「人生、ただいま修行中」温かいまなざしで語られるパリ郊外の看護学校ドキュメント

カテゴリー/ PARIS |投稿者/ Gouret&Traveller
2019年10月30日

「人生、ただいま修行中」11月1日、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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冒頭、ひとりひとりが必死に手を洗うシーンが延々と映し出される。ここは、看護学校。手洗いの手技をならっているのだ。これからが試練の始まり。そんなシーンが印象的だ。

「パリ・ルーヴル美術館の秘密」など優しい口調で語るドキュメンタリー作品で知られるニコラ・フィリベール監督の最新作「人生、ただいま修行中」。日常生活の何気ない一瞬を大切に捉えた「ぼくの好きな先生」は、フランスで異例の200万人動員を記録、日本でも大ヒットしたことは記憶に新しい。
そのフィリベール監督の11年ぶりとなる日本公開作は、自らが塞栓症で救急救命室に運ばれ、命をとりとめたことをきっかけに生まれた。看護師と過ごした時間をかけがえのないものと感じた監督が選んだテーマが、“誰かのために働くこと”。フランス、パリ郊外にある看護学校で学ぶ看護師の卵たち40人の150日間を追った意欲作だ。

 

 

 

 

 

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実習の現場で患者と自分に向き合う姿を粛々と描いていく。生徒は、年齢、性別、出身も異なるが、めざす方向は同じ。それぞれの文化や宗教の違いも理解しながら、互いを認めつつ実践で学んでいく姿は見ごたえがある。生徒と講師の関係は親密でフランク。ジョークや雑談を交えながら授業に取り組んでいる姿がフランスらしい。

 

 

 

 

 

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映画は、3章の場面展開で進んでいく。
1章では、生徒の授業の様子を淡々と映す。まだ看護の知識がほとんどない生徒たちが、先生の話を熱心に聞きながら実践の準備に取り組んでいく。

2章では、実習先での生徒の様子。戸惑いや失敗を経験しながら、生徒が患者のために全力をつくして働く姿は美しい。採血や抜糸、ギプスのはずし方、死との向き合い方。初めての実習は厳しい。学生が切迫する様子を察して、患者はみんな不安そうな表情を浮かべながらも、誰ひとりとして文句を言わない。未来の看護師のために、患者も協力している。

3章では、実習を終えた生徒が、実習先での苦労や辛さを先生に吐露する。うまくいった生徒も失敗した生徒も、それぞれが自分の率直な気持ちを吐き出している姿が潔い。先生はセラピストのような手法で生徒の心の揺れを感じ取り、もどかしい心のあやを解いていく。

誰もが「初めて」を経験し、失敗しながら生きていく。自らに照らし合わせて学生の悩みや苦悩に共感する。生きていくことは、学びの連続。「美しい距離感」の名匠が温かいまなざしで贈る人生賛歌である。

 

 

 

 

 

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監督 ニコラ・フィリベール
製作年度  2018年
製作国・地域   フランス

(C)Archipel 35,France 3 Cinema,Longride -2018

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