奇跡のコンサートを追うドキュメンタリー「甦る三大テノール 永遠の歌声」
2020年12月28日
『甦る三大テノール 永遠の歌声』
2021年1/8(金)よりロードショー予定
ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス3人の人気テノール歌手が、共同でコンサートを行った際に「The Three Tenors」と冠された。
「The Three Tenors」は、「三人のテノール」と訳することもできる。しかし、3人がそれぞれ人気、実力を兼ね備えた当時を代表するスター歌手であったことから、日本語では「三大」と冠されたのだ。この重厚な名称が、日本での人気を更なるものにしたのではないか。
「三大テノール」は日本でも大ブームを呼び起こした。1996年、旧国立霞ヶ丘競技場でコンサートが行われたときは、一番高いチケットが7万5000円もするにもかかわらず、あっという間に6万枚が売れてしまったという。
1990年7月7日、イタリア、ローマでのサッカー・ワールドカップ決勝前夜祭で、かつてない「世紀のイヴェント」というふれこみで行われたコンサートから始まる。
お互いがライバル同士の当代最高の3人のテノール歌手が、ズービン・メータ指揮する200人を超える演奏者たちとともにローマのカラカラ浴場で世界で初めて競演する伝説の舞台だ。
プロデュースしたのは、当時のマネジャー、マリオ・ドラディ氏。自宅に残された多くのコンサート資料が写される。このコンサートの名目は、第一に白血病を克服したカレーラスのため、カレーラスが創設した白血病の財団に収益の一部を寄付することだった。カレーラスは、ドミンゴとパヴァロッティとともに、The Three Tenorsとして出演することに同意したものの、3人の綿密な打ち合わせ場面には、各々のとまどいもかいま見られる。
一種のチャリティのような形で出発したこのコンサートが歴史的な大成功に終わるとは、誰も予想していなかった。舞台裏では、3人の大歌手が緊張の面持ちで待機している。同じパートの歌手のコンサートを聞きたいと思う人がいるのだろうか。リラックスしていたのは、指揮者のメータだけだった。稀代の歌手3人のコンサートを指揮できるという喜びに満ちているようだった。それは観客も同じである。パバロッティの華やかで奥行きのある声と豊かな声量、ドミンゴの表現の深さやレンジ、そして知的センスと洗練、カレーラスのムラなく均質に美しく響く声を一度に味わうという稀有な機会にめぐまれたのだ。
その後も4年毎に開催されるワールドカップのたびにコンサートが催され、1998年のロサンゼルス大会のドジャースタジアム、2002年の日韓共催の際の横浜アリーナと続いた。この他にも3人で世界ツアーも数多く行い、オペラだけでなくナポリ民謡やポップスなどの幅広いレパートリーを披露、テノールやオペラの魅力を大衆に広めることに大きく貢献した。一方では、商業主義である、クラシック音楽やオペラを冒涜するもの、など揶揄されることにもなった当時の熱狂ぶりをドミンゴやカレーラス、パバロッティの妻、メータなどが振り返る。
舞台映像はふんだんにあり、「誰も寝てはならぬ」などオペラのほか、「帰れ、ソレントへ」「オ・ソレ・ミオ」「マイ・ウェイ」「ニューヨーク・ニューヨーク」と誰しもが馴染みある名曲の3人の掛け合いが全編に響く。
これからも未来永劫語り継がれるであろう、3人の巨匠が一堂に会する奇跡の舞台。オペラファンならずとも熾烈なショービジネスの知られざるバックステージがたっぷり楽しめる。
キャスト ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ズービン・メータ
原題:THREE TENORS VOICES FOR ETERNITY 30TH ANNIVERSARY EVENT
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