「ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ～カリオストロ伯爵夫人の秘密～』」帝国劇場にて開幕

カテゴリー／ CULTURE ｜投稿者／ Gouret&Traveller
2023年11月10日

「ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ～カリオストロ伯爵夫人の秘密～』」が、11月9日、東京・帝国劇場にて幕を開けた。初日の舞台に先駆けて、主演の古川雄大が初の帝劇単独主演の意気込みを語った。

本作は、モーリス・ルブランの小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズをベースに、脚本・歌詞・演出を小池修一郎(宝塚歌劇団)、音楽をフレンチミュージカルの雄、ドーヴ・アチアが手がけた。帝国劇場における小池氏初のオリジナル作品にアチアが楽曲を提供、さらに古川にとっての帝劇初座長となることも話題の作品だ。

本作で楽曲を担当したドーヴ・アチアは、『1789 –バスティーユの恋人たち–』『太陽王』『ロックオペラモーツァルト』など、次々とパリで話題となった作品を放ってきた。アチアがこれまで手掛けた8つのミュージカル作品は、フランス国内だけで約700万人の観客を動員。うち3作品は、現在もフランスの観客動員記録トップ5に入っている。

これまで宝塚歌劇団、『太陽王』『ロックオペラモーツァルト』、宝塚、帝国劇場で上演された『1789 –バスティーユの恋人たち–』など日本でも高い評価を得ている。

2016年に『1789 –バスティーユの恋人たち–』でロベスピエールを演じた古川は、アチア作品を歌った経験があり、次のように語っている。

「今回も、耳に残る楽曲ばかりで、カラーが違うさまざまな楽曲が組み込まれており、クオリティの高さはさすがだなと。歌う身としては、難しくてハードルが高いのですが、それをなんとか乗り越えようとするパワーがまた背中を押してくれます」

劇中には、バラード調で聴かせるナンバーからアップテンポなものまで、アチアによる多種多彩な楽曲がちりばめられ聴きどころも満載だ。

ストーリーは、19世紀末のフランス・パリが舞台。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンと、テンプル騎士団に伝わる燭台の7本の枝を集めて財宝を手に入れようとする魅惑的なカリオストロ伯爵夫人や個性豊かなキャタクターたちが、それぞれの思惑のもと、駆け引きを繰り広げる。歌、ダンス、アクションをまじえたエンターメント性抜群の冒険活劇となっている。

本公演は、ボーマニャン役を黒羽麻瑠璃央、立石俊樹、カリオストロ伯爵夫人役を宝塚歌劇団元星組トップ柚希礼音、宝塚歌劇団退団後初の舞台となる元宙組トップ真風涼帆がWキャストで演じるほか、宝塚歌劇団元雪組トップ娘役の真彩希帆が令嬢クラリス、小西遼生がシャーロック・ホームズを演じ、財宝を巡り各キャラクターが入り乱れる。脇を固めるイジドール役の加藤清史郎、ガニマール警部役の勝矢の存在感も大きい。

劇中で、古川はルパンだけではなく、白髪の博士、色男の実業家、新聞記者などさまざまなキャラクターを演じ分け、財宝を巡る駆け引きのなかで、幼少期の心の傷を引きずる繊細な姿も見せながら、クラリスとの愛を育んでいく。また、さまざまな変装姿を披露するのは、ルパンだけではなく、カリオストロ伯爵夫人も。男装の麗人として、柚希や真風が退団後初めての黒燕尾姿で登場する。

初日の前夜は、小学生の遠足の前日みたいな、ワクワクする高揚感で眠れないという感覚を何十年かぶりに味わったという古川。帝国劇場の初主演については、

「歴代のそうそうたる方々の中に自分が加わるのは光栄なことだと思っております。(『エリザベート』)のルドルフで初めて帝国劇場に立ってから11年。あの頃の自分に声をかけるとしたら、『今は辛いかもしれないけど、もうちょっと頑張ってみなさい』と、優しくアドバイスすると思います(笑)」

初座長としては緊張の連続だが、素晴らしい共演者に恵まれ支えてもらっている。差し入れするなどしてコミニュケーションを欠かさない、と古川。

「小池修一郎先生の現場では『久しぶり』という方が多いのですが、今回はほとんど『はじめまして』の方々ばかり。僕は人見知りなので、その中でうまく立ち回れるか、小池先生に心配されていたんです」

稽古場で共演者にお世話になっている、と感謝の意を述べる。

「柚希さん、真風さんにはかっこいいエスコートの仕方を教えていただいたり、小西さんは的確なアドバイスしてくださいます。清史郎は頭が切れるので刺激をもらえるし、麻璃央や俊樹は華やか。負けないように頑張っていきます」

千秋楽は郷里の長野が予定されている。

「地元でお世話になった方がたくさんいるので、恩返しという意味でも立派な姿をお見せしたいです」と決意も新たに、2024年3月までのロングランをルパン役として駆け抜けていく。