実力派俳優の競演でセザール賞5部門受賞 異色のミステリー「天国でまた会おう」
2019年02月24日
「天国でまた会おう」
2019年3月1日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
「このミステリーがすごい!」大賞、「週刊文春ミステリーベスト10」などブックランキングで7冠を達成した小説『その女アレックス』の著者ピエール・ルメートルの意欲作が映画化された。自身初の映画脚本により実写化されたこの原作は、フランス文学界で最も権威のあるゴンクール賞を受賞している。ティム・バートンを彷彿とするゴシック・アートのような映像、先の読めないミステリー展開、2018年のセザール賞を席巻した話題の作品だ。
第1次世界大戦の終結目前。仏軍のプラデル中尉からの不条理な攻撃命令に従ったアルベールは、生き埋めにされるところを若いエドゥアールに救われる。その時、エドゥアールは爆撃を受け、顔の半分と声を失う重傷を負う。良家の御曹司で、才能あるアーティスト、エドゥアールは家族にも会いたくないと戦死を偽装。画家になりたいというエドゥアールに対して反対する厳格な父親と折り合いが悪かったからだ。一方、戦後仕事も恋人も失ったアルベールは、粗末な部屋を借り、エドゥアールの面倒を看ていた。そんなころ声を失ったエドゥアールの意思を“通訳”する孤児の少女があらわれる。醜い傷跡をそっと撫でる少女にエドゥアールは癒され、傷を隠すための美しい仮面を猛然と作り始めた。エドゥアールは、アルベールと結託し、国や権力に対して壮大な詐欺計画を企てる。そこには隠された本当の目的があった──。
不思議な友情で結ばれた2人の帰還兵が企てた大胆な事件を描く異色のクライムドラマだ。
エドゥアール役を「BPM ビート・パー・ミニット」のナウエル・ペレーズ・ビスカヤートが演じ、本作の監督を務めたアルベール・デュポンテルが相棒のアルベール役で出演。2人の宿敵でもある上官のプラデル中尉には、『エル ELLE』のロラン・ラフィット。エドゥアールの画家になりたいという夢を認めない頑固な父親マルセル役を、『真夜中のピアニスト』『サラの鍵』のニエル・アレストリュプが演じる。仮面で顔を隠し台詞もなく、目だけで芝居をするナウエル・ペレーズ・ビスカヤートが光る。
第一次大戦が終わってまもない1918年のパリ左岸、いまとほとんど変わらない百貨店ボン・マルシェやホテル・リュテシアを舞台に、シークエンスが変わるごとに思いもよらない方向に事態は進展。実力派俳優たちの競演にハラハラ、ドキドキの連続だ。
「天国でまた会おう」
監督:アルベール・デュポンテル
出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルベール・デュポンテル、ロラン・ラフィット、ニエル・アレストリュプ、エミリー・ドゥケンヌ、メラニー・ティエリー
配給:キノフィルムズ/木下グループ
(c)2017 STADENN PROD. – MANCHESTER FILMS – GAUMONT – France 2 CINEMA (c)Jerome Prebois/ADCB Films
http://tengoku-movie.com
文*山下美樹子
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