知られざる「森の京都」vol1. 綾部の里山と美食を訪ねる旅

カテゴリー/ VISIT |投稿者/ Gouret&Traveller
2022年12月21日

京都は、何度訪れても飽きることのない観光パラダイス。今回は、市内を飛び出して、「森」「海」をテーマに、見知らぬ京都を探しに出かけてみましょう。

 

写真上 雪の綾部市 写真下 春桜満開のあやべ温泉

京都市内から北へ向かうと、「森の京都」「海の京都」が広がります。まずは、「森の京都」中心地の一つ、綾部市を訪ねました。

綾部市は、京都府の中央北寄りに位置する田園都市。京都駅から山陰本線(特急)で約1時間、高速バスで約2時間、車では、京都市内から京都縦貫自動車道、国道27号経由で約1時間15分、観光客が殺到する京都市内から一転、美しい自然環境や豊かな里山・田園が広がり、農村の暮らしを体感することができます。過疎高齢化で存続が危ぶまれる集落を「水源の里」と名付け、水と空気の供給基地としての発信も続けています。

田舎暮らしやスローライフに憧れ、都会から移住者が多いことでも知られ、「移住立国あやべ」というプロジェクトも評判を呼んでいます。今回のガイド、工忠(くちゅう)照幸さん(写真下)もそんな移住者のひとり。「里山ゲストハウスクチュール」を営み、里山生活を体験したい旅人を迎えています。綾部農泊推進地域協議会の一員として、京都府で最多を誇る農民宿泊施設や田舎暮らしの魅力を解説しながら、綾部市を車で回りながらのガイドも行っています。(2時間5000円程度)

工忠さんは、移住を決めた理由をこう語ります。

「バックパッカーで世界中を旅していた際、ラオスのバンビエンという何もない里山に外国人旅行者が押しかけている光景を見て以来、日本の里山も外国人を呼び込めるのではないか、と考えていました。帰国後は、ホテルマンや添乗員の仕事についていたのですが、勤めていた旅行会社がある日突然倒産。それがきっかけで、「里山でゲストハウスを経営する」という計画を実行しようと決意、全国を探して回るうち綾部に出会いました」

古民家をリノベーションし、201510月、ゲストハウスをオープン。今では、海外からも多数の宿泊客が訪れ、サステナブルな田舎暮らしを体験しています。工忠さんは、移住希望者へのアドバイスも行っていますので、興味がある方は尋ねてみてはいかがでしょうか。

 

里山ゲストハウス クチュール
京都府綾部市五泉町下ノ段16
ホームページ:http://guesthouse-couture.com/
メール:satoyamaghcouture@gmail.com

 

 

そんな工忠さんが今回案内してくれたのは、「すまいる工房」。昔ながらの伝統的な暮らしぶりが残る里山エリアにあり、楮餅作り体験ができます。昔ながらの杵と臼が用意され餅つき体験をしたあとは、自分で丸めたお餅を試食できます。これは、800年続く黒谷和紙の原料である楮の葉を利用した珍しいお餅。つきたては少し歯応えがあり、そのままでも、ぜんざいにしても新鮮な食感と味わいが楽しめます。

 

すまいる工房

京都府綾部市八津合町古城山1-3

☎️ 0773-54-0002

3,850円(一人当たり)23時間

 

 

 

そのあとランチに訪れたのは、「御味噌庵 織りや」。店主の春山眞由美さんは、京都西陣織の織りやに生まれ、空間プロデューサーとして、京都亀岡にある「英国村ドゥリムトン」をプロデュースするなどし、コンセプトハウス第二弾としてオープンしたのが、こちらの「御味噌庵織りや」です。手織(てばた) の音を聞きながら育ったことが店名の由来とのこと。

室町時代をコンセプトに古民家を改修したお店は、土塀で囲まれ、店内にはおくどさんも。裏庭には当時の商店の様子が再現され、時代を遡ってきたかのような異空間が目の前に現れます。

お料理は自家製味噌をたっぷり使った「朴葉味噌御膳」(要予約)を中心に、軽食「むしやしない」、甘味(共に予約不要)のほか、和のアフタヌーンティー(前日までに要予約)も人気です。

おすすめメニューは、なんといっても「朴葉味噌膳」(3300)。自家製味噌で作った朴葉焼きは絶品。地元野菜を使った蒸し野菜に火にかけた味噌をつけながら熱々でいただきます。綾部産コシヒカリ、湯葉豆腐のすましなどとともに綾部の味を堪能。次の「あやべグンゼスクエア」訪問に備えます。

 

御味噌庵 織りや

綾部市豊里町三宅107

11:00 – 17:00(ラストオーダー 15:30

☎️ 0773‐45‐3248

ホームページ

 

