パリ・オペラコミック座初演、ドニゼッティ作「連隊の娘」、MET LIVEビューイングで!
2019年03月30日
連隊に拾われた孤児マリーの本当の身分は? 農村の青年トニオはマリーと結ばれるのか? アルプスの麓で展開する心温まるラブコメディ。
「連隊の娘(La fille du régiment)」は、ドニゼッティによって作曲されたオペラです。ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュとジャン=フランソワ=アルフレッド・バイヤールのフランス語訳による共作で、1840年にパリで作曲されました。オペラ・コミック座のための作品を依頼され、わずか4時間で完成したと伝えられています。このたび、L・ペリーのプロダクションにより、お洒落な演出でMETに蘇りました。
劇中でトニオ(テノール)が歌うアリア「Ah! mes amis, quel jour de fête! (ああ友よ、なんと嬉しい日!)」は、ハイC(高いド)が多用されることで知られており、華やかで人気のある曲です。今回は奇跡の高音テノール J・カマレナが9つの高音ハイCを炸裂させます。P・イェンデのきらめく声、S・ブライズの圧倒的な存在感も聴きどころ、見どころです。さらに、二度ゴールデン・グローブ賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた映画女優キャスリーン・ターナーが本作でオペラ・デビューします。
第一幕 19世紀初め、チロル地方の村はずれ
山の遠くからフランス軍の大砲の音が聞こえます。村人は戦況を見守りますが、フランス軍の退却の報が届き一同安心。この戦禍で旅の足止めをくらっていたベルケンフィールド侯爵夫人と執事のオルタンシウスが山小屋にもどってきました。公爵夫人は「戦争は嫌い」と歌います。そこにフランス軍第21連隊が軍曹シュルピスに率いられ現れます。村人は恐れて逃げ去り、ベルケンフィールド侯爵夫人も小屋に隠れます。そこに軍服姿のマリーが登場。彼女は幼い頃戦場でシュルピス軍曹に拾われ、この連隊の中で育てられた孤児。兵士らに可愛がられていました。
このところふさぎがちなマリーに軍曹が理由を尋ねると、以前崖から落ちた時、一命を救ってくれた青年が忘れられないというのです。その時、青年がスパイ容疑で連行されてきました。彼こそマリーの命の恩人トニオ。彼もマリーを忘れられずに彼女の姿を追い、スパイと間違われたのでした。マリーのとりなしでトニオも軍に入隊することになります。マリーは周囲にうながされて「連隊の歌」を歌い、二人になると、お互いの心のうちを語る愛の二重唱を奏でます。
ベルケンフィールド侯爵夫人がシュルピス軍曹と話していると、マリーが、死んだ夫人の妹とフランス軍人との間に生まれた娘であったことが判明します。ベルケンフィールド侯爵夫人はマリーを、貴族に相応しい教育をするために引き取ります。別れの辛さに拒むマリーでしたが、シュルピスに説得されて、侯爵夫人とともにパリに行くことを決意するのでした。
第2幕 パリのベルケンフィールド伯爵夫人邸
ベルケンフィールド侯爵夫人の邸宅では、マリーが礼儀作法、バレーなど稽古に励んでいますが、慣れない上流階級のしきたりに苦労する毎日でした。シュルピス軍曹は、今ではこの家の執事として働いています。マリーが入ってくると、公爵夫人のピアノ伴奏で歌のレッスンがはじまります。マリーは懐かしの「連隊の娘」を歌い出します。一人になると、マリーは楽しかった連隊での生活を思い出し、アリア「身分も富も」を歌います。その時、今や大尉に昇進したトニオと連隊がやってきました。トニオはマリーに求婚しましが、伯爵夫人はマリーが、実は自分の子どもであると告白し、マリーとクラーケントルプ家との婚約が決まっていることを告げます。クラーケントルプ伯爵夫人の一行が到着し、マリーが結婚証明書にサインをしようとするその時、トニオが現れてそれを妨げます。マリーは孤児として連隊で育てられた自らの生い立ちを正直に告白し、それでも実母に従いサインするというのです。ベルケンフィールド侯爵夫人はその正直な心に打たれて、ついにマリーとトニオの結婚を許します。人々は「フランス万歳」と叫び、喜びのうちに幕となります。
舞台写真 (c) Marty Sohl/Metropolitan Opera
「連隊の娘」
4月12日 (金)~ 18日 (木)
東劇・新宿ピカデリーほか全国公開
指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:ロラン・ペリー
出演:プレティ・イェンデ、ハヴィエル・カマレナ、マウリツィオ・ムラーロ、ステファニー・ブライズ
上映時間:3時間2分
MET上演日:2019年3月2日
言語:フランス語
https://www.shochiku.co.jp/met/
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