写真家・安珠の展覧会「『A girl philosophy -ある少女の哲学』安珠 写真展」が「シャネル・ネクサス・ホール」にて開催中
2023年01月24日
写真家安珠さんがライフワークとして撮り続けてきた「少年少女の内なる世界」。今回の展覧会では、少女たちの姿を物語性のある独自の世界観とともに切り取った最新作約50点と映像を過去の作品を交えて展示する。『不思議の国のアリス』や 『青い鳥』 といった誰もが知る児童文学の世界をモチーフに、ある少女が目にし、心に留めた出来事に対して内省を深めて、真理を求め旅をする過程を独特の美意識に彩られた写真で幻想的に表現している。
安珠さんは学生の頃、デザイナーのジバンシーにより専属モデルとしてスカウトされて渡仏し、以降、ヨーロッパを拠点に国際的なモデルとして活躍。1990年の写真家への転身を経て現在に至るまで「少年少女の内なる世界」を撮り続けてきた。今回のテーマについて安珠さんはこのように語る。
「少女の強さを哲学を用いて紐解いていきたい。大人になっていくなかで、与えられたものをただ鵜呑みにするだけでなく、自分なりの内政する時間を持って、”信じられるもの信じられないもの”を見きわめ、主体性を持って成長していく。少女は、時代を変える象徴にもなりえる」
共同体に縛られて、ワクからはみ出さないように生きることが主流になっている今、たとえ孤立したとしても自分を信じて生きることの尊さを少女を通して表現する。
「1人が真実に対して手を挙げれば、多くの人たちが賛同してくれる、やがて、主流になれるのではないか」と安珠さんは希望する。
少女は希望の象徴。ウクライナで戦争やコロナで厳しい時代、誰しも希望を持ちたい、と願うが、信じられるものがない、厳しい時代。心の救い、哲学が必要だ。その思いを写真とともに文章にした。
「付随するテキストと写真を同じように読み進めていってもらいたい」
エーリッヒ・ケストナーの『動物会議』を読む世界中の少女たちは、リアルな子供ではなく人形を撮りたいと思い、世界中から人形のパーツをバラバラにオーダーし、それを組み合わせた。目を入れカツラを選び、世界各国の少女として作り込んだ。
エントランスの写真で美しい少女の内省の世界に足を踏み入れ、さまざまな物語を訪ねて行き着く先は渋谷のスクランブル交差点。現実に生きていることの意味をあらためて気付かされる。
「シャネル・ネクサス・ホール」は、芸術を愛し、支援したガブリエル シャネルの精神を受け継ぎ、若手音楽家の支援や展覧会など、コンサートとエキシビションをメインに展開している。そんなシャネルの世界観も饒舌に伝える写真展である。
写真家・安珠
「『A girl philosophy –ある少女の哲学』
「シャネル・ネクサス・ホール」
2023.1.18 (水)- 2.12 (日)
11:00 – 19:00 (最終入場18:30)
無休・予約不要(混雑時、入場制限あり)
入場無料