 

 

写真上「グンゼ博物苑」創業蔵所蔵の蚕糸業機械 写真下) 繭から絹の織物へ

ランチを終えて向かったのは、2014年、里山に囲まれた広大な敷地にオープンした「あやべグンゼスクエア」。「あやべ特産館」「グンゼ博物苑」「綾部バラ園」の3施設で、綾部の歴史に触れることができます。特産品や農産物などのお土産品を購入したり、バラを眺めながら休憩もできる憩いの場所。帰りには、あやべ特産館に寄って地元の特産品、新鮮野菜、工芸品などのおみやげを購入しましょう。特に持ち帰りたいのは、綾部の豊かな自然に育まれたこだわりの地元野菜。特産品を通じて綾部の魅力を発見できることでしょう。

綾部市は、「蚕都」と呼ばれ、繊維工業を中心に栄えました。地場産業である蚕糸業を、地域を挙げて振興・推進していくため、1896年、波多野鶴吉氏は、「郡是製絲株式会社」を設立しました

「グンゼ博物苑」は、創立100周年を記念し、1996年に開苑。大正時代に使用していた 繭蔵を改造し、グンゼのあゆみを3つの展示蔵(創業蔵・現代蔵・未来蔵)で紹介しています。

絹織物の原材料となる生糸をつくる「製糸業」から始まったグンゼ。1Fでは蚕糸業で使用していた機械や道具などから黎明期の絹の生産方法を知ることができます。2Fでは、グンゼの創業当時のあゆみを振り返り、現代のグンゼは蚕糸業で培ったノウハウを基礎としてインナーウエアなど多様化した事業、未来蔵では、医療事業への取り組みが展示されています。

 

 

敷地内中央にある「綾部バラ園」には、1501200本のバラが栽培されており、『アンネの日記』の作者、アンネ・フランクにちなんだ「アンネのバラ」がシンボルとなっています。自然を愛し、とりわけバラが好きだったアンネ・フランクの「形見」として捧げられ、日本へは父のオットー・フランクより寄贈。愛と平和のシンボルとなっています。

また、観光情報ステーションがありますので、目的に応じた観光情報を入手可能。食事スポットなども教えてもらえますので、気軽に利用したいですね。

 

 

あやべグンゼスクエア

綾部市青野町亀無1番地の2

☎️ 73-42-3181(月曜~金曜) 0773-43-1050(土曜・日曜)

10001500 火曜日(祝日の場合は翌日)、お盆・年末年始は休苑 無料

http://www.gunze.co.jp/gunzehakubutu/index.htm

 

 

 

夕食は、「料亭ゆう月」にて名物の「おむすび懐石」(4000)をいただきます。綾部市は、上質のお米、賀茂茄子や京水菜などの京野菜を栽培、山菜や丹波の産物、松茸と栗も採れる豊穣の地。さらには、松葉カニや京鰆、牡蠣などが水揚げされる港町舞鶴から毎日新鮮な日本海の海の幸が届きます。この地方の美味を存分に味わえる一軒です。

海抜が高く中山間地域であるため、朝夕の寒暖差のためよりお米は上質に育ます。そんなお米を使ったおむすびは、綾部に来たらはずせないご馳走です。市内17件の飲食店がそれぞれのこだわりと愛情を込めて唯一無二のおむすびを提供していますので、いろいろなお店で味わってみてください。自分で握るおむすび体験ができる店もありますし、米作りをはじめとする農業体験ができる農家民宿も人気となっています。ぜひ、観光案内などで情報を入手してみてください。

 

料亭ゆう月」は綾部市内から人里離れた豊かな自然のなかに佇み、四季折々の地図景色を楽しむことができます。立派な庭園があるのでしばし散策したあと、ライトアップされた庭を眺めながらの食事がスタート。

この店では、専用の水田を持ち、水源の里から流れる山水を直接引き入れてコシヒカリを育てています。そのコシヒカリを使って懐石料理に仕立てたのが「おむすびかいせき」です。華やかな八寸や焼きもの、揚げものなどが続いたあと、最後に登場するのはシンプルな塩むすび。綾部の名物5品が添えられ、好みの具とともに味わいます。

 

料亭ゆう月

綾部市七百石町由里16-1

☎️ 0773-44-0815

完全予約制
昼 11:30~15:00   夜 18:00~22:00

会席料理:約4,000円~、鍋料理:約4,000円~、ビアガーデン:約3,000円~

http://ioriyuzuki.com/

 

綾部市の観光スポットを周り、里山を感じ、美食を堪能した1日。次回は、もうひとつの「森の京都」、綾部市からJR舞鶴線で15分ほどの福知山を巡ります。

 

 

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