「GINZA SIX」銀座を見下ろすテラスで日本の食の最先端を楽しむ大フードコート「銀座大食堂」
2017年06月06日
2017年4月20日、銀座松坂屋跡にオープンした銀座エリア最大の複合商業施設「GINZA SIX(ギンザ シックス)」。ラグジュアリーモールを掲げ館内には、海外のハイブランドから国内の老舗まで241ブランドを揃えた。銀座初出店83店舗、日本最大級規模の35店舗など日本の商業施設の中でも最前線の印象を誇る。世界一のアート書店をめざす蔦屋書店はアート本をメインに6万冊の書籍を販売、また地下3階には「観世能楽堂」を渋谷松濤にあった建物を移築。さらに吹き抜けになった天井からは草間彌生のアート作品、ドットのバルーンがデイスプレイされ、カルチャーの発信地としての役割も果たす。 また、観光バス乗降場を設置、インバウンドの玄関口として海外からの観光客も迎えるなど、脱百貨店を謳ったこれまでにない業態の施設として銀座のさらなる活性化を担う。
飲食店は、241店もの出店があり、フランスのカリスマパティシエ、フィリップ・コンティチーニはじめ日本初出店など話題も多いが、なかでももっとも注目されているのが、6階の蔦屋書店向かいに面して330坪の大ホールに日本の食の最先端が集結した「銀座大食堂」だ。
日本各地で育まれた地産の選りすぐりの7店、「北海道 UEDAGUMI」「すき焼き 牛しゃぶ 松重」「神戸牛すてーき Ishida」などが並ぶのれん街が両サイドに軒を連ね、ライブキッチンを囲みながらシェフの手による旬が味わえる。店内中央には新鮮な魚介をカジュアルに楽しめる山田チカラ氏監修の「銀座バル with魚力」、オープンダイニングエリアでは、日本の洋食メニューを京都吉兆の徳岡邦夫氏監修する「銀座モダンテラス」がオープンエアのバルコニーにまで広がり、約380席もある一大フードコートが展開されている。
テラス席は天井が高く、横幅40メートルもある開放的な空間で、銀座6丁目通りを見下ろしながらソファー席でゆっくり食事ができる贅沢なコーナーに設えられている。テラスに向かう右奥には本格的な紅茶や台湾茶を楽しめるティーカウンター、Luvond Teaがあり、おひとり様から大人数での利用まで、さまざまななシーンに対応できることもあり、連日長蛇の列ができる混雑ぶりが続いている。
築地大食堂をプロデュースしたカフェ・カンパニーの楠本修二郎社長は、日本の食が世界にどのような貢献をするのか示していく機会を待っていたという。
「今ままでの銀座になかったオンリーワンの価値、こだわりの商品だけを扱ったGINZA SIX、そこに集まってくる食の提供は、これまでの方程式のようなシンプルな足し算、引き算ではなく、有機的に重なっている網の目のような構成になっています」。
日本だけではなく、世界中でカフェを筆頭としたフードビジネスを展開するカフェ・カンパニーは、「カフェはコミュニティをつくる」がもともとの理念だ。
「カフェは数百年前からメディアの役割を果たしていました。保健会社の海上保険のロイズはもともとロイズカフェで、船の積荷がつかないときに、お互いに互助会をつくっていたのが保険の始まり。旅するときにこちらは嵐だとか、あちらではは戦が起きている、といった情報を知らせることから始まりました。その後、活版印刷術が発明されてジャーナリズムが生まれ、カフェのオーナーがその情報を発信していた。リラックスして食べたり飲んだりする、いまどきでいうと「サードプレイス」がメディア的な役割を果たしてコミュニティをつくり価値観の共有ができてきました。フランス革命もカフェに集う人たちから起こっています。価値観が共有されたとき、そこにどんなコミュニティが誕生するのか、その創出はおもしろい」。
日本という文化を食を切り口にどうグローバルコミュニティにしていくか。楠本氏は新たな次元でのコミュニティづくりの集大成としてこのGANZA SIXを選んだ。
「この空間をすべて『お江戸』な内装にする手もありましたが、それではテーマパークになってしまう。江戸時代にタイムトリップするのではなく、こうしたテラスで丼を食べることが数年後カリフォルニアでも普通の光景になることを想像すると楽しい。そうした生活提案をしていきたい。銀座は世界から感度の高い人が集まるので、そいういう人たちのためのコミュニティを作りたいんです」。
