2017年01月14日
京都ファイル②花見小路のモダン・フレンチ 山地陽介
世界のグルメ・シーンを長年取材してきたグルメ&トラベラーが、取材で食べ歩いて見つけた「思わずリピートしたくなる美味な店」をご紹介する連載、「再訪したくなる美食空間 京都ファイル」2回目は、京都の中でもハイ・クオリティのお料理屋さんがひしめきあう祇園花見小路に2015年オープンしたフランス料理店、「山地陽介」をご案内します。
京都の花見小路甲部は、江戸末期からの趣きある町屋家屋が軒を連ね、京都らしさがもっとも感じられる界隈です。格調高い人気のお料理屋さんがひしめく、グルメにとって聖域のようなエリア。八坂神社を正面に見ながら、格式ある料亭、「一力」の角を曲がり花見小路に足を踏み入れると右手の路地は美食のラビリンスです。そのなかでももっとも競争の激しい一角に、2015年6月オープンした「山地陽介」。丸山をはじめ、名だたる日本料理の名店が並ぶなか、外観は町家そのものの京都の趣きを保ちつつ、意表をついたイノベーティブ・フランチのレストランが誕生したのです。
「山地陽介」と毛筆で小さく入れられたのれんが和モダンな雰囲気をかもしだしています。シェフのフルネームが店名というインパクトも強く、11年フランスで修行したというシェフのバックグラウンドがまた華やかです。フランス・リヨンのポール・ボキューズ学院で学び、パリの三つ星「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」、「アストランス」で経験を積んだあと、サン・ジェルマンの「ロブション」でスーシェフとして活躍、とフランスのガストロのミックス・シーンにどっぷり浸り、パリ9区を美食の町に変えたといわれる「ロフィス」で立ち上げから腕をふるっていたという実績を背負って帰国。舌の肥えたお客様ばかりを迎える厳しいこの地でフランス料理店の凱旋オープンです。
いかにも花見小路的な京町屋の佇まいの扉をがらりを開けると、眩しいまでの陽の光がいっぱいに入る木調のモダンな空間が広がります。京都らしさをきっちりとどめる坪庭の手入れの行き届いた苔の緑が明るい店内に映えます。一階はヨーロピアン・オーク製の9席のカウンターがあり、通りに面した半個室のテーブルと2階には通りを見おろせる2つの個室が設けられています。ナチュラルでウッディなテーブルセッティングを配し、うるし職人の義父の作品であるカトラリーが色を添えます。
オープンキッチンからは、淡々と僧侶のごとき無駄のない動きで、フレンチと一言では言い表せないグローバルな料理が提供されます。あえてフランス料理とは掲げず、これまで学んできたさまざまなテクニックやセオリーを駆使して自分なりのオリジナルの表現を追求いきたい、という山地シェフの引き出しの多さを感じさせる機知に富んだ料理の数々は驚きに満ちています。
北海道のばふん雲丹とたらば蟹にパプリカとトマトのジュレとキャビア、 海老とたらば蟹のソース添え
雲丹と蟹という贅沢な組み合わせに酸味のあるトマトとキャビアの塩分が利いて洋風でモダンな味わいに。
丹後伊根のあおりイカのカルボナーラ、温泉卵 のせ ベーコン、パルメジャンチーズ
イカをパスタに見立て、65度の温泉卵とチーズをまぶしたシェフのスペシャリテ。ゆるゆると卵が溶け出し、アルデンテの食感をもつイカにからまり、よりヘルシーで洗練されたカルボナーラ。
奄美大島のスジアラ アーモンドのせ
ほどよく繊維質で身離れもいい高級魚、旨みが詰まったスジアラをポワレし、食感と甘みをアーモンドで加えます。
宮崎牛 ヒウチ ジュ・ド・ブフ
内モモ部分にある希少部位ヒウチ。柔らかく脂身も多い部分をクラシックな ジュ・ド・ブフで、コクのある旨みが口のなかいっぱいに広がります。
バナナのアイスとカスタードクリームに栗、富有柿添え、ヨーグルトベースにシソのソース
バナナの甘みをシソで軽やかにおさえ、和の食材をふんだんに使った季節感あふれるデザート
山地陽介 Yosuke Yamaji
京都府京都市東山区祇園町南側570-151
京阪本線 祇園四条駅 徒歩5分
予約075-561-8001
【火~日・祝・祝前】ランチ 12:00~ (L.O.13:30)
【火~日・祝・祝前】ディナー 18:00~ (L.O.21:00)
休み 月曜日 ※月2回不定休
【ディナー】20000円 【ランチ】8000円
http://www.yosukeyamaji.com/
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