『ジョン・レノン 失われた週末』貴重な証言や映像が語る真実の姿
2024年05月05日
『ジョン・レノン 失われた週末』
5/10(金)より角川シネマ有楽町、シネクイント、新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
ビートルズのジョン・レノンと妻オノ・ヨーコが別居していた1973年秋から75年初頭にかけての18カ月間、“失われた週末”と呼ばれる日々をメイ・パンの視線で追ったドキュメンタリーである。
個人秘書でプロダクション・アシスタントを務めていた中国系アメリカ人メイ・パンと暮らすことになったのは、ヨーコの提案からであった。前衛芸術家らしい手法で夫の真の心は自分にある、と確かめたかったのか。
まだ23歳だったメイは、ジョンに次第に惹かれていく。ジョンにとってメイは、幸運を呼ぶ女神のような存在となった。最初の妻シンシアの息子ジュリアンとの再会を導き、3人は多くの時間をともに過ごし、幸せな日々を送る。
現在のメイやジュリアンの証言や貴重なアーカイブ映像、プライベート写真でコラージュされた映像は、ジョンの知られざる素顔を写し出す。
ジョンが贈ったユニークなイラストの数々は、メルヘンチックで、ファンタジーの世界にビートルズが存在していたような感覚を覚える。
この頃のジョンの制作に貪欲であり、アルバム「マインド・ゲームス」「心の壁、愛の橋」「ロックン・ロール」など数々名作を生み出している。デビッド・ボウイやエルトン・ジョンらとのコラボレーション、仲違いをしていたポール・マッカートニーとの和解など、当時を知らない世代にも感動を与える貴重な実録映像が次から次へと登場する。
酒やドラッグに溺れていた1970年代のジョンは、すさんだ生活をしていた。ジョンとメイが暮らした約1年半は、80年に銃に倒れる前のジョンにとってどれほど大きな意味があったのか。ジョンを自由にし、製作意欲を刺激したメイの存在は、あの頃のヨーコにとっても必要だったのだろう。2人それぞれのジョンへの深い愛は、互いに異なる方向からアーティストとしてのジョンを支えていた。
ラスト、現在のジュリアンとメイが、まるで親子のようにジョンを語る姿は、あの1年半が2人の生涯にとってもマイルストーンであったことをを教えてくれる。
『ジョン・レノン 失われた週末』
監督:イヴ・ブランドスタイン / リチャード・カウフマン / スチュアート・サミュエルズ
出演:メイ・パン / John Lennon / Julian Lennon / Paul McCartney / David Bowie / Elton John
2022年/アメリカ/英語/94分/カラー/1.85:1/5.1ch
原題:The Lost Weekend:A Love Story
字幕:松浦美奈
字幕監修:藤本国彦
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://mimosafilms.com/lostweekend/
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