「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真際」神社仏閣など文化財の非公開空間でアートと出会う祭典開幕
2017年04月15日
世界で活躍する写真家の貴重な作品や希少な写真コレクションを文化財などで展示する「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真際」が4月15日から5月14日まで開催されます。2013年にスタート以来、5回目となる本年は、「愛」をテーマに、多くの写真家やコレクションを世界各国から招聘し、京都市内の16会場で展示が行われます。会場は名刹や神社仏閣、歴史的建造物など普段は一般に公開されていない場所も多く、京都市内に点在する展示会場をまわりながら、春の京都散策を楽しめるというフェスティバル。この機会に普段訪れることのできない文化財でアートと出会う奥深い京都巡りをしてみてはいかがでしょうか。
なかでも今年注目される会場が、世界遺産に登録されている二条城。重要文化財である二の丸御殿台所と寛永期(1624-1645)に建造された東南隅櫓、二の丸御殿台所では、20世紀を代表するポートレート写真家のアーノルド・ニューマンの没後初となる回顧展、東南隅櫓ではマリリン・モンローの肖像が写真やコンタクトシートが紹介されます。
また、同じく通常非公開の建仁時にある庭が美しい両足院において、荒木経惟が昨年パリで発表した新作「机上の愛」が日本初展示となります。長い歴史をもつ帯商の誉田屋源兵衛 竹院の間における「MEMENTO MORI ロバート・メイプルソープ写真展」は、東京のシャネルネク サスホールでの展示に続いて世界的建築家ピーター・マリーノ蔵のコレクション。東京とはひと味違う帯商の町家ならではのアレンジを施した展示デザインで90点の作品が紹介されます。
会期中は、出展アーティストによるトークや講座、ワークショップなど写真を楽しむための多彩なイベントも開催されます。
アーノルド・ニューマン「マスタークラス-ポートレートの巨匠-」
二条城二の丸御殿台所/東南隅櫓
マリリン・モンローやパブロ・ピカソ、ジョン・F・ケネディなど、数多くの著名人を撮影したアメリカの肖像写真家アーノルド・ニューマン(1918-2006)の没後初となる日本での個展。環境を取り入れた肖像写真“environmental portraits”、つまり、被写体の仕事場や住居を撮影場所とし、被写体の周囲の環境と被写体を一体化して撮影する手法を確立したことで知られるアーノルド・ニューマン。1918年アメリカ、ニューヨークのマンハッタン生まれ。絵画を学ぶため入学した大学を中退後、肖像写真スタジオで働きはじめる。46年にニューヨークで自身のスタジオを開業した後、Life誌やFortune誌で政治家や俳優などの肖像写真を発表、20世紀を代表する肖像写真家となった。今回は普段、一般には公開されていない二条城二の丸御殿台所と東南隅櫓という貴重な会場で展示される大回顧展となる。今回の展示のキュレーターは、ロンドン・テームズ・アンド・ハドソン・キュラトリアルプロジェクトディレクター、ウィリアム・イーウン(写真)。
吉田亮人 Falling Leaves
元・新風館
1980年宮崎市生まれ。小学校教員として京都市にて6年間勤務し退職。2010年よりドキュメンタリー写真家として活動開始。写真家を志した頃から、年下の従兄弟と、従兄弟が生まれた時から生活を共にする祖母を献身的に介護する従兄弟の姿を撮り続けてきた。ある日、従兄弟は突然失踪し、約1年後、山中にて落ち合に埋もれた遺体で発見される。23歳の若さで自ら死を選んだ従兄弟と、毎日失踪した従兄弟をひとりで待ち続け、遺体発見の翌年に他界した祖母との日々を追った記録。2017年8月、その記録を一冊にまとめた「Falling Leaves」(私家版111部限定)を刊行予定。
スーザン・バーネット Not In Your Face
元・新風館 (姉小路壁面)
25カ国以上で撮影したシリーズより、「Life is Love」「愛がすべて」など、「LOVE」にまつわるモチーフが描かれたTシャツを着た人々の後ろ姿が写されたスーザン・バーネットによる写真作品。1951年アメリカ、ニュージャージー州生まれ。人々の後ろ姿を同一のフォーマットで撮影する「Not In Your Face」シリーズを2009年にスタートし、世界各国で展覧会を開催。タイポグラフィーがプリントされたTシャツを写した作品集『T: A Typology of T-Shirts』(Dewi Lewis 2015)を出版。25カ国で撮影されてきた同シリーズは現在も継続中である。
MEMENTO MORI
ロバートメイプルソープ 写真展
ピーター・マリーノ コレクション
presented by CHANEL NEXUS HALL
誉田屋源兵衛 竹院の間
国際的建築家ピーター・マリーノのプライベートコレクションから、およそ90点の作品が展示されるロバート・メイプルソープの個展。日本では2002年以来となる。メイプルソープは、1946年アメリカ、ニューヨーク州生まれ。70年代中頃から肖像写真家として人気を博し、80年代には花に主眼を置いた静物写真などを制作。今回は、メイプルソープ作品における自然美と肉体美、束縛と破壊をテーマに、少し前であれば日本での展示は難しかったであろうと思われる作品を含め、東京のシャネル・ネクサスホールでの個展を終えて帯商の町屋ならではのイメージの展示で装いもあらたに披露される。
イサベル・ムニョス Family Album/Love and Ecstasy
誉田屋源兵衛 黒蔵
スペインを代表する女性写真家の一人、イサベル・ムニョスは1959年スペイン、バルセロナ生まれ。日本初個展となる本展示は、2シリーズにて構成され、「Family Album」はゴリラやチンパンジーなど霊長類を被写体に、家族愛溢れる肖像を写したプラチナプリント作品と、自我を脱却し、時には自らの身体を傷つけながら神に近づくことを希求する信仰者を写した作品「Love and Ecstasy」などを展示。
TOILETPAPER
Maurizio Cattelan & Pierpaolo Ferrari
「Love is More」
presented by FUJIFILM
ASPHODEL
TOILETPAPERは現代美術家マウリツィオ・カテランとファッション写真家ピエールパオロ・フェラーリが、アートディレクターにミコール・タルソを迎えて2010年に発刊したアート雑誌。シュールかつ挑発的なヴィジュアルで、アルル国際写真フェスティバル2016や、アート・バーゼル・マイアミビーチ2016でのインスタレーションなどさまざまなジャンルに表現の場を広げてきた。イタリアの食文化やサブカルチャーをモチーフに、ポップなインスタレーションを展開する。ピエールパオロ・フェラーリは、「写真を使って身の回りのものを創作し、写真を日常に近づけたい」と展示のコンセプトを語る。
ザネレ・ムホリ Somnyama Ngonyama | 黒き雌ライオン、万歳
FORUM KYOTO
ザネレ・ムホリは1972年南アフリカ共和国生まれ。南アフリカ共和国をベースに活躍するヴィジュアル・アクティヴィスト。南アフリカにおけるレズビアンやゲイなど、LGBTが置かれてきた困難な状況を知らしめ、また意識改革を促すことを目的に作品を制作してきた。「黒き雌ライオン、万歳」は、さまざまな日用品を装飾品のようにまとい撮影したセルフポートレート作品のシリーズ。自身にほどこした演出には、黒人女性たちがたどってきた歴史や現状が示されている。「ジェンダーと人種差別を2大テーマに作品を制作するため、毎日自分を撮影していくことを課している」と語る。
メイン・プログラム
01 | フランス国立ギメ東洋美術館・写真コレクション Guimet National Museum of Asian Arts, Photographic collections 「Theater of Love」 |
虎屋 京都ギャラリー
休| 4/24 |
Detail | |
アーノルド・ニューマン 「イゴール・ストラヴィンスキー、作曲家・指揮者」ニューヨーク、1946 年 © 1946 Arnold Newman / Getty Images |
02 | アーノルド・ニューマン Arnold Newman 「マスタークラス −ポートレートの巨匠−」presented by BMW 特別展示:BMW アート・カー by アンディ・ウォーホル |
二条城 二の丸御殿台所 東南隅櫓 休| 無休 |
Detail |
山城知佳子 《土の人》 2016年 協力:あいちトリエンナーレ 2016 © Chikako Yamashiro, Courtesy of Yumiko Chiba Associates |
03 | 山城知佳子 Chikako Yamashiro 「土の唄」 |
堀川御池ギャラリー 1・2階
休| 月曜 |
Detail |
ジャダ・リパ「城の堀」《The Yokohama Project 1867 – 2016》シリーズより、2015 年 © Giada Ripa |
04 | ジャダ・リパ Giada Ripa 「The Yokohama Project 1867‐2016」presented by Ruinart |
ギャラリー素形
休| 4/24, 5/8 |
Detail |
ハンネ・ファン・デル・ワウデ「バスタブに入る兄弟たち」マラコフ、フランス、2011年 |
05 | ハンネ・ファン・デル・ワウデ Hanne van der Woude 「Emmy’s World」 |
嶋臺(しまだい)ギャラリー
休| 水曜(5/3以外) |
Detail |
「Falling Leaves」 2017年 © Akihito Yoshida |
06 | 吉田亮人 Akihito Yoshida 「Falling Leaves」 |
元・新風館
休| 無休 |
Detail |
Love Is Everything © Susan Barnett |
07 | スーザン・バーネット Susan Barnett 「Not In Your Face」 |
元・新風館 (姉小路壁面)
休| 無休 |
Detail |
ラファエル・ダラポルタ「The elusive Chauvet – Pont-d’Arc Cave(Éditions Xavier Barral) 」2016年 © Raphaël Dallaporta / Éditions Xavier Barral |
08 | ラファエル・ダラポルタ Raphaël Dallaporta 「ショーヴェ洞窟」 |
京都文化博物館 別館 1階
休| 月曜 (5/1以外) |
Detail |
ルネ・グローブリ「The Eye of Love, # 535」 © René Groebli, The Eye of Love, # 535, 1953. Courtesy Galerie Esther Woerdehoff, Paris |
09 | ルネ・グローブリ René Groebli 「The Eye of Love」supported by NESPRESSO |
京都文化博物館 別館 2階
休| 月曜 (5/1以外) |
Detail |
ロバート・メイプルソープ「チューリップ」1984 年© Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission. |
10 | 「MEMENTO MORI」 ロバート メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション presented by CHANEL NEXUS HALL |
誉田屋源兵衛 竹院の間
休| 水曜(5/3以外) |
Detail |
イサベル・ムニョス 《霊長類》シリーズより、キャンプ・リーキー、ボルネオ、2015年 © Isabel Muñoz |
11 | イサベル・ムニョス Isabel Muñoz 「Family Album」 / 「Love and Ecstasy」 |
誉田屋源兵衛 黒蔵
休| 水曜(5/3以外) |
Detail |
ヤン・カレン「ノコ I / 牧神祭具店 / 京都」2017年 © Yan Kallen |
12 | ヤン・カレン Yan Kallen 「Between the Light and Darkness | 光と闇のはざまに」 |
無名舎
休| 水曜(5/3以外) |
Detail |
荒木経惟 「机上の愛」2016年 © Nobuyoshi Araki, Courtesy of Taka Ishii Gallery |
13 | 荒木経惟 Nobuyoshi Araki 「机上の愛」supported by shu uemura |
両足院(建仁寺内)
休| 水曜(5/3以外), 4/20, 5/8 |
Detail |
Photography by TOILETPAPER: Maurizio Cattelan and Pierpaolo Ferrari. |
14 | TOILETPAPER Maurizio Cattelan & Pierpaolo Ferrari 「Love is More」presented by FUJIFILM |
ASPHODEL
休| 水曜(5/3以外) |
Detail |
ザネレ・ムホリ「Bester 1, Mayotte」2015年 © Zanele/Stevenson/Yancey Richardson |
15 | ザネレ・ムホリ Zanele Muholi 「Somnyama Ngonyama | 黒き雌ライオン、万歳」 |
FORUM KYOTO
休| 月曜 |
Detail |
〈16を除く全会場に会期中各1回のみ入場可能〉
一般=3,000円
学生(大学・高校・専門生)=2,000円
一般プチパスポート=1,500円
16を除く3会場 / 1日のみ有効
各会場にて販売、当会場のみ一回入場可能
2 二条城 二の丸御殿台所・東南隅櫓
一般、学生(大学・高校・専門生)とも=400円
※別途二条城の入城料金が必要となります。(一般料金600円ほか)
3 堀川御池ギャラリー1・2階
5 嶋臺(しまだい)ギャラリー
12 無名舎
15 FORUM KYOTO
一般=600円、学生(大学・高校・専門生)=400円
11 誉田屋源兵衛 黒蔵
13 両足院(建仁寺内)
14 ASPHODEL
一般=800円、学生(大学・高校・専門生)=600円
8 京都文化博物館 別館 1階
一般=1000円、学生(大学・高校・専門生)=800円