ミュージカル『キング・アーサー』 フレンチロックにのせて描かれるケルトの騎士たちの壮大なるファンタジー

カテゴリー/ CULTURE |投稿者/ Gouret&Traveller
2023年01月11日

 

聖剣エクスカリバーを引き抜いた者が王になる――。日本人にも馴染みがあるイギリス・ケルトの伝承、アーサー王の物語がフランス発ミュージカルとして、浦井健治主演により新国立劇場を皮切りに全国で上演される。今回のミュージカルは、ヒットメーカー、ドーヴ・アチアが手掛け、2015年にパリで初演された話題作。日本では2016年に宝塚歌劇団月組により、『アーサー王伝説』として初上演されている。

 

この作品の主人公、アーサー王の伝説上の物語はその配下の円卓の騎士たちの物語とともに語り継がれ、中世以来、多くのバリエーションを持つ 。アーサー王とは、歴史上、実在の人物なのか、フォークロアの架空の英雄なのか。諸説ある謎多きロマンを抱かせる題材で、文学のテーマとしてさまざまに描かれてきた。オペラをはじめとした舞台化、また、映画化も繰り返されている。記憶に新しいところでは、2017年、ガイ・リッチー監督により、ファンタジー・アクション映画として制作されている。

 

フランス発ミュージカルは、日本では、ジェラール・プレスギュルヴィック作品、『ロミオとジュリエット』の大ヒット以降、グルーヴ感ある楽曲と壮大なるスペクタルで、ミュージカルの新ジャンルとして日本のエンターメント界に支持されるようになった。『ロミオとジュリエット』の日本初演を成功させてから、宝塚歌劇団は、ドーヴ・アチアが手がけた『1789 –バスティーユの恋人たち』『太陽王』『ロックオペラ モーツァルト』など、次々とパリで話題となった作品を放ってきた。

20159月にパリで初演された『キング・アーサー(La Légende du roi Arthur)』は、その後、ツアー公演としてフランス各地で旋風を巻き起こした。

 

 

 

パリでの上演劇場、「パレ・デ・コングレ」は、体育館のような広大な空間で、高低差をつけた大掛かりな舞台装置のなか、アクロバティックなダンスが繰り広げられる。チュニジアやイタリアのバックグラウンドを持つアチアの作る楽曲は、エスニックなフレーバーを散りばめながら、ユーロビートをベースに生まれたグルーヴ感あるフレンチ・ロック。今回は、アーサー王の舞台ケルトの民族音楽をポップにアレンジした楽曲も作品全編を彩る。全曲が聴きどころといえるほどインパクトがあり、時に挟み込まれるケルト風民族音楽が情緒を感じさせる。オリジナルのタイトルには、伝説” (La Légende)と謳われていることもあり、幻想的で空想的な事象をプロットの主要な要素としたファンタジーが繰り広げられる。

 

 

 

今回は、韓国プロダクションの演出を担ったオ・ルピナの演出、日本版台本にも注目が集まる。韓国の初演にてライセンスミュージカル作品賞、観客賞を受賞し、2022年に再演。2020年には第4回韓国ミュージカルアワーズ演出賞を受賞。新進気鋭のクリエイターが日本でどのような手腕を見せるかも見どころだ。

「この作品の素晴らしさは、ショーとしての華やかさ、音楽の美しさ。そのうえで、キャラクター同士の関係をもっと深く、密度をもって描き出したい」と語る。オ・ルピナにとって、ミュージカルとは、「刹那の瞬間と感情を舞台で拡張させられる魅力的な芸術」。その意味で、『キングアーサー』を、「人間的な部分とファンタジー的な要素を持ち合わせている作品。映像で表現するより、作る人と見る人の想像力をもっとも刺激できる」と捉えている。

また、本作のタイトルロールを演じるの浦井健治にも期待が集まる。昨年は『笑う男』『ガイズ&ドールズ』『COLOR』と大作、オリジナル・ミュージカルなどさまざまなジャンルで活躍、さらに、ほかのキャストも今の日本のミュージカル界を背負って立つスターばかりを結集させた。

最強の騎士として評されアーサーの敵として立ちはだかるメレアガンを演じるのは、伊礼彼方/加藤和樹(Wキャスト)、アーサーに忠誠を誓うが恋敵となるランスロットを演じるのは、太田基裕/平間壮一(Wキャスト)、アーサーの妻グィネヴィアには小南満佑子/宮澤佐江(Wキャスト)など、クオリティの高い舞台を観せてくれそうだ。

 

 

アーサー王と彼の敵、メレアガンを演じる3人は、以下のように本作にかける意欲を語っている。

浦井健治

「いつの時代にも通ずる人間の業というものに立ち向かう、純粋なアーサーを演じていきたいと思います!」

伊礼彼方

「初のフレンチロック。想像以上に11曲の個性が強く、独特で、どの曲もシングルカットできるくらい。音楽の力と殺陣を使って心情を伝えられるように心掛けています」

加藤和樹

「難しい楽曲が多い。1曲のなかでも様々に変動していくので、それを芝居歌として歌えたら中身のあるものになってくると思います」

誰しも馴染みのあるアーサー王の物語が、第一線のキャストたち、新進気鋭の演出家によりどのようなスペクタクルな舞台として展開されるか、フレンチミュージカルの醍醐味をぜひ味わってみてほしい。

 

[公演情報]

ミュージカル『キングアーサー』
2023
112日(木)~25日(日)
[東京]新国立劇場 中劇場

※1月12日~15日中止(1月12日時点)

2023211日(土・祝)・12日(日)
[群馬]高崎芸術劇場 大劇場

2023224日(金)~26日(日)
[兵庫]兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

202334日(土)・5日(日)
[愛知]刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール

日本版台本・演出:オ・ルピナ
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:竹内聡
出演:浦井健治、伊礼彼方/加藤和樹、太田基裕/平間壮一、小南満佑子/宮澤佐江、小林亮太、東山光明、石川禅、安蘭けい 他

https://horipro-stage.jp/stage/kingarthur2023/

Text Miki Yamashita

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