デミ・ムーアの怪演が中毒性を呼ぶ、サスペンス・ホラー映画『サブスタンス』

カテゴリー/ CULTURE |投稿者/ Gouret&Traveller
2025年05月15日

『サブスタンス』

2025年5月16日全国公開  

REVENGE リベンジ』などで知られるフランスの映画監督コラリー・ファルジャの新作『サブスタンス』において、デミ・ムーアがアカデミー賞主演女優賞の候補にノミネートされた。若い頃のアイドル系イメージを払拭した今作は、まさに怪演。それどころか、狂演と言ってもいいほどのはじけぶりだ。年を重ねて、芝居の醍醐味に目覚めたかのように、スクリーン上では、生き生きと羽を伸ばしている。この高揚感あふれるデミ・ムーアを鑑賞するだけでも十分見る価値がある。

 

 

本作は、2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞。第75回アカデミー賞では作品賞のほか計5部門にノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。こうしたホラー・サスペンス系の作品としては快挙と言えるほどの高評価だ。

 

 

ストーリーやテーマはシンプルだ。中年の元人気女優エリザベス(デミ・ムーア)は、年齢による衰えを理由にエアロビクス番組をクビになったことをきっかけに、「The Substance」という怪しげな薬品に手を出す。アクティベーションという注射を打つと背中がぱっくり割れ、若く美しい自分の分身、スー (マーガレット・クアリーが飛び出す。

 

 

エリザベスとスーには、「1週間ごとに入れ替わらなければならない」という犯してはならないはいけないルールがあった。禁止事項を破っていくことにより事態が破滅に向かう、というのは世の定石。チヤホヤされセレブ生活を満喫するスーは、ルールを破り、もはややりたい放題。美貌を武器にスターダムを駆け上がっていく。

 

 

通底するテーマは、誰しもが持つ老化への恐怖や不安、外見の衰え。昨今の過剰なルッキズムやエイジズムへの痛烈な風刺も効いている。さらには、女性をモノとして扱うプロトタイプのおじさん達を登場させることにより、男性支配がいまだに続く現代社会を揶揄する。

 

 

スピード感あふれるカメラアングル、インパクトのあるサウンドトラック、ポップな色合いのアートエフェクトが見る者の五感を刺激する。

「理想の外見を得ることで自分の存在価値が高まる、という考えから人々を解放したい」とファルジャ監督は語る。誰しもが持つこのオブセッション、観客はこのメッセージを本能的に受け取る。

そんな普遍的なメッセージ性を持ちながらも、ラストに向けてのエスカレーションには中毒性を感じるほど。視覚的な仕掛けのインパクトがあまりにも強く、もはや、本質的テーマは頭の片隅に追いやられる。エリザベスとスーがモンスター化していくビジュアルの凄まじい過程から目が離せない。

 

『サブスタンス』

監督 コラリー・ファルジャ

出演 デミ・ムーア/マーガレット・クアリー/デニス・クエイド

https://gaga.ne.jp/substance/

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