思わずエールを送りたくなる。観る人もみんな、「最悪のわたし」になりたいのだから。

 

 

 

わたしは最悪。

監督:ヨアキム・トリアー

脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト

出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム

2021/ノルウェー、フランス、スウェーデン、デンマーク/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/128分/字幕翻訳:吉川美奈子/後援:ノルウェー大使館

(C) 2021 OSLO PICTURES – MK PRODUCTIONS – FILM I VÄST –  SNOWGLOBE –  B-Reel – ARTE FRANCE CINEMA

text Miki Yamashita

 

 

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