ドナウ川クルーズ麗しの旅vol.5 ウィーン探訪ハプスブルクの遺産をまわる
2019年02月27日
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ドナウ川クルーズ麗しの旅vol.1
ブダペストから船にもどると、いよいよ船の最終地点ウィーンへ向かいます。
最後のディナーはフォアグラのごちそうです。デザートが終わる頃、パチパチ火花を散らしながらろうそくを灯したケーキが運ばれてきました。乗船中誕生日を迎えた人たちへのサプライズです。 レストランにいた全員でハッピーパースデーの大合唱。誕生日を迎えた人たちがろうそくの火を吹き消すと拍手がおこり、温かい空気で満たされました。
翌日は、最後のオプショナルツアー。そのあとは、みなさんから離れてひとりでフォルクスオーパーに「こうもり」を観に行く予定になっていました。一晩ウィーン泊という今回のプログラムがありがたい限りです。ほかのゲストたちは観光客をもてなすウィーンらしい音楽会にでかけることになっていました。
翌朝、ウィーン市内に港からバスで向かいます。見所の多いウィーン、バスで回ると効率よく回れます。団体ツアーのメリットでしょう。個人的にゆっくり回るのも楽しいけれど、一度にたくさんの観光スポットを見ることができる効率よさは侮れません。
まずはヨーロッパで最も美しいバロック建築、1642年建立のシェーンブルン宮殿。世界文化遺産となっています。入館には長い列ができていますしたが、団体の入り口かららくらく入場です。
1441室もあり、そのうち45室が一般公開されています。宮殿内の鏡の間では、6才の神童モーツァルトが見事な演奏を披露。漆の間ではナポレオンが会議を行ったり、1814年のウィーン会議では会場となった歴史の舞台です。
広大なシェーンブルン庭園は彫像、記念碑、丘の上のグロリエッテと呼ばれる戦没者記念碑があります。眺望がよく、カフェもあるそうなのですが、あまりに遠く訪れる時間がありませんでした。どれだけ広大な庭園かがわかります。
皇帝家の馬車美術館、皇太子の庭園から動物園まであり、すべてをまわると1日ではないすまないほど。見学内容もバラエティ豊かです。また、宮殿のなかにはホテルとなっているスイートがあり、いつか泊まってみたいと憧れます。
次に市内の中心部にあるホーフブルク王宮までバスはやってきました。最古の部分は13世紀に建てられましたが、最新部分は20世紀初頭に完成。1918年まで、歴代ハプスブルク皇帝の居城でした。美しい皇后エリザベートの時代は、なかでもよく知られています。現在は、オーストリア共和国大統領官邸になっているそうです。
類稀な美貌によって人々から賞賛されたエリザベート皇妃。その生涯は日本でもミュージカルでおなじみです。ホーフブルク王宮皇帝の部屋見学コースにあるシシィ博物館では、皇妃の展示品が飾られています。シシィはエリザベートの愛称でした。
ハイライトは、エリザベート愛用の品々。シシィ博物館では、エリザベートが生活したオリジナル空間に、エリザベート皇妃の私生活の焦点を当てています。バイエルン王国での屈託のない少女時代から、思いがけないオーストリア皇帝との婚約、そして1898年にジュネーブで暗殺されるまで、伝説的なエリザベート皇妃の波瀾に富む生涯を多彩な展示品からたどります。パーティーで着用されたドレスや63点の品々からなる旅行用薬箱などが展示されています。シシィ専用の豪華な車両のレプリカは内部を歩くこともできます。また、ハプスブルク家が使っていた銀器のコレクションも見ることができました。さあ、このあとはフリータイムです。
ぶらぶらメインストリートのケルンストナー通りを歩き、ウィーンの顔、シュテファン寺院を眺めます。そして、以前行って気に入っていたハプスブルク家御用達のゲルストナーにてカフェタイム。ウィーン名物のアップルパイ、アプフェルシュトルーデルとゲルストナー・アイスティーで一休み。ウィーンのトルテ系はぼそぼそした食感と雑な甘さが苦手。その点ゲルストナーは老舗ながら今風の味に進化しています。モダンなインテリアのなかウィーンの伝統を満喫します。ウィーン国立劇場にも近く、観劇がこちらなら近くでよかったのですが、電車で30分ほどの住宅地にあるフォルクスオーパーまででかけなければなりません。
ウィーン国立は、華やかなオペラが上演されますが、フォルクスオーパーは規模が小さめのオペレッタが中心。ウィーンらしい「こうもり」を観ることができてラッキーでした。周囲は暗くシーンとしています。せっかく明るく幸せになれる喜劇を見たあと舞台の余韻に浸ることもなく、静けさが広がります。少なくとも舞台がはねるのを待ってタクシーが待っていてくれるのが救いです。
夜遅く船にもどり、旅の帰り支度をして最後の眠りにつきました。
朝がくるといよいよお別れです。ウィーンの空港まで向かうタクシーを待ちます。
「船を離れたくない」と涙ぐむ人もいて、大きな客船にはない家族のような絆が生まれました。
また、いつかこのゲストに会えますように。タクシーから振り返った船に向かい、そう呟きました(fin)
https://www.croisieurope.travel/en/
text&photos Miki Yamashita
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