銀座大食堂のコンセプトの源は、戦後まもなく新しいビルが建ち始めたころの銀座のこの場所の一枚の写真だった。1964年生まれの楠本氏は昭和への思い入れが強い。昭和は日本が新しく海外を取り入れながら、日本流にモディファイした時代であり、日本らしさも育ちながら多様性が生まれ、日本食が多岐に進化していった。
「この写真をたまたま見て、残っていたのは和光だけだったのか、とあらためて驚き、そうか、ここからの復活だったんだなと、感極まりました。小さいころ両親に連れて行ってもらったあの百貨店の食堂の銀食器がよみがえり、もう一度未来に過去からの伝承を残そう、と考えたんです。自分がノスタルジーに思う時代、『和食』というより、あの頃の日本の食を再現したい」。
昭和の時代は、アメリカをそのまま模倣してきたのではなく、日本の文化とシンクロさせてミッドセンチュリーモダンを創出し、半世紀にわたってその理念を培ってきた。そうした文化が、デザインや日本らしい精神性の空気として詰まった場所をつくりたいとかねてから構想を練っていた楠本氏は、これまで京都の伊右衛門サロンやロームシアターのカフェ、京都モダンテラスをその思いを実現するべく手がけてきた。飲食店が専門化し、小さくまとまっているのがトレンドの現在、ヨコ軸のグローバルなコミュニティをどうつくるか、タテ軸の時間軸の歴史観をどう未来に残していくか。
楠本氏の発想の原点は昭和のデパートの大食堂だが、「ただのレトロになるとエンターテイメントになってしまうから、それを新しい目線で海外の人が見たとき、あるいは、僕らが海外に行って取り入れたときにどいういう化学反応になっていくか、そういう視点で縦軸と横軸をデザインなどを通して織り成していきました」。
新しさはありながら、気をてらった業態ではなくて、ある意味オーソドックスでクオリティにこだわった店だけを入れた。一番大切なのはお客様との接点。「専門店は少しスペシャル感を醸し出さなければならないので、両サイド全店にのれんがかかっている。京都や金沢のような軒の文化を取り入れました。そうすると全部閉じてしまうので、縁側と呼んでいるのですが、カジュアルにアイランド型のカウンターを囲んで楽しめる場所を作り、一人でも座れる本格的なお茶のカウンターも備えました。将来的にはもっといろいろな人をウエルカムするために、エントランスでの立ち飲みの利き酒などもやりたい。まだまだチューニングしていきます」。
銀座の最新発信基地として、これからどんコミュニティを形成しているのか、注目していきたい。
銀座大食堂 人気メニュー
『築地バル with 魚力』
セビーチェ クラシック 1700円 ハーフサイズ(950円)もあり。
スペインで絶大なる人気を誇る『エル・ブジ』のフェラン・アドリア氏に師事した日本における分子ガストロノミーのパイオニア、山田チカラ氏監修の魚介バル『築地バル with 魚力』。 鮮魚専門店「魚力」とコラボした、アボカド、ひよこ豆、パクチーなども入ったヘルシーでエスニックテイストの海鮮サラダ
ESPMOSSOかき氷 マンゴー 1200円
牛乳のかき氷にマンゴーの果肉とアイス、エスプーマが隠れている。マシュマロタッチの新鮮な氷の口当たりにに3種類の多彩なマンゴーの食感と甘みがアクセント
『銀座モダンテラス』
和牛ビーフカレー 1800円
伝統を守りながらも今の時代を表現する日本料理のジャンルで多彩な演出を行う『銀座モダンテラス』では、日本を代表する料理人、京都吉兆の徳岡邦夫氏が監修する洋食を。じっくりとやわらかくなるまで煮込んだ昔懐かしい洋食屋さんのカレー。銀座シックスということで、ライスも六角形が愛らしい
出し巻きとハムのサンドイッチ&ソーセージココットのプレート 1800円
京都ではおなじみの卵焼きのサンドイッチが登場。食パンと塩味風味の卵がノスタルジックな味わい
銀座大食堂
GINZA GRAND Premium Food Hall
〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F
東京メトロ「銀座駅」A3出口より徒歩2分
<お問い合わせ> 銀座大食堂
0570-001-432
※ご予約は各店舗にて承ります。
※上記番号はナビダイヤルにて各店舗へおつなぎいたします。