『パリ散歩画帖』『京都遊び三十三景』の著者、銅版画家の山本容子さんに、パリ・京都おすすめ散歩エリアを教えていただきました
2016年12月17日
銅版画家 山本容子さんのおすすめパリ
パリ ボーザール界隈のギャラリー散歩
美大生だった山本容子さんにとって、多くの美術を学ぶ学生と同様、芸術の都、パリは憧れの町でした。そんな山本さんが20代半ばで初めてパリを訪れたときは、惨憺たる思いをしたそうです。「エコール・ド・パリ」の時代の空気を感じたい、と期待に胸を膨らませていた若き絵描きの卵は、ただの小娘扱いをされ、パリという大人の町に軽くあしらわれた、という傷心の旅となったのです。以後、25年ほどパリとは疎遠になっていました。パリに受け入れてもらえる素養を身に着けてからからリベンジしに行こう、と思いを秘めながら。
そんな折、料理にめざめ、東京のコルドン・ブルーに通うようになったことで、フランス熱に火がつきました。モネの絵に出てくる料理に、どんな素材でどのように作られているのだろう、とイメージを膨らませていたりしたそうです。料理を学ぶうちにフランス語も習いはじめ、フランス熱も高まり、パリに行く機会も多くなりました。
そんな山本容子さんがパリで一番好きなエリアは、サンジェルマン・デ・プレの、ボーザール(国立高等美術学校)がある界隈。ジャコブ通りとセーヌ通りのあたりは、ギャラリーも多く、美術家にとっては聖地のような場所。サルトルやボーヴォワールら文化人が通ったカフェ・ド・フロールやカフェ・ドゥ・マゴを過ぎた小さいけれど趣のある通りです。
La Palette
43 Rue de Seine 75006 Paris
http://www.cafelapaletteparis.com/
この界隈にある、老舗の画材屋「セヌリエ」は必ず訪れるお店。ボーザールの画学生御用達の専門店で、この店でしか手に入らない画材があり、なかでも、パステルはいつもっこの店で調達しています。足りなくなりそうな品番のパステルのかけらを日本から持参して、同じものを買い足しているとのこと。昔は白衣を着た店員さんが色を調合していたそうです。写真は山本容子さんが使っているセヌリエのパステルとインクです。
Sennelier
3 Quai Voltaire
www.magasinsennelier.com/
ギャラリー散策の最後は、「ブラッスリー・リップ」でディナーです。レオナール・リップにより、1880年に創業された老舗。かつてヘミングウェイら文化人が通っていたことでも有名で、彼の小説『移動祝祭日』にも登場しています。また、映画「ギャルソン!」で、イヴ・モンタンがギャルソンを勤めるブラッスリーの舞台もこちら。白く長いタブリエ(エプロン)に黒ベスト・蝶ネクタイという正装のギャルソンが流れるようにステップを踏んで料理を運ぶ姿を見ることができます。今は消えつつある昔ながらのクラシックなブラッスリー料理を当時のままの粋なサービスで楽しむことができる貴重なお店です。
Brasserie Lipp
151 Boulevard Saint-Germain
http://www.brasserielipp.fr/
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