カテゴリー/ GOURMET |投稿者/ Gouret&Traveller
2019年07月10日

レストラン ラフィナージュ(Restaurant L’Affinage )

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日本を代表するグランメゾン「銀座レカン」の6代目料理長として長年厨房を守り続けてきた高良康之シェフが、2018年10月、銀座のあずま通りに満を持してオープンした「レストラン ラフィナージュ(Restaurant L’affinage )」。
レカンの華やかで格調高い料理を担い、長年培ってきた経験とレカン休業中の体験を通じ、高良シェフが深化させたフランス料理をこの新天地で表現している。

新しく建てられたビルの2階、扉が開くとすぐにレセプション、さらに奥に進むとグレーをベースにブルーを合わせたシックな設えで、豊麗な料理と向き合える端正な空間があらわれる。キッチンに対面してカウンターがあり、メインダイニングにはテーブル席が備えられている。
カウンターに座ったゲストが体験するのは、まるで額縁の中のキッチンライブを見ているかのような臨場感。そしてシェフがひとりひとりときちんと言葉を交わす温かい時間。これこそカウンター席の醍醐味だ。
メインダイニングの白いテーブルクロスの敷かれたテーブルには有田カマチ陶舗のショープレート。2名から8名の個室もあり、あらゆるオケージョンに対応できる。

 

 

 

 

 

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もともとモータースポーツが好きで、中学の時F1の車を作りたい、とその道への進路を取った高良シェフ。高校の時にアルバイトをした喫茶店でキッチンに入り、調理場で聞いたお客様の「おいしい」の声が嬉しく、ダイレクトに響く反応が楽しかった。さらに当時人気だったテレビ番組の「天皇の料理番」で見たフランス料理の世界が衝撃的だった。ものを作るのがそもそも好きだったこともあり、料理の道へと方向転換した。
ホテルメトロポリタンに就職し、ホテルのコーヒーショップで4年間働く。その4年間が料理人人生にとって、かけがえのない経験になる。専門学校に行っていない高良シェフは、ゼロから洗い場からのスタート。有名ホテル出身のシェフが何人もいるレベルの高い現場だった。新規オープンしたばかりで目が回るような忙しさのなか、パスタからピラフ、あんみつに至るまで、幅広いメニューを作り、料理の基礎を徹底的に叩き込まれた。

他のスタッフより遅れをとっていた高良シェフは、努力に努力を重ねた。当時はレシピをスタッフに公開することはない。現場で書き留めていると怒られる。マジックで手や腕に書いて、家に帰ってから書き起こしたという。
また、コーヒーショップの仕事が終わると、宴会など他の部門の調理場へ行き、手伝わせてもらう。有名ホテルでフランス修行を経験した20代後半の料理人がたくさんいて、多くを学ぶ機会となった。自分もいつかはフランスへ行きたい、その一心で精進を続けたところ、パリの三つ星レストランで働いていたホテルの先輩が声をかけてくれた。22歳のときに渡仏。「ラ・プティット・クール」「オンブルモン」「パン・アデュール・エ・ファンテジ」といった名店でフランス料理の研鑽を積んだ。

 

 

 

 

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帰国後「ル・マエストロ・ポール・ボギューズ・トーキョー」の副料理長、「南部亭」の料理長、「ブラッスリー・レカン」の料理長、そして「銀座レカン」の総料理長と、あらゆる形態の店で経験を積んできた。
初めから独立して自分の店を持つことをめざしていた。そのために、ホテルレストラン、格式の高いグランメゾンからカジュアルなブラッスリーまでさまざまなスタイルを学んだ。。

店名の「L’affinage」は、”熟成”を意味する。レストランの料理やサービス、そしてこれまでのご縁を熟成していきたい、と名付けたという。熟成は完成することはない。自身の目標へ向けて成長し、高みをめざすという意志を込めた。素材を活かすフレンチがはやりだが、素材の味・香り・ソースの3つを深めることで、バランスのとれたフランス料理が生まれると考える。料理の構成や提供する順番、スムーズに食べ進む盛り付け、器やシルバーの種類に至るまでゲストに合わせて気を配る。
料理のクオリティはいうまでもなく、非日常的空間を演出するための高良イズムを詰めこんだ至高のレストランだ。

 

 

 

 

前菜 フォアグラとグリオットチェリーのパヴェ

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フォアグラは、塩、こしょう、キャトルエピス、ナツメグで味をつけ、ホワイトポルトとコニャックを加えて1日マリネする。味が馴染むのに1週間。翌日火を入れ1週間寝かせると、フォアグラ自体のおいしさが出てくる。スパイスを使ったパンに、アニスとシナモン、蜂蜜をたっぷり入れを薄く切って一番下に敷く。グリオットチェリー、赤ワイン、赤ワインビネガー、ルビーポルト酒でたき上げ、キルシュで香りづけ。チェリーに赤ワインビネガーで輪郭が出せるように味わいはありながら軽やかに。赤ワインとルビーボルト酒に詰めたものを表面に塗る。スパイスや蜂蜜、アルコールなどたくさんの要素を使っているのでおいしさを染み込ませるために調和された味を作っていく。一つ一つ強い味が出ないようにたくさんの素材を使いながらも着地点を探す。

 

 

 

 

北海道産 夏鹿のロースト、赤ワインソース

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夏鹿はまだ? と問い合わせがあるほどの人気メニュー。夏鹿を使いだしたのは21年前。夏に出てくる肉質のクリアさが持ち味。合わせるソースも秋冬の力強くなってきたものとは違い、赤ワインの軽やかなソースで、鹿肉のみずみずしさを出す。肉質がきれいな、北海道エレゾ社の佐々木さんがしとめた鹿を使う。メスの2〜3才という好みを熟知する佐々木さん。ジビエは動物臭があるイメージがあったが、おいしさを伝えたいと、いい状態で届けてもらえるように、メールを送ってもらっている。付け合わせはえんどう豆にフランスからのジロール茸。夏鹿の優しさには付け合わせも香りが欲しい。どう食べ進んでもらうかを考え、真ん中にソースを置いた。

 

 

 

 

 

 

デザート ココナツのイルフロタント
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エスプーマでココナツとパッションフルーツの果汁を牛乳、クリーム、砂糖を軽やかにエスプーマの中に入れる。ココナツの白い部分や、ココナツのピューレ、水を煮出して砂糖、レモン果汁を加える。噛む要素として、パッションフルーツの粒状の種を添える。エスプレッソのゼリーを加えて、味や香りをのせる。右手にパッションフルーツのゼリーを置き、スムーズに右手からすくうと、パッションフルーツにコーヒーが混ざってくる。軽やかなデザートではあるが、起伏をつけて味を変化させていく。

 

 

 

 

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レストラン ラフィナージュ
03-6274-6541(予約専門)
東京都中央区銀座5-9-16 GINZA-A-5 2F
【ランチ】7000円
12:00~14:00(L.O.)
【ディナー】18000円
18:00~20:00(L.O.)
毎週月曜日・第3火曜日休み
https://laffinage.jp/

文・写真 山下美樹子

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