奥山久美子セレクト 名造り手のデイリー・ワイン④ブルゴーニュのリーダー的ネゴシアン、劇的品質向上のフェヴレ
日本の老舗ワインスクール、アカデミー・デュ・ヴァン福校長 奥山久美子先生が、現地に言って見つけたクオリティの高いコスパ・ワインガイド、「名造り手のデイリー・ワイン」。連載第4回目は、ブルゴーニュのリーダー的ネゴシアン、フェヴレ。6代目がドメーヌを継いでから、畑と醸造法が改良され、劇的に品質が向上したジョセフ・フェヴレをご紹介します。
Joseph Faiveley ジョセフ・フェヴレ
フェヴレは、ブルゴーニュ地方に現在113社ほど存在するネゴシアン(ワイン商)の中で、最高品質ワインを生産している4大ネゴシアンのひとつ。ネゴシアンとは、ブドウ栽培農家が収穫したブドウやアルコール発酵を終えたばかりのワインを買い、醸造・熟成・瓶詰・販売まで行う会社のことですが、自社畑を所有しワイン生産を行うドメーヌを兼ねたネゴシアンの形態がブルゴーニュには多いです。ネゴシアンは一般的に生産量などの規模が大きいですが、家族経営の小さいドメーヌの場合は平均10ヘクタールほどの畑を所有しています。フェヴレの場合は、ネゴシアンと言っても120ヘクタールもの畑を所有する大ドメーヌでもあり、しかも全生産量の80%はドメーヌ・フェヴレの名前で自社畑産ワインを造っています。また、買いブドウに関しても品質を厳しくチェックし、ドメーヌものと同様にテロワールの個性を最大限に活かした秀逸なワインを生産しています。
(写真はイメージです)
フェヴレの歴史は、ブルゴーニュにネゴシアンが現れ始めた1825年まで遡ります。フランス革命(1789年)により教会や貴族が所有していたブドウ畑は国に没収され、その後競売にかけられ小さい単位で民間人に売られました。その後は相続による畑の細分化が促進したため、熟成や販売するほどの資金力がない零細農家が増加。その頃、ブルジョワジーがネゴシアンとなり零細農家からブドウやワインを買い取り、熟成・販売することでブルゴーニュのワイン生産を牽引してきました。フェヴレの場合、1930年代の世界的な不況の時代には、「コンフレリー・デ・シュヴァリエ・デュ・タストヴァン」(ブルゴーニュワイン利き酒騎士団)という組織をつくり、世界に向けてワインの普及活動を積極的に行った地域のリーダー的存在であり、今も率先してブルゴーニュの魅力を世界に発信し続けています。
6代目のエルワン・フェヴレ(1979年生まれ)が2005年に社長となってから、ブドウ畑と醸造所は大きく改善されました。有機栽培に近い農法で育てたブドウを厳しく選果し、最新式の発酵タンクや樽で醸造されるようになってからは劇的に品質が向上。以前のような堅牢なタンニンが目立つ渋い赤ワインはなくなり、滑らかでバランスの良いエレガントなスタイルになりました。白ワインは、フレッシュな果実味に溢れ複雑で魅力的です。なお、ラベルにはドメーヌものにはDomaine Faiveley、ネゴシアンものにはJoseph Faiveleyと表記されます。
ジョセフ・フェヴレ ブルゴーニュ・シャルドネ2014
Joseph Faiveley Bourgogne Chadonnay 2014
オープン価格 ¥3.024(税込)
ラック・コーポレーション
外観は淡いグリーンがかった黄色。フレッシュな白桃やクリーミーな甘い香り、味わいは優しい果実味と活き活きとした酸味のバランスがよく、様々な野菜や魚介料理と相性が良い。赤ワインのブルゴーニュ・ピノ・ノワールも秀逸。
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