写真のVibeを感じる 第7回KYOTOGRAPHIE京都国際写真展 開催
2019年04月14日
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2019「VIBE」開催
KYOTOGRAPHIEは、ひとつの表現媒体であり、芸術的手法である「写真」への理解を深め、その可能性を伝えることを目的に始まった。内外で活躍するアーティストによる写真作品や写真コレクションを、京都が誇る歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間で展示し、新たな創造を生みだす。2018年に開催された第6回までに約56万人を動員し、人気イベントとして定着しつつある。
7回目となる2019年は、目に見えないものがつながるときに生まれる共振や共鳴(VIBE)をテーマに行われる。
季節のよい京都でアート写真詣でをしてみてはいかがだろうか。
Albert Watson
アルバート・ワトソン
Wild
京都文化博物館 別館
10:00—19:00(4/14)18:00
休:4/15、4/22、5/7
※ 中学生以下は無料
※ イベント開催のため4/13 12:30-15:00 4/14 11:00-13:30 は2階展示スペースは観覧不可
一般 ¥1000
学生 ¥800(要学生証提示)
キル・ビルのポスターでも知られ、アルフレッド・ヒッチコック、デヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガーなど、時代の寵児たちのポートレートを撮影。1942年、スコットランド・エディンバラ生まれ、50年以上第一線で活躍し「ポートレートの巨匠」と名高いアルバート・ワトソン。各国のVOGUEの表紙、ローリングストーンズ誌やハーパス・バザーなど著名誌の表紙を撮影してきた。世界中の美術館やギャラリーでも展示多数。人物、静物、風景まで多数の写真のなかから、今回のテーマ、「Vibe」にふさわしい作品を厳選。ワトソンの日本初の回顧展となる本展では、未公開の新作や坂本龍一のアルバム『BEAUTY』のジャケットのアザーカットも展示する。国の重要文化財である京都文化博物館 別館に、規則正しく並んだ柱の間を展示壁面がつなぐ空間構成で、これまでの歩みを見せる。
Benjamin Millepied
ベンジャミン・ミルピエ
Freedom in the Dark
誉田屋源兵衛 黒蔵
10:00—18:00(4/14)17:00休:水曜日(5/1以外)
※ 中学生以下は無料
一般 ¥800
学生 ¥600(要学生証提示)
国際的に名を馳せる元ダンサー・振付家・映画監督として知られるベンジャミン・ミルピエが、世界に先駆けて初個展を開催。2012年に自身のダンスカンパニーを構えたロサンゼルスの路上でダンサーを撮影したモノクロの写真作品とサウンドスケープを発表する。振付とは時間と空間を探求することであり、ダンスという身体行為によって自己を知り他者への関心がより開かれるとミルピエは語る。2013年にはパリ・オペラ座から芸術監督として抜擢され、2016年に「L.A. Dance Project」や振付師、映画監督としての自身の制作に専念するために辞任するまで、数々の功績を残した。映画監督としてミルピエはこれまでに多くのショートフィルムを制作。
帯匠の歴史的建造物「黒蔵」にて、都市と人間の関係性を表現する。写っているダンサーたちは、アクションが起こるのは自己表現。ダンサーが自由に行なっていること、その瞬間をとらえることが意味を持つという。
Pierre Sernet & SHUNGA
ピエール・セルネ & 春画
誉田屋源兵衛 竹院の間
10:00—18:00|休:水曜日(5/1以外)
※ 直接的な性描写のある作品が展示されており、18歳未満は入場不可。
(受付にて身分証明書提示が必要の場合あり)
入場無料
江戸時代から続く帯匠・誉田屋源兵衛(こんだやげんべい)の竹院の間が京唐紙によって壁が装飾されたモダンな和空間となり、フランス人パフォーマンスアーティストであり写真家のピエール・セルネの写真シリーズ「Synonyms(同義語)」と、世界的に注目が集まる日本の春画が一堂に会する。異性、同性カップルのヌードを被写体とし、モノクロのシルエットで表現されたセルネの写真。それに呼応するように浦上蒼穹堂・浦上満コレクションよりの春画、葛飾北嵩(ほくすう)、歌川国芳、歌川国貞、歌川国虎、勝川春潮といった北斎以降の様々な絵師も紹介。その線描と色彩、大胆な構図と、春画からインスピレーションを受けたセルネの写真がのぞき窓のようなアーチで仕切られた空間に写し出される。
(シャネル・ネクサス・ホール[会期:2019年3/13–4/7]からの巡回展)。
Teppei Kaneuji
金氏徹平
S.F. (Splash Factory)
京都新聞ビル 印刷工場跡(B1F)
10:00—17:00|休:4/14、4/25、5/9
入場無料
京都新聞ビルの地下にある印刷工場跡を舞台に、かつて新聞を印刷していた工場の痕跡からインスパイアされた壮大な展示をつくりあげた。身のまわりの事物を素材に部分を切り抜き繋ぎ合わせることで、既存の 文脈を読み替えるコラージュ的手法を用いて作品を制作し、現代美術家・彫刻家として活躍する金氏徹平は、1978年生まれ。音響や映像を扱うアーティストと共に、京都新聞の旧工場跡地と移転後の新工場で撮影した写真・映像および録音した音を用い、新作と旧作を織り交ぜて展示する。インクの染みなどを撮影し、それを重ねた平面や映像、現在は別の場所にある京都新聞の印刷工場を撮影した映像、立体作品、音響作家や照明家などとコラボレーションした「舞台」のようなインスタレーションまで、本展は様々な要素から成り立っている。そのすべてがコラージュされ、巨大なひとつの作品となった。美術としての写真というメディアと、情報の複製、伝達、流通の手段としての新聞というメディアを、インクなどの液体と紙という物質として捉えて制作に臨んだ。
インクが画像や文字、そして情報となり、新聞として世界中に流通し、そしてその記憶が世界像を形成するように、われわれの世界では、流動的な物やイメージが「循環」していることに着目。新たにオルタナティブな世界像を想像させる巨大インスタレーションだ。
Ismaïl Bahri
イズマイル・バリー
クスノキ
二条城 二の丸御殿 御清所
9:30—17:00|無休
*二条城への入城は16:00まで
*別途二条城への入城料が必要。(一般料金600円ほか)
一般 ¥500
学生 ¥400(要学生証提示)
世界文化遺産である二条城の敷地内。かつての台所に当たるのお清所(きよどころ)を丸ごと作品の実験場に変えた。ジュー・ド・ポム フランス国立美術館での個展など世界各国のアートシーンから近年熱い視線を受け、チュニスとパリを拠点に活動する美術家イズマイル・バリー。あらゆる物質の有機的で儚い自然的な側面を経験することを特別視している。会場に人工照明はなく、随所に設けられた「開口部」から入る自然光のみが内部を照らす。バリーはこの展示において、木造建築であるお清所全体を「カメラ・オブスクラ(暗い部屋)」に見立て、写真というメディアを使わずに、光を用いることだけで写真をいかに感じられるのか、という壮大な試みを行なっている。御清所の外の風景や中に差し込む光を活かすなど、場所の持つあらゆるエレメントを全方位的に捉えた空間にて、繊細な視覚実験のような映像を体感できる。バリーの作品は、「Photography(光で像を描く)」という言葉を体現する。タイトルは御清所の窓から見えるクスノキにインスピレーションを受け名付けられた。
Alfred Ehrhardt
アルフレート・エールハルト
自然の形態美─バウハウス100周年記念展
両足院(建仁寺山内)
10:00—17:00|休:4/19、4/20、4/25、5/9
一般 ¥1000
学生 ¥800(要学生証提示)
会場となるのは、東山にある臨済宗建仁寺派の総本山・建仁寺の両足院。インディペンデント・キュレーターのソニア・フォスがキュレーションを手がける本展では、自然形態に焦点を当てたエールハルトを代表するシリーズ「Das Watt(干潟)」と、映像作品を展示。自然を切り取るエールハルトの写真を、両足院の庭と一体の風景として鑑賞できるようなデザインとなっている。庭園内の茶室でも大判の水晶を写した作品を展示。ドイツ前衛運動を代表する写真作家であるアルフレート・エールハルトは1928年から1929年にかけてバウハウスにて学んだ。ナチスが政権を握ったのち、教師の職を追われたエールハルトは1933年に北海沿岸に移住し、「Das Watt(干潟)」と呼ばれる特筆すべきシリーズを生み出した。その後、結晶、貝殻、カタツムリ、珊瑚、海綿など様々なシリーズを制作し、その美しい写真の数々は19世紀から20世紀初頭にかけての「ドイツ自然哲学」や科学者たちの研究にもつながるものであった。
Kosuke Okahara
岡原功祐
Ibasyo─自傷/存在の証明
堀川御池ギャラリー
11:00—19:00|休:4/15, 4/22
一般 ¥800
学生 ¥600(要学生証提示)
2004年、当時20代半ばだった、その日初めて会った母校の学生から自傷行為をしていることを打ち明けられたことをきっかけに、自傷行為を繰り返す女性たちへの撮影と取材を重ねた。自分自身を傷付けてしまう彼女たちの背景には、家族やコミュニティが抱える問題、学校や異性から受けた傷など、自身では解決の糸口が見つからない。その奥底には「社会」が抱える闇があった。家族や人間関係の大切さ、社会の中での居場所の大切さ、自身の大切さ、そして写真表現が社会に還元できる役割とは何かについて考察する。
Weronika Gęsicka
ヴェロニカ・ゲンシツカ
What a Wonderful World
嶋臺(しまだい)ギャラリー
10:00—18:00|休:火曜日(4/30を除く)
※ 中学生以下は無料
一般 ¥800
学生 ¥600(要学生証提示)
ポーランドの新進作家ヴェロニカ・ゲンシツカは、記憶とそのメカニズムについてのプロジェクトに取り組んでいる。1950-60年代のアメリカのストックフォトを用いたモンタージュ作品シリーズ「Traces」で近年注目を集めた。ゲンシツカは、1950~60年代に撮影されたアメリカのアーカイブ写真(ストック・フォト)を買い集め、それらをフォトモンタージュで合成することで、作品へと変化させている。アメリカの家族写真は、あまりにも典型的すぎて不自然さを感じる。その裏には一体どのような意図があるのか、という疑問が制作の背景にある。ゲンシツカはそうした不自然さを逆手に取り、自らの手を加えることで写真に新しい歴史を加え、再構築している。写真の中では幸せそうに見える人々に潜在する葛藤や欲望など、秘められた内なるものを可視化させる。ヴィンテージ家具の中に作品が並ぶ展示空間は、現実世界とパラレルに存在する別次元に迷い込んだかのような錯覚を起こす。
Kenryou Gu
顧 剣亨
15972 sampling
Sfera
11:00—19:00|休:水曜日(5/1以外)
入場無料
1994年京都生まれ、上海育ちの顧 剣亨は、「KG+ Award 2018」グランプリや「sanwacompany Art Award / Art in The House2019」グランプリを受賞するなど、精力的に活動を続けている。自分の見えない部分に興味があったということにこだわり、背後にレンズを向けたカメラを携え京都の街を昼夜問わず歩き撮影した。都市空間における自身の身体感覚を基軸にしながら、そこで蓄積された情報を圧縮・変換する装置として写真を拡張的に用いてきた。空間における視覚と情報の関係性を問う15972枚を一挙公開する。
Alberto Korda
René Peña
Alejandro González
アルベルト・コルダ
ルネ・ペーニャ
アレハンドロ・ゴンサレス
彼女、私、そして彼らについて
キューバ:3人の写真家の人生と芸術
y gion
12:00—20:00(土)18:00|休:火曜日(4/30以外)
※ 中学生以下は無料
一般 ¥1000
学生 ¥800(要学生証提示)
一棟のビルで3階にわたって3人のキューバの歴史をつなぐ写真家の展示を行う。
Alberto Korda
アルベルト・コルダ
著名なファッションフォトグラファーであり、キューバ革命のオフィシャルフォトグラファーであったアルベルト・コルダ(1928-2001)は、チェ・ゲバラを撮影したことで知られる。キューバが社会的にも政治的にも近代から現代へと移行した過渡期を代表する写真家の一人である。ファッションや広告の中の女性から1960年代初頭の政治活動に参加する女性民兵たちまで、1954年から1968年にかけてコルダを捉えた。
René Peña
ルネ・ペーニャ
「私について」
ルネ・ペーニャ(1957-)は、社会主義国がユートピアとしてもてはやされた時代に生まれ、やがてそれが崩壊していく過程を目の当たりにした世代のアーティストだ。ペーニャは自身の身体を舞台に見立て、セルフポートレートを撮影する。二重規範や不寛容、価値観の喪失など、最近のキューバという国が抱えるさまざまな社会問題を自身の体をもって表現している。
Alejandro González
アレハンドロ・ゴンサレス
「彼らについて」
アレハンドロ・ゴンサレス(1974-)は、明るい未来への希望がまだ残っていた時代のキューバに生まれ未来を信じて育った。リサイクル素材で作られた模型でキューバの歴史的局面を再現し撮影した「再構築」シリーズと、差別がないと謳われていたカストロ政権時代に唯一不平等を強いられていたLGBTの人々をとらえた作品を発表。私たちの目に触れることのないように隠されてきた真実を、写真として提示する。
Vik Muniz
ヴィック・ムニーズ
Shared Roots
ASPHODEL
12:00—21:00|休:無休
presented by Ruinart
15:00 – 21:00 ルイナール アートバー(1F)
会期中、「ルイナール アートバー」にてシャンパーニュを楽しめる。
※未成年者の注文は不可
※営業時間が変わる場合がある
入場無料
世界最古のシャンパーニュ・メゾンとして知られているルイナールでは毎年、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムを主催している。メゾンの精神をどのように感じ取り、どのように表現するかは、それぞれの招聘アーティストの自由な創造性に委ねられている。2019年に招聘されたのはブラジル人アーティストのヴィック・ムニーズ。ムニーズの作品には、社会的な側面と同様に政治的な重要性があり、厳しい自然条件を克服してワインづくりに取り組んでいるブドウ栽培農家やワイン生産業者の姿にインスピレーションを受け、黒く染めた木や木炭、シャルドネの葉などの有機的な素材を用いた写真作品シリーズを制作した。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2019「VIBE」
会期:2019年4月13日~5月12日
会場:京都市内各所
電話番号:075-708-7108(KYOTOGRAPHIE 事務局)
https://www.kyotographie.jp/
「ホテル椿山荘東京で庭園を眺めながら「辻利兵衛本店」の宇治茶アフタヌーンティーを」