Jean-Georges at The Shinmonzen スパイス使いの名手が京都で繰り広げる独自のフランス料理
2023年06月19日
京都を象徴する八坂神社エリア、祇園の中心にありながら四条通りを1本入れば喧騒を忘れる祇園白川沿いに、「THE SHINMONZEN」 はひっそりと周囲の町屋に溶け込む。京都ならではの雅な雰囲気のなか、このラグジュアリーブテイックホテルに足を踏み入れると一転、安藤忠雄氏による日本の美を意識しながらもモダンでスタイリッシュなデザイン、世界的デザイナー、レミ・テシエ氏によるコスモポリタンなインテリアに目を奪われる。
その空間を彩るメインダイニング、「Jean-Georges at The Shinmonzen (ジャン–ジョルジュ アット シンモンゼン)」が、2023年3月オープンした。モダンフレンチ の世界的巨匠ジャン–ジョルジュ・ヴォンゲリステン(写真下)監修によるレストランである。
スパイス使いの魔術師と言われる、フランス人シェフ、ジャン–ジョルジュ・ヴォンゲリステンは、各国に60を超えるレストランを展開。ニューヨークに本店を置き、2005年から13年連続ミシュランガイドの星を獲得している。日本にも、2014年、東京六本木ヒルズに「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」をオープン、京都店が2店目となる。
フランス・アルザス地方で50年にわたり3つ星に輝き続ける名店「オーベルジュ・ド・リル」にて修業をスタートしたジャン・ジョルジュシェフ。ポール・ボキューズをはじめフランスの名だたるシェフのもとで研鑽を積んだあと、バンコク、シンガポール、香港、ジュネーヴ、ロンドンなど世界中のレストランでシェフを務め、ワールドワイドな経験を持つ。
「アルザス地方にあるストラスブール近郊の美しい小さな村で生まれ育ち、3代にわたる大家族で暮らしていました。祖母と母が作るおいしい料理を家族で楽しむ幸せなひととき。料理には、人を幸せにするチカラがある、と料理人の道に進もうと思ったんです」
大きなターニングポイントを迎えたのは、タイ・バンコクの「オリエンタルホテル」にフレンチのシェフとして派遣されたことだった。修業をしていた南フランスの「ロアジス」が同ホテルのコンサルティングをしていた縁で白羽の矢が立った。
「タイはまったく未知の国でした。行ってみたら、現地スタッフが作る賄いが刺激的で、感動の毎日。そのおいしさの源であるスパイスに魅せられ、台湾、インドネシア、日本などアジア各国で仕事をする機会を得て、スパイスやハーブを研究してきたんです」
以来、フランス料理をベースにアジアのスパイスやハーブを盛り込んだ独創的なフレンチの世界を創り上げていった。そして、ニューヨークに本拠地を構えることになる。「メルティングポット」と呼ばれ、世界中の料理を堪能できるニューヨークが自分の料理を表現できる最適な地と考えたからだ。
「ショウガやワサビ、ユズ、だし汁などは、今、世界中のシェフが使っていますが、私はかなり以前から取り入れています。フランス料理のペースであるソースは、ワインを煮詰めてソースを作ったり、時間をかけてフォンをとる、といった伝統的手法は使わず、アジア各国の調理技法を駆使して、さまざまな素材やスパイスを合わせて仕立てています」
世界中を旅することで新しい風味、食材、技術、文化を吸収してきたジャン-ジョルジュシェフは、京都にレストランをオープンするにあたり、多くの生産者を訪れた。野菜、肉、魚介、すべての食材のクオリティの高さに驚くとともに、新たな領域への挑戦に意欲を見せる。
そして、新しく総料理長として、ハナ・ユーンシェフ(写真上)が就任した。ニューヨークの「ジャン–ジョルジュ」で副料理長を務めていた、ジャン-ジュルジュシェフの片腕ともいえる実力者である。
「旬の食材と京都の職人による創作を織り交ぜ、特別なダイニング体験を提供したい」と意気込みを語るハナ・ユーンシェフ。
京都の食材にスパイスの掛け合わせて生まれるジ ャン–ジョルジュ独自の世界観をぜひ味わってみて欲しい。
Jean-Georges at The Shinmonzen(ジャン–ジョルジュ アット ザ・シンモンゼン)
住所:京都府京都市東山区新門前通西之町235
Tel:075-600-2055
朝食:7:00-10:30 (宿泊客以外のゲストのLO 9:30)
昼食:11:30-14:00 (LO 13:00)
夕食:17:30-22:00 (LO 20:30)
https://theshinmonzen.com/jp/
text Miki Yamashita
「関西の食通が通う名店、天ぷらと神戸ビーフの割烹 「麻布十番 真田」オープン」
「次の投稿」