写真家ロベール・ドアノー、初の 映画『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー<永遠の3 秒>』

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2017年04月08日

フランスの国民的写真家ロベール・ドアノーの人生と創作を、孫娘のクレモンティーヌ・ドルディル家族だからこその視点で映し出したドキュメンタリー『パリが愛した写真家ロベール・ドアノー<永遠の3秒>』が、4/22(土)より東京都写真美術館ホールとユーロスペース、ほか順次全国にて公開される。

「パリが愛した写真家」メインA 市庁舎前のキス」。誰しも一度は目にしたことがあるだろうカップルがキスを交わすパリを舞台とした一枚のロマンチックな写真。撮影したのは、フランスの写真家、ロベール・ドアノー。“パリの日常”をとらえ、数々の名作をのこしたドアノーが、「LIFE」誌の依頼で1950年に撮影し、1980年代にポスターとして発売されてから、世界中に知られるようになった写真だ。恋人たちが街中でキスすることがまだ珍しい時代、ドアノーの演出によって生まれたこの一枚は、世界中の人に「アムール(愛)の都」パリへの憧れを抱かせた。

 

 

 

 

なにより祖父と過ごす時間を大切にしていた孫娘クレモンティーヌが、1年かけて祖父ロベール・ドアノーのアトリエにある35万枚のネガを掘り起こし、ドアノーの撮影風景や親交深い著名人のインタビューなど貴重な資料映像をふんだんに使い、ドアノーの写真家人生を浮き彫りにする。ドキュメンタリー作品のなかでは、「パリ市庁舎前のキス」の知られざる撮影秘話も明かされるほか、ピカソ、フランソワーズ・サガン、ロマン・ポランスキー、サビーヌ・アゼマ、イザベル・ユペールなど、ドアノーが撮った同時代を代表する著名人のポートフォリオ作品が楽しめる。

 

 

 

 

クレモンティーヌ一生を写真に捧げたフォトグラファー、ロベール・ドアノーは、家族と過ごすことをこよなく愛した。パリの郊外、モンルージュで暮らした家は、現在、ドアノーの作品が収集されているアトリエへと姿を変え、娘のフランシーヌとアネットが父親の貴重な作品を守っている。家族の愛に包まれて、幸せな日々を過ごしたドアノー。ドキュメンタリー作品の監督をしたクレモンティーヌも、友人より祖父と一緒に時間を過ごすことを好んだという。

 

演出によって“人生の真実”をより深く表現するドアノーの独自の写真哲学による撮影現場はあまり知られてこなかった。クレモンティーヌは祖父の作品を広めるため写真展開催や宣伝で世界中を奔走している。

「祖父の作品はモノクロでノスタルジックで古色蒼然としたイメージをもたれているように思う。『パリ市庁舎前のキス』もそのひとつ。でも、ほんとうはもっとモダンでユーモラスな作品がたくさんあることを映画のなかで伝えたい」。

 

 

 

今の時代に祖父が生きていたら、フォトショップも得意だっただろうし、インスタグラムも投稿していたのではないか、と、職人気質で新しいもの好きだった祖父の姿がクレモンティーヌにはよみがえる。にもかかわらず、ニューヨークから東京まで世界中で、「ビストロ」や「アコーディオン」や「恋人たち」が写された古きよきパリを求めて祖父の写真に興味をもつファンが多いと嘆く。「私たち家族としては、そのイメージを払拭して、多くの著名人のポートレートを撮影するなど現代の写真家だった姿も知ってほしい」。

 

 

 

サブ4ドアノーの膨大な写真は二人の娘により、散逸しないよう入念に管理されている。オリジナルプリントを売ってほしいという要望も世界中から舞い込むが、家族の至宝として大切にしてきた作品を売ることをよしとしない。一家でドアノーの写真を守っているのだ。毎年ドアノーは、クリスマスに家族の写真をカードにして送っていた。クレモンティーヌの妹、マリーが編集にたずさわったほか、この映画にはドアノー一家総出で創り出されたものだ。時折差し込まれるクレモンティーヌの敬愛するイラストレーターのエマニュエル・ギベールのデッサンがいかにもエスプリの効いたフランス風のアクセントになっている。

 

 

 

 

 実は、このドキュメンタリーの構想は日本で生まれた。ドアノー作品に造詣の深いフランス文学者の掘江敏幸氏の「ドアノー作品を映画にして残しておけば」という言葉に触発されたという。そこから一年かけてアトリエの写真をすべて撮影、35万枚のネガと格闘した。その膨大な作品のなかからアメリカのパームスプリングで1960年に撮影された「L’amerique Eternelle」や1980年代に撮影されたミッキーロークやリタ・ミツコのポートレートなども発見された。

祖父が大好きだったクレモンティーヌは、学校が休みの毎週水曜日、祖父のアトリエで何をするともなく一日中過ごしていたという。自分の言動には祖父の写真のイメージが多大に影響していると感じている。幼いころから常にともにあった祖父の姿。この80分のドキュメンタリーの世界に入ると、自分もドアノー一家の夕食のテーブルについたかのような温かさに包まれることだろう。

 

 

 

 

 

ロベール・ドアノープロフィール
1912年、パリ郊外のジャンティイ生まれ。ルノー社のカメラマンを経て、フリーとして活動を開始。1949~51年、ヴォーグ誌の契約カメラマンとして、ファッション写真や社交界を撮影。特にパリの庶民たちの日常をとらえた写真で高い評価を得る。1994年逝去(享年82歳)。今でも世界各国で回顧写真展が開かれ続けている。

 

 

 

 

mihon_Doisneau_B1poster『パリが愛した写真家ロベール・ドアノー<永遠の3秒>』
監督:クレモンティーヌ・ドルディル
出演:ロベール・ドアノー/ダニエル・ペナック/サビーヌ・アゼマ/ジャン・クロード・カリエール/堀江敏幸
2016年/フランス/フランス語/アメリカンビスタ/80分/原題:ROBERT DOISNEAU: THROUGH THE LENS

4/22(土)より東京都写真美術館ホール、ユーロスペースほか全国順次公開

(c)2016/Day For Night Productions/ARTE France/INA 
(c)Atelier Robert Doisneau

 

 

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