パリの新名所、アレノのネオビストロ、エルメのカフェほか美食の詰まったボーパッサージュ
2018年09月08日
パリ7区は、官庁街でもあるが、富裕層が多いシックなエリア。パリで一番洗練されたデパート、「ボン・マルシェ」から1ブロック、バック通り(rue de Bac)界隈はいまや、スイーツ天国だ。パティスリー・デ・レーヴ、ジャック・ジュナン、フィリップ・コンティチーニなど人気のパティスリーが目白押し。
そんな今一番勢いのあるバック通りに、8年もの歳月をかけて完成したパッサージュ、「ボーパッサージュ(Beaupassage)」がついにオープンした。グルネル通り、ラスパイユ大通り、バック通りに囲まれた1万平米の広大なスペース。3つの通りにエントランスが設けられており、趣の異なるアートがゲストを迎えてくれる。日本の紅葉を含む約60種の植物が植えられ、4名の現代アーティストの作品が共存する場所だ。
敷地内には17世紀末の修道院から、20世紀初頭のオスマニアンスタイルを経て、60年代のインダストリアル・スタイルに至るまで、ボーパッサージュは歴史を受け継ぎつつ入念にデザインされた。
元フランス首相リオネル・ジョスパンの娘、エヴァ・ジョスパン(写真)がエントランスの壁一帯にアートを施し、造園家ミシュエル・ドゥヴィーニュによる森のような散歩道に3人のアーティストたちが描いた、緑とアート溢れる空間に、美食がきっしり詰まっている。
ヤニック・アレノのネオビストロ、ティエリー・マルクスのブーランジェリー、アンヌ=ソフィー・ピックのカジュアル・フード、ピエール・エルメのカフェ、老舗チーズ店のバルテレミー、海の幸のストリート・フード、歴史ある名精肉店、京都の名門コーヒー店、ビオを専門とするスーパーマーケット、カルフールなどが入り、まさにパリの新名所。観光客はもちろん、パリジャン、パリジェンヌの暮らしを美食とアートで豊かにしてくれる憩いの場である。
アレノテック(L’Allénothèque)
パリの三つ星レストラン、「ルドワイヤン」のスターシェフ、ヤニック・アレノのネオビストロ。550平米の店内はオープンキッチンで50席、テラスは60席。妻、ローレンス・アレノによるギャラリー スペースでは現代アートが展示され、個室にもなる。ワインに思い入れのあるアレノは、800本にも及ぶワインのデギュスタシオンルームを地下にオープン。ワインを楽しみながら、ノンストップで、三つ星の味をカジュアルに堪能することができる。
メルシー (Mersea)
ブルターニュの巨匠オリヴィエ・ブランによるフィッシュ&チップスが人気の9区のメルシー2号店。シーフードのストリートフードをコンセプトにしたこのおしゃれなブラッセリーでは、グルメなクィックフードに出会うことができる。11時半から23時までノンストップでテイクアウトも可能。
ル・カフェ・ピエール・エルメ (Le Café Pierre Hermé)
シャンゼリゼにロクシタンとのコラボでカフェをオープンしたピエール・エルメ。こちらのサロン・ド・テも、シャンゼリゼ店同様、朝食からクロックムッシュやサラダなど軽食も食べることができる。クラブサンドは、日本のパンドゥミを使っているという。テイクアウトも可能。テラス席もあり、店内のカウンターでは、パティシエが毎週末に来店、ゲストの目の前でデザートを作ってくれる。10時から20時まで。無休
ラ・ブーランジェリー (La Boulangerie)
マンダリン・オリエンタル・パリのメインダイニング、「シュー・ムジュール」のシェフ、ティエリー・マルクスが子供のころ憧れた職業はパン職人。その願いも叶えつつ、さらに料理人としても腕をふるう現在、パンの学校もスタートさせている。パリの1号店に次ぐ2店舗目でスペシャリテはブリオッシュ。7時から21時までオープン。月曜休み。
デイリー・ピック (Daily Pic)
ヴァランス、パリ、ロンドン、ローザンヌと、もっとも星を多く持つ女性シェフ、アンヌ=ソフィー・ピック(写真(c)EmmanuelleThion)は、本拠地ヴァランスに展開しているヘルシー・ファーストフードの「デイリー・ピック」をオープン。メニューは、クラシックをベースにクリエイティブな、野菜を多用した料理がメイン。スペシャリテは、マドラスカレーのシロイトダラ、ココナツライスなど。その日の素材をお好みにあわせて。11時から20時まで。無休。
ポルマー (La Boucherie-restaurant Polmard)
6区にシックな精肉店を構える老舗ポルマーは、ここではレストランもオープン。ナンシーに続き2号店。2階は新鮮な牛肉や熟成肉、ソーセージやリエットなどの商品が並び、3階は、90%牛肉料理のレストラン。店内は、木と鉄を使ったシャビーシックな農場の納屋風。日本同様ブームの肉料理を食べるなら、まずはここアレクサンドル・ポルマーだ。10時から20時まで。月曜休み。
%アラビカ (%Arabica)
京都に3店舗展開している「アラビカ」。”%”のロゴマークが印象的なコーヒー専門店がパリに出店。ラテアート世界チャンピオンに輝いたバリスタ山口淳一氏が淹れるコーヒーを味わうことができる。世界60カ国以上を旅したという日本人オーナー・東海林克範さんが世界中から厳選。最高のコーヒーを提供するために、ハワイのコナにコーヒー農園も所有している。シアトル発の本格エスプレッソマシン、SLAYER(スレイヤー)をはじめとするこだわりのエスプレッソマシンを備え、希望の方法でコーヒーを淹れてくれる。豆も購入可能で、もちろん焙煎度合いも細かく指定できる。8時から20時まで。無休。
Beaupassage
83 rue de Bac
53-57, rue de Grenelle
75007 Paris
photo:Alexandra Tabaste/Anne-Emmanuelle Thion/®adelinemoreau