「お菓子やうっちー」柔軟な発想でほかにどこにもない味のケーキが生まれる
2020年02月28日
お菓子屋うっちー
北参道から約5分、ケーキ屋さんらしき建物が見つからずウロウロしていると、ガラス張りの小さな店に人がどんどん吸い込まれていく。看板はないが、なにかオーラきらめく店。ここがお菓子屋うっちーだった。
2019年9月オープンしてすぐに話題の店となった。ケーキはシンプルの極み。しかし、どこにもないような味とルックス。ひと目見てイメージする味わいとは、ギャップがある。「自分しかない方向性でお菓子作りをしたい」という内山裕介シェフが、そのとき作りたいお菓子を自分のペースで、というスタンスで作っている。1人で作れるキャパシティは限られているので、なくなり次第終了となる。
店頭にはタルトやムースなど7種類前後が並ぶ。お菓子は予約が可能で、予約されたケーキを優先的に店頭の商品を考えるため、毎日、店頭のラインナップは変わる。作り立てを食べてもらうのがベストの味わい、とシュークリームは、その場でクリームを詰める。また、4席のイートインスペースを併設した。予約は11時から3時まで、一組1時間の制限があるが、あいていればいつでも利用可能だ。常連さんは帰りに次の予約をとるという、レストランのようなお菓子屋さんだ。
そもそも子供の頃から甘いもの好きだったこともあり、中学の時ケーキ屋を職業としてめざすことを考えた内山シェフ。専門学校を卒業してトシ・ヨロイヅカに入り、その後しばらくしてフランスへ。パリで1年修業、レストランでデザートを作っていた。食べ歩きをしたり、旅に出たり、美術館巡りをしたり、充実した日々を送った。日本ではできないようなことを経験したことが、今、さまざまなな食材への興味につながっている。
日本に帰ってきてからは和菓子の名店、茗荷谷の一幸庵の水上力氏のもとで修行。その後、来栖けいさんのレストラン、ボニュで4年経験を積む。レストランやパティスリー、和菓子とさまざまな経験ができたおかげで、柔軟性があるお菓子のアイデアが閃く。今は、この素材が使ってみたい、と思いつくと、早速試作をしてみる。最近では、百合根を使ったタルトが新たに登場した。常連さんに、これをお菓子に使って、と素材を指定されて作ってみたり、自分でも知らないものをお客さんと共有して、少しずつ学びながら毎日お菓子作りを楽しむ姿。そんなパティシエ魂が魅力的だ。
みるくのショートケーキ
生クリームは、牛乳ベースで自分で作っている。市販の生クリームでは後味が重い。濃さはあるが軽さもあるのが自身の作った特製生クリーム。スポンジは、高温で一気に焼き上げて水分が飛ばないように生地を焼く。体に馴染む、何度も食べたいと思えるケーキだ。
サツマイモのタルト
茨城県産、熟成されたサツマイモ紅天使を使ったタルト。内側の中心から生クリーム、次にサツマイモのペースト、外側の茶色いペーストはサツマイモの皮を入れた熟成特有のねっとりした食感と、層でさまざまななサツマイモが楽しめる。砂糖はほぼ使っていないので、サツマイモの自然な甘味が優しい。
レアチーズケーキ
フランス産クリームチーズと、水で作ったレアチーズ。通常レアチーズケーキは生クリームを混ぜ合わせるが、生クリームを使用せず、水とクリームチーズで仕上げた。コクがあり、あと口がきれいでチーズ好きも唸らせる。チーズの余韻とまろやかな口当たりが絶品。
お菓子やうっちー
東京都渋谷区千駄ケ谷3丁目27−9 ウェスト青山 1F Tel:0367210277
11時〜18時 なくなり次第終了。不定休。
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