奥山久美子セレクト 名造り手のデイリー・ワイン② 南ア最高峰のシャルドネ エチケットの天使がエレガントなアタラクシア
2017年01月11日
日本の老舗ワインスクール、アカデミー・デュヴァン副校長 奥山久美子先生が現地に行って見つけたクオリティの高いコスパ・ワインガイド、「名造り手のデイリー・ワイン」2回目は、旬のワイナリーの宝庫、南アフリカで最高峰のシャルドネ、ピノ・ノワールを生み出したケヴィン・グラント氏のワインをご紹介します。
Ataraxia アタラクシア
南アフリカ共和国はアフリカ大陸の最南端に位置し、日本の約3.6倍、ワイン産地は州都ケープタウンのある西ケープ州に集中しています。気候は温暖で、ブドウの生育期間に降雨量は少なめですが、海に面した冷涼な地域では南極からの冷たい風を受け霧が発生し湿度があるため灌漑の必要はありません。その中でも最南端の海岸から内陸に広がるケープ・サウス・コースト地域では、ここ数年で高品質ワインに特化した小規模のブティック・ワイナリーが増加し、注目を浴びています。
アタラクシアのワイナリーがあるヘメル・エン・アード・ヴァレーは、最も冷涼なウォーカー・ベイ地区の中でひときわ壮麗で神聖な佇まいのある土地です。アフリカーンスの言葉で、天国(ヘメル)と地球(アード)というという意味があるほどの地の気候風土にポテンシャルを見出したハミルトン・ラッセルは、1975年に荒地を開墾しブドウ畑を築いたパイオニアとして有名です。
そのハミルトン・ラッセルのワイナリーで、ケヴィン・グラント氏は醸造長として15年間活躍後、2004年に興したワイナリーがアタラクシア。南アの最高峰のシャルドネとピノ・ノワールを生み出してきたグラント氏が、さらなる理想郷を求めて独立、同じヘメル・エン・アード・ヴァレーの中でも標高400メートルという寒暖差の激しい土地を46ヘクタール購入しブドウ栽培を始めました。アタラクシアの初リリースは4年後の2008年です。同地区内周辺の畑よりも冷涼なため収穫日は2週間ほど遅くなりますが、完熟した果実味に加え酸とミネラル豊かなブドウから非常に複雑なワインができあがります。険しい細道を登りきった山頂にある教会のようなテイスティングルームは、現地のアーティストによるモダンな絵画が飾られ厳かな雰囲気との調和がファッショナブルです。白ワインは上品で洗練されたシャルドネと爽やかなソーヴィニョン・ブラン、赤ワインは華やかで繊細なピノ・ノワールとパワフルなローヌ系品種があります。
2013アタラクシア・シャルドネ
2013 Ataraxia Chardonnay
オープン価格 ¥3800 ㈱ラフィネ
フレンチ・オーク(新樽比率1/3)で発酵・熟成されるシャルドネ。淡い緑がかった黄色、柑橘系のレモンや熟した白桃のような果実味にヴァニラやビスケットの香り。凝縮した果実味に鉱物的なミネラル感と豊かな酸味のバランスのレベルが高く、魚介類のグリルやポワレ、和食全般にも相性が良いでしょう。アタラクシアはギリシャ語で「平和」の意味。エチケットの天使がとてもエレガントです。